わりつけ(ダミー法と多水準作成法)

RQEでは、いろいろな直交表を用意していますので、因子の数と水準数により最適な直交表を手軽に選択することができます。

しかし、実験の因子の都合により、「3水準の列に2水準をわりつけたい」「L18で6水準をわりつけたい」等、直交表をそのまま使用するのではなく、一部変更して使用したい場合もあると思います。

今回の講座では、直交表の利用範囲を広げる代表的なわりつけ方法、ダミー(擬水準)法多水準作成法についてお話したいと思います。

ダミー(擬水準)法

3水準の列に2水準をわりつける方法として、ダミー法があります。
ダミー方は、2水準の因子を形式的に3水準とする方法で、具体的には、実際にある2水準の水準の中で重要(標準)と思われるものを重複させてわりつけを行います。

たとえば、L9直交表では、3水準の因子を4個(A,B,C,D)わりつけることができますが、材料等の関係で1個の因子(C)が2水準しか用意できなかった場合、どうしたらよいでしょうか。

そのような場合、ダミー法が有効です。
ダミー法とは、3水準の列に、2水準の因子の重要(標準)と思われるものを重複させ、形式的に3水準とする方法です。

たとえば、
C1=C1  C2=C2  C3=C1
として、わりつけをおこないます。

例として、直交表L9の第3列に2水準をわりつける手順をご紹介したいと思います。

《例・・・3列にダミーのあるわりつけ》


RQEでダミーを使用する場合は、使用する列を指定し、ダミーのパターンを指定するだけで簡単に直交表の変更が可能です。以下に手順を示しますので参考にしてください。

ダミー法のわりつけ手順

  1. わりつけの画面でダミーを使用するを選択します。

  2. 使用する列を指定します。

  3. 直交表の変更をクリックします。

  4. ダミーのパターンを選択します。

    形式的に2水準を作成する組み合わせとして

    (1,2,3)→(1,2,1)
    (1,2,3)→(1,2,2)
    (1,2,3)→(1,1,2)

    が考えられます。

    表示されたパターンの中から、実験で使用したパターンを選択してください。

    ここでは
    (1,2,3)→(1,2,1)を選択します。

  5. 直交表が変更され3列が2水準となります。

  6. ダミーを使用する列が他にある場合は、この手順を繰り返します。

これで3水準の列に2水準をわりつけることができます。
ただし直交は崩れてしまいますので、ダミーがある場合は、ダミー間誤差が生じることになります。
RQEでは、ダミー間誤差は分散分析表に誤差eとして表示されます。

多水準作成法

L8で2水準の3列を使用し4水準の列を作成したり、L18の1列(2水準)と2列(3水準)を使用し6水準を作成する方法を多水準作成法といいます。

具体的には、任意の2列とその交互作用列を利用し、一つの列を作成する方法なので、たとえばL8で4水準の列を作成するとき、どの3列を使用してもよいのではありません。
交互作用列は線点図を利用すれば調べることができますが、RQEでは一般的に使われる多水準の組み合わせをあらかじめ用意していますので、その組み合わせを選ぶことにより多水準のわりつけを行うことが可能です。

例として、直交表L8の1,2,3列から4水準を作成する場合をご紹介したいと思います。

《例・・・直交表L8の1,2,3列から4水準を作成》


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多水準作成法のわりつけ手順

  1. わりつけの画面で多水準を使用するを選択します。

  2. 多水準を作成する際に使用する列を指定します。

    L8で多水準を作成できる列の組み合わせが表示されます。
    表示されたパターンの中から、実験で使用したパターンを選択してください。

    L8で4水準の列をつくる時、必要な列の組み合わせは

    (1,2,3)
    (2,4,6)
    (1,4,5)
    (1,6,7)

    となりますので、その組み合わせが表示されます。

    ここでは、1,2,3列から4水準を作成するため、(1,2,3)を選択しました。

  3. OKボタンをクリックすると直交表が変更され1,2,3列から4水準が作成されます。

多水準作成法+ダミー法

多水準作成法とダミー法と組み合わせればL8に3水準をわりつけたり、L18に5水準または4水準の因子をわりつけることができますので、さらに直交表の利用範囲を広げることができます。

例として、L18で6水準を作成しさらにダミーを使用し5水準を作成する場合をご紹介します。

《例・・・直交表L18で6水準を作成しさらにダミーを使用し5水準を作成》


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多水準作成法+ダミー法のわりつけ手順

  1. わりつけの画面で多水準を使用するを選択します。

  2. 多水準を作成する際に使用する列を指定します。

    L18で多水準を作成できる列の組み合わせは、1,2列から6水準のみなので

    (1,2)

    が表示されます。

    1,2列から6水準を作成するため、(1,2)を選択します。

  3. OKボタンをクリックすると直交表が変更され1,2列から6水準が作成されます。

  4. 次にダミーを使用するを選択します。

  5. 使用する列を指定します。

  6. 直交表の変更をクリックします。

  7. ダミーのパターンを選択します。

    形式的に5水準を作成する組み合わせと4水準を作成する組み合わせが表示されます。

    表示されたパターンの中から、実験で使用したパターンを選択してください。

    ここでは
    (1,2,3,4,5,6)→(1,2,3,4,5,5)を選択します。

  8. 直交表が変更され1列が5水準となります。

  9. ダミーを使用する列が他にある場合は、ダミーの設定手順を繰り返します。
    (さらに他の列の3水準を2水準に設定することもできます)
これで6水準の列に5水準をわりつけることができます。

L18の標準型(繰り返し1)で解析を行ったにもかかわらず、誤差分散が表示されるのはなぜなのか?

L18の標準型(繰り返し1)で解析を行ったにもかかわらず、RQEの分散分析表に誤差分散が表示されるのはなぜなのか?という質問をよく受けます。

L18は混合系の直交表なので、交互作用が各列に分散されますが、1列と2列の交互作用だけは、列の犠牲なしに求められる(1列と2列の交互作用列が直交表に表示されていない)という特徴があります。 L18の標準型(繰り返し1)でダミーを使用していないとき表示される誤差分散は、この1列と2列の交互作用です。

このことは、任意の2列とその交互作用列を利用する多水準作成法が使用できることや、列の自由度の合計が15で、L18の全自由度17に2足りないことなどからも分かると思います。

当然、L18で多水準(1,2列から6水準)を作成した後の分散分析表では、6水準を作成する際に交互作用列も使用しているため、誤差分散は表示されません。(ダミーを使用しないで繰り返しが1の場合)


はじめての品質工学セミナールーム
第一回・・・パラメータ設計のための特性値

第二回・・・因子の分類と一般的な実験の組み方

第三回・・・SN比とその種類

第四回・・・効率的な設計開発を行うために

第五回・・・SN比に変換する前に

第六回・・・動特性それとも静特性?

第七回・・・最適条件を推定してみよう(1)

第八回・・・最適条件を推定してみよう(2)

第九回・・・確認実験は必ず実施しよう

第十回・・・品質評価のためのSN比

第十一回・・・欠測値の処理

第十二回・・・わりつけ(ダミー法と多水準作成法)

第十三回・・・望目特性とゼロ望目特性

第十四回・・・誤差因子の調合

第十五回・・・直交表とその役割

用語集・・・これだけは知っておきたい品質工学用語


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