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誤差因子の調合 |
パラメータ設計の場合、通常、内側に制御因子を、外側に誤差因子・信号因子をわりつけ、内側因子と外側因子のあらゆる組合せについて実験を行います。
制御因子は、改善のために必要なので、できるだけ多く取り上げる必要がありますが、誤差因子は安定性を改善する制御因子の水準の組み合わせを選ぶために使用するので、一つの因子にまとめることが可能です。
今回は、できるだけ効率よく、精度の良いデータを計測するための誤差因子のわりつけ方法「誤差因子の調合」についてお話をしたいと思います。
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調合とは | ||||||||||||||||||||||||||||
誤差因子について、定性的傾向(誤差因子の水準を変えたとき計測特性が大きくなるか小さくなるか)がわかるものは、2水準の1因子か、標準条件を入れて3水準の1因子にまとめてしまうことを調合といいます。 誤差因子は安定性を改善する制御因子の水準の組み合わせを選ぶために使用するので、個別にわりつける必要はありません。定性的傾向がわかるものは、以下のような調合因子にすることが、合理的な良い方法です。
N1…マイナス条件
たとえば、環境や劣化条件など実験に取り入れたい誤差因子P,Q,Rがあり、それぞれの誤差因子の水準と計測特性の関係が次のようだったとします
このとき調合誤差因子は
N1…P3Q1R3(マイナス条件)
となります。注意して欲しいことは、各誤差因子の同じ水準を組み合わせるのではなく、計測特性が小さくなる条件と大きくなる条件を組み合わせるということです。 定性的傾向がわかる誤差因子がいくつあっても、このように一個の調合誤差因子にすることが可能です。 調合によってわりつけられたSN比は、実際の使用上考えられるSN比より相対的に悪くなりますが、何度も書いたように、誤差因子は、安定性を改善する制御因子の水準の組み合わせを選ぶために使用するので、問題はありません。かえって制御因子の選択に際して最適な方法であるといえます。
誤差因子の定性的傾向が不明のときは、あらかじめ予備実験をして定性的傾向を求めてから調合をおこないます。
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信号因子がある場合には、外側は誤差因子と信号因子の全ての組み合わせとなります。 調合をすることによって、誤差因子は2または3水準にすることができますので外側のわりつけは以下のような信号因子との組み合わせになります。
M1〜Mk … 信号因子 (外側) | |||||||||||||||||||||||||||||
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動特性で、調合誤差因子を用いてSN比を計算する場合は、RQEのSN比変換メニューから「誤差因子を調合した場合」を選択します。
通常の動特性のSN比と誤差因子を使用した場合のSN比の計算方法には以下のような違いがあります。 通常の動特性のSN比は、 全変動STを信号の変動Sβと誤差変動Seに分解し、 ST=Sβ+Se 誤差変動Seから誤差分散Veを計算し、以下のSN比を求めていました。 η=((Sβ−Ve)/r)/Ve しかし、誤差因子を調合した場合、上記手順と同様に、全変動STを信号の変動Sβと誤差変動Seに分解したとき、Seのなかには、直線性からのずれによる誤差と、調合したNの効果が含まれることになります。 この誤差変動Seから計算した誤差分散Veは、SN比を求めるときのVeとしては妥当ですが、信号の変動Sβを推定するときのVeとしては大きすぎる場合があります。下手をすると、Sβ−Veがマイナスになってしまうことも考えられます。調合したNの効果が、直線性からのずれによる誤差に比べて、極端に大きくなければ問題はありませんが、信号の変動Sβを推定するときのVeからは、Nの効果は除いておいた方が無難です。 すなわち誤差因子を調合した場合は、全変動STを信号の変動Sβと調合誤差因子の変動SNと残りの誤差変動Seに分解し、 ST=Sβ+SN+Se 調合したNの効果を除いた誤差変動Seから信号の変動Sβを推定するときの誤差分散Veを計算する必要があるということです。 もちろん、SN比を求めるときの分母には、Nの効果を入れなければいけませんので、Nの効果を含めた誤差変動
SN+Se
から、誤差分散VNを計算 η=((Sβ−Ve)/r)/VN (誤差因子Nの影響で比例定数βが変化することは誤差であり、それはゼロにしたいので、SN比を求めるときの分母に使用する誤差分散には必ず調合したNの効果を入れる必要があります。) 興味のある方は、通常の動特性のSN比変換と誤差を調合した場合のSN比変換を行い、SN比に変換した後のチェックリストを参照してください。SN比にする前の個々の分散分析表(変動の分解)を参照することができます。
《誤差を調合した場合のチェックリスト》
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