現状を的確に把握しよう(1)

品質管理の着眼点は、問題点を的確に把握し、変化に対応するということにあります。 従来よかった結果が悪くなってきたのなら、そこには何らかの変化があります。

なるべくはやく変わったところを見つけて、それを元に戻す修正作業が必要です。 そのために有効なのが品質管理的アプローチです。

品質管理的アプローチをするには、不具合の原因を考えるより、まず客観的な事実(データ)に基づき、分析を行い、状況や問題点、変化や関連を把握することから始まります。
具体的には、グラフを作成することがとても有効です。

皆さんの身の回りにはたくさんのデータがあると思いますが、数字をながめていてもなかなか内容を理解するのは難しいものです。しかし、たとえばデータを折れ線グラフにして見れば、傾向も周期的なものも、変化の具合も一目瞭然です。

データの中に隠されている情報が、問題を解決できるヒントになるかもしれません。
RQCでは、データの変化を把握するために、変数別グラフ(変数1)を用意しています。

データが層別送別できる場合、要因別の比較のために変数別グラフ(変数2〜3)変数別統計量グラフを用意しています。

不良個数、発生回数、製品寸法など、身の回りのデータをグラフ化してみましょう。 変数が1つの場合は、まず、変数別グラフ(変数1)を選び、折れ線グラフを作成してみるとよいでしょう。

折れ線グラフは、データの変化を把握するためにとても有用です。 たとえば、以下のグラフは平均値が同じでも、ばらつきや変化の様子が異なっています。

●変数別グラフを活用しよう(1)
ばらつきが小ばらつきが大
経時変化がある周期性がある
異常データがあるある時点で何かが起こった?

このように折れ線グラフは、変化の様子を知るために有用です。

データが層別できるときは、グループを変数としてデータを入力します。

RQCでは、変数を指定することで変数別にさまざまなグラフを作成することができます。 また、グラフに使用しないデータをマスクすることができます。変数の設定やマスクを用いてデータを分類や選別して、グラフを作成してみましょう。

データを調べようとするとき、その中には条件の異なるデータが混ざっていることが多いものです。 うまく層別すると、ばらつきの小さいグループに分類することができます。

たとえば、以下のグラフは1号機と2号機で作成した部品のデータです。
上のグラフが1号機と2号機の部品データをまとめて表示したもの、下のグラフが1号機と2号機の層別をしたものです。

●変数別グラフを活用しよう(2)
1号機と2号機の部品データをまとめて表示
1号機・2号機を変数として層別

同じ部品でもデータの背景を明らかにして層別することにより、的確な対応をとることができます。

この場合は、ばらつきはほとんど同じですが、平均値に偏りがあるため、部品全体のばらつきを大きくしていることがわかります。
1号機・2号機の平均値を調整することにより、全体のばらつきを小さくすることが可能です。

また、2つの要因に対する平均値とばらつきの比較をする場合にも変数別グラフが有効です。
たとえば、対策前と対策後の部品データの比較をしたいときは、変数別グラフ(変数2)を作成します。

●変数別グラフを活用しよう(3)

点線で、各変数の平均値と標準偏差が表示されるので、 「対策を行うことで、平均値は変化していないが、ばらつきを大きく改善できた」のが一目瞭然です。

RQCでは、平均値、分散、標準偏差やマウスでクリックされたデータの情報が、数値データとしてグラフ右に表示されますので随時利用してください。

表示グラフは、右下のコンポボックスで変更することができます。

折れ線グラフでの平均値やばらつきの比較は変数が多いと困難です。
変数が多いときは、変数別統計量グラフを活用しましょう。

変数別統計量グラフは、横軸に変数をとり、変数ごとの平均値・標準偏差・最大値・最小値をグラフ(箱ひげ図)で表現したものです。 変数別統計量グラフは、各変数ごとのばらつきの比較や外れ値を視覚的にすばやく発見でき、変数が多いとき大変有効です。

グラフをクリックするとその変数ごとの統計量(平均値・標準偏差・最大値・最小値)が数値でグラフ右側に表示されます。

●変数別統計量グラフを活用しよう

変数別グラフの構成は以下のようになっています。

上の変数別統計量グラフは、A社〜E社が製造した同一部品の寸法データを比較したものです。

各社の部品の寸法の平均値・標準偏差・最大値・最小値がグラフ化されているので、複数の変数が存在しても、ばらつきの比較を手軽に実施することができます。 また、ひげの長さから、外れ値などもすばやく発見することができます。


品質管理講座
RQCで始めよう!品質管理的アプローチ
第一回・・・現状を的確に把握しよう(1)
     (変数別グラフ・変数別統計量グラフ)

第二回・・・現状を的確に把握しよう(2)
     (ヒストグラム)

第三回・・・効率よく問題点に取り組もう
     (パレート図)

第四回・・・変数間の関係を調べよう
     (散布図・相関分析・回帰分析)

第五回・・・統計情報線を活用しよう
     (3σ線の活用・統計情報線)

第六回・・・管理図を活用しよう
     (管理図)

第七回・・・データを分類しよう
     (層別)


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