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因子の分類と一般的な実験の組み方 |
前回、望目特性の事例でお話したように、パラメータ設計では、最初は、目標値にこだわらないでばらつきの改善を行い、次にばらつきに関係がより少ない要因で平均値を目標値に調節します。今回は、パラメータ設計を行う場合、どのような実験の組み方をしたらよいかについて、お話をしたいと思います。
弊社では、開発設計で、市場で起こり得るノイズ(機能をばらつかせる原因の総称)を予測し、そのノイズを研究室の段階で取り入れて、実験を行っています。
開発段階での実験結果が、市場や大規模生産で再現することがとても重要だからです。たとえば、複写機の用紙送り機構の場合は、お客様が使用する紙の種類や使用環境、また、ローラーの劣化などを考慮し研究を行っています。
考慮するというのは、ノイズと特性値の関係を調べるのではありません。そのシステムの機能がノイズにできるだけ影響されないような設計を行うということです。
もちろん限界性能を確認することも重要なことですが、「寒い日は、コピーが使えません」「この用紙しか使えません」では、その企業の製品は売れなくなってしまいます。初めに考えるべきことは、いろいろなお客様がいろいろな環境で使用しても機能性を確保する製品を設計することではないでしょうか。
パラメータ設計では、このような設計者が制御できない機能を乱す原因をノイズと呼び次の3つに分類しています。
このノイズの中で実験に取り上げたものを誤差因子と呼びます。
また、出力を変化させようとするための入力信号を信号因子と呼びます。
そして、設計者の自由意志でその中心値や水準が決められるものを制御因子と呼びます。
パラメータ設計では、信号因子に対する効果を維持しながら、このような誤差因子にできるだけ影響のない制御因子の水準値を選ぶことが目的です。
たとえば、複写機の用紙送り機構の場合、お客様の使用環境や使用するペーパーが変わっても、ローラの回転角で紙の送り量がばらつきなく変化して欲しいのです。
以下に、パラメータ設計の一般的な実験の組み方を紹介しますので、実験を組む際の参考としてください。
パラメータ設計の場合、通常、内側に制御因子を、外側に誤差因子・信号因子を割り付け、内側因子と外側因子のあらゆる組合せについて実験を行います。
制御因子については、できるだけ多く取り上げることが大切ですが、誤差因子については、重要と思われるものに絞るか、調合して2水準または3水準にするのが合理的な良い方法です。誤差因子の効果を別々に求めても、パラメータ設計では役に立たないからです。
誤差因子の定性的傾向が不明のときは、あらかじめ予備実験をして定性的傾向を求めてから調合をおこないます。
信号因子がない場合とある場合について、一般的な実験のわりつけを下に示します。
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