管理図を活用しよう

前回、測定値Xの折れ線グラフに、3σ線を引いてみました。このようなデータの変化を調べるために、統計的に求めた限界線をもつ折れ線グラフを管理図といいます。

管理図は、製造工程をよく管理された状態に保つためによく使用されますが、製造工程はもちろん、あらゆるデータのばらつきの推移やデータの変化を解析するために活用することができます。

平均値、ばらつき、不良率などは、偶然や人為的な変動を受けて変化しますが、この変動が層別できる可避的なものであるか、偶然に起こる不可避的なものかどうかを見極めるには、統計的な根拠のある基準を設ける必要があります。それが3σ管理線と呼ばれるものです。 対象とする特性値が、計量値か計数値か、またどのような分布形状を取るかによって、管理線の計算方法等が異なりますので、最適な管理図を選ぶことが大切です。

以下に管理図の種類を紹介しますので、いろいろな管理や解析に利用してみるとよいでしょう。

管理図の種類

管 理 図 扱う特性値 説 明
Xbar−R管理図 品質や製造条件などの計量値 複数個のデータ(副群)の平均値の変化を表すXbar管理図と、副群の最大値と最小値の差、範囲(range)Rの変化を表すR管理図を併用したものがXbar−R管理図です。副群の大きさは4〜5が多く用いられます。
平均値の変化を的確に把握したいのであれば、測定値Xの変化を調べるより、複数個のデータ(副群)の平均値の変化に着目した方が、平均値の変化に対する検出精度を上げることができます。
母集団からn個づつ抜き取ったサンプルの平均値の分布は、中心は母集団の平均と同じですが、分散が母集団の分散の1/√nとなるからです。
P−Pn管理図 不良率や不良個数などの計数値 不良個数の全体に対する割合、すなわち不良率Pの変化を表したのがP管理図、不良個数Pnの変化を表したのがPn管理図です。
不良率(P)は二項分布に従います。不良率(P)管理図は、サンプルの大きさが変わると3σ線の幅が変化しますが、サンプルの大きさが同じならば直線の管理限界線とすることができます。 また、サンプルの大きさがおなじ場合は、不良率でなく不良個数で管理しても中心線(CL)に変化がないので、サンプルの大きさがおなじ場合は、不良個数(Pn)、異なる場合は不良率(P)管理図を使用するとよいでしょう。
欠点数データ(C)管理図 欠点数などの計数値 ある一つの製品の中に欠点が何個所あるかというような時、使用されるのが欠点数データ(C)管理図です。
ゼロであれば最善であるが、数が多ければ多いほど悪いときは、不良率として定義することはできません。そのような時、欠点数(C)としてデータを扱います。 二項分布は、極限として n→無限大、p→ゼロ のときポアソン分布にしたがうので、欠点数(C)データの管理図はポアソン分布をするものとして管理線を作成します。
X−Rs管理図 品質や製造条件などの計量値 合理的な群分けができない場合、または決められた工程から1個の測定値しか得られない場合、測定値をそのままプロットして、範囲Rのかわりに移動平均Rsを使用したものがX−Rs管理図です。バッチ処理などでバッチ内とバッチ間のばらつきが異なり、バッチ間の変化を把握したい場合などは、副群の平均値と平均値の移動平均を用いることもあります。RQCでは解析に使用する変数の指定でデータか平均値を選択することができます。

解析用と管理用の違い

解析用の管理図は折れ線グラフが先に描かれ、後から中心線(CL)と3σ線が記入されます。
これに対して管理用の管理図は、中心線(CL)と上方管理限界(UCL)下方管理限界(LCL)が先に決められ、後から折れ線グラフが記入されます。

RQCでは、「以前解析したときの管理線情報を使用する」を選択することにより、以前、解析を行ったときの中心線(CL)と上方管理限界(UCL)下方管理限界(LCL)を現在の管理図に使用することができます。


品質管理講座
RQCで始めよう!品質管理的アプローチ
第一回・・・現状を的確に把握しよう(1)
     (変数別グラフ・変数別統計量グラフ)

第二回・・・現状を的確に把握しよう(2)
     (ヒストグラム)

第三回・・・効率よく問題点に取り組もう
     (パレート図)

第四回・・・変数間の関係を調べよう
     (散布図・相関分析・回帰分析)

第五回・・・統計情報線を活用しよう
     (3σ線の活用・統計情報線)

第六回・・・管理図を活用しよう
     (管理図)

第七回・・・データを分類しよう
     (層別)


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