柴田の政務・法務ページ

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まずタイトルの候補を決め、アンケートもとろうと思います。

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柴田の独り言

22.2.20

 いつも皆さんからたくさんのご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。

 私が、町の皆さんの声を伺う理由をまとめました。

◎菰野町では、私には要望を受ける権限はありません。私の役割は最終決定者です。

 時代劇や昔話のように、王様の鶴の一声で物事が決定するということはありません。 

 よって、私が拝読した要望が、優先して要望が実現することはありません。
 むしろ直接の要望実現のためには遠回りです。


◎私がご意見を頂くのは、町の施策を実施するにあたって参考にするため。
 百聞は一見に如かず。町の状況を正確に知るためです。
 お声が施策にどう生かされたかは、広報等にて確認をお願いします。


◎お困りごと解決のルールは内規で決められています。詳細は住民連携室等にお問い合わせを。


◎町では限られた予算を公平に還元できるよう慎重に検討した上で事業を実施しています。

 道路の建設やカーブミラーの設置のように多くの方から要望をいただいている案件について事業をするか、どういう順番になるかは役場内で協議をして決めています。

 近道や、裏道は一切ありません。


21.7.22
 少し町政の基本事項を追加します。

・自治体が行う事業は、利潤があがらないものに限る(利潤があがるように見えても経費がはるかに大きい)

・財源は、税金と国からの交付金・支出金が主なもの。菰野町は、2割が交付金により支えられている。

税金という自前で調達できる財源を確保すると、国からの交付金が減らされる

・ふるさと納税は大きな金額が期待できない(現在菰野町は年5000万円流出している)
 固定資産税、人口増による住民税は少子高齢化によって減少傾向。
 誘致等は全国で実施しており、菰野町も実施しているが、増収を見込むには10年単位の時間がかかる(増収するとも限らない)。

・菰野IC周辺へ、企業と住民の誘致(家を建てたり事業をするための土地の提供)は行っているが、もう3年たっても土地が売れない。

・菰野町は、法律的な規制がある土地が多く、提供できる条件がよい土地が少ない。

・そもそも住み替え、事業所移転をするということ自体が頻繁に行われるものではなく、チャンスは多くない。

21.5.25
 今日は、英明な住民になるために、町政の基本事項、おさらいです。

 ブログに掲載した記事と共通しますが、これまで説明してきたことのまとめになるので、ここにも掲載します。

・ある意見には、ほとんどの場合反対の意見もあります。自分の意見が間違っている可能性も考える必要があります。
 反対意見も大切にしてください。

・学校等、教育関係の事柄は、教育委員会(町長部局とは別の団体)に決定権があります。
 町長はお金を出すだけです。

・菰野町は法律で決められたことしか、することができません。
 自治体は、利益を生まない。しかし、住みよい町を作るために必要な事業を行うものです。
 民間がすることはできません。
 国や県に権限があることや、役割分担の観点からもできません。

・自治体が皆さんの生活を支えることを公助、といいます。
 自助、共助との役割分担、自立心が皆さんの生活をよくするため大切です。

・町長は、みんなで話し合ったことの最終チェックをする立場にあります。
 ひとりで何でも決められるわけではありません。

・町長の仕事は、色々な意見を聞いた上で、その調整をすることです。

・市町によって、財政力には差があります。
 他の自治体ができても、菰野町では体力がなく実現が難しいことがたくさんあります。

・現在、菰野町のお金は、事前にほとんどは使い道が決まっています。
 たくさんの事業をしているからです。
 新しいことを始めるのは、何かをやめなければいけません。

・今のままだと令和5年に菰野町の貯金は底をつきます。

・要望は、決まった窓口に書面で提出しないと受け付けたことになりません。

・要望が早く通るには、各課の専門家である職員が、実施できると判断することが一番の秘訣です。

・カーブミラーを付けて欲しいなどのよくある要望は、とても長い列ができていて、順番待ちが必要です。以上



21.5.3
・時代劇や昔話を見ていると、王様や殿様、将軍など最高権力者が英明であれば、国は住みよく治まるという話が出てきます。
 もちろんこれは真理をついていると考えられます。

 現代社会での最高権力者は国民です。
 ですから、住みよい社会は、国民や住民自身が英明であればあるほど実現します。

 代表者も選挙で素晴らしい人物が選ばれるでしょう。

・江戸時代の歴史などでは、ある代に貯えられた財産を、次の代が使い過ぎ、その次の代で倹約令や興業などによって、財政再建が図られるということが波のように繰り返されています。

 一昔前、高度成長期やその後しばらくは、日本が壮年期にあり、収入の増加を見込むことができ、
 これは各家庭も同じことでした。
 
 しかし、この状況がいつまでも続くはずがないことは歴史からも学ぶことができます。
 
 現代は、経済や活力が成熟期に入り、これまでと同じ活動を続けていたら、蓄えは使い果たされ、
 徐々に地域の力は衰退していきます。
 
 ほとんどの人は、もっと追い詰められないとなかなか理解できないかもしれませんが、そのときまで何もしなければ、一層状況が悪化して立て直しがもっと困難になるでしょう。

 難しいことですが、私はまずこの数年は、現在の状況を知り、覚悟を決めてもらう人が一人でも多く増えようにする準備期間だと考えています。

・そして、皆さんに決めてほしい覚悟は、なんでも人任せではなく、まずは自分でやってみて、うまくいかないときに他者を頼る。

 まずは自助を試みるという姿勢を身に着けること。

 自助と共助、そして公助は役割が違うので、すべてをこの3つのどれかに求めるのは間違いである。
 むしろできることが自違うこの3つが連携をすることが大切だと心得ること。

 住みよい暮らしには上限があり、現状維持だけでも難しい。さらに豊かな暮らしを実現するには大変な努力が必要ということ。

 得られるものには人事を尽くしても限界があるので、あきらめもつけ、与えられた範囲でのベストを尽くすこと。
 

21.4.1
・少し意識が高い方なら、SDGsという言葉を耳にしたことがあると思います。
 これは、全人類が、引き続き人間らしい生活が営めるようになるための、様々な目標のことです。
 
 世界には、未だ人間らしい暮らしが確保できていない方々がいます。
 一方で、一定水準の暮らしを営める人々も、この水準を維持することが難しい状況におかれています。

 要するに、人間らしい暮らしを確保するためには、誰もが何らかの努力をしなければならない。

 そういう状況にあるということです。

 日本の高度成長期は終わりを告げました。

 菰野町も例外ではありません。
 町の現状をみると、新規事業を行わずとも支出が大きく増えていく状態です。
 収入が増加する確実な見込みもありません。

 しかも、一度経験したよい時代が転換しているのに
 そのことを気が付かない。気が付いても行動様式を変えることができない傾向も見られます。

 努力がそのまま向上につながる時代は終わり、
 現状維持のためにもたいへんな努力をしなければならない時代がもう来ているのです。
 まずは、菰野町の皆さん全員に、この事実をよく知ってもらう必要があります。
 
・最近、皆様からお声を伺って感じるのが,歴史,昔話,時代劇の影響です。

 昔話に出てくる王様や将軍は、絶対的な権力者です。すべての権力を持っています。

 しかし、少なくともいまの日本にはそのような権力は存在しません。
 昔の王様が持っている権力の一部を分け合って持っているだけです。

 自分で法律を作って、執行し、裁判ができるのが王様です。

 翻ると、まず国のレベルで立法・行政・司法で権力が分かれています。
 さらに国と県、市町で権限が分担されています。

 菰野町長ができることは、国や県ができること以外の残りですし、それもあくまで法律等の枠内に限ります。

 財産の処分について、民間企業の社長が、自分で出資して作った会社についてであれば、ほぼ何でもできます。
 しかし、私は預かった財産を管理しているだけです。
 自分の気持ち一つで勝手に処分をすることはできません。

 町の財産の量は皆さんが思うほど多くはありません。、
 ほとんどが既存の事業を実施するために用途が決まっており、余力はありません。

 首長の権限はこの程度のものです。
 昔のお殿様や民間企業の社長とは根本的に異なります。

 この事実もまた知って欲しいと思います。
 限界を知ることが、同時に自分がしたいことを実現する最善手をとるための前提だからです。


21.3.18
 最近、1か月1回更新しています。

 感染症流行の防止に皆さんに多大なご協力をいただいています。
 そのとき、自然と私が感じるのが
 「多大なご協力頂きましてほんとうにありがとうございます
 「必ず出口はあります。今は少し休んでください」という気持ちです。

 一方で、感染流行のなかの舵取りについて、
 マスコミ、医師、そして公務員特別職(議員や首長)のうち、
 しばしば行動に違和感を感じることもあります。

 感染者が増えたら、自粛自粛。
 その背後にあるのが、みなさん、そして飲食店等お店の努力が足りない、もっと自粛しろとでもいうような空気です。
 感染者が減っても、感謝の言葉は形だけ。
 むしろ、「もっと我慢しろ」「まだまだ我慢しろ」とでもいうような空気。
 リバウンド、下げ止まりなどの言葉からは、そんなニオイを感じます。

 そして、常に感じるのが、感染者が広がる理由を皆さんの誰かのせいにしようとする意思
 ねぎらいがなく危機感をあおるだけの発言が出てくる背後にあるのが、この意思に感じます。

 マスコミも医療関係者も特別職も、感染症対策のため発揮できる特別な力があります。
 しかし、何かに目を背けた結果、適切にその力が発揮されていません。

 たとえば、3月現在ならば、リバウンドがどうしたと危機感をあおるのではなく、
 必要なのは
 励ましと、経済対策と、ワクチン接種・患者受け入れ態勢の充実のはず。

 直ちに感染拡大を止めるということは人事では、ほとんど不可能です。
 できないことをやろうとしたり、危機感をあおる言葉を発することはむしろ忌避すべき。
 
 私はそう思っています。
 そして、私と意見が違う空気を発する人たちとの違いが出てくる原因は、

 人に対する情愛の心の分量の違いか、あきらめのツボが違うか。
 さもなければ、仁の心の有無にあるのではないか。
 情愛や仁の心が足りないと感じています。

 次回は、日本でSDGsを達成するには、
  自助共助公助の連携
  倹約の精神、足ることを知る。
 ……がキーワードになるという思いを語ります。


21.2.11
 企業は、顧客の満足度を上げることで、利益が最大になるように努力をすべきところです。しかし行政は利潤を上げるのが目的ではなく、公益を高める役割を果たすのですから、どうふるまうべきかとの方向性を定めるのは簡単ではありません。

 私は、行政は助け合いの組織で、利潤があがらないけれども住みよい街を作るのにしなければならない事業をするものと考えています。
 税金等、対価関係がない(支払った額に応じて報いられるわけではない)お金を資金にするのも、利潤があがらないけど、必要な事業だからです。

 私は、弱者救済を中心に住民さんが望む事業を、合理的に実施をすることを目指してきました。が、何が合理的だということを理解していただくのは大変難しく、そのことを2年間悩んできました。が、多少不合理でも皆さんの素朴な声を優先する。それが民主主義なのかもしれないと思いなおしました。

 理想に向けてまっすぐ進むのではなく、皆さんの声にこたえながら、少しずつ理想的な方向に迎えるよう賛同をえること。目先の事業としては、皆さんの声にこたえることを優先すればよいのかもしれないと思っています。

  もちろん、行政に権限がない、予算がないなど端からできないこともあるのですが。その点は、逆に皆さんに行政が助け合いの組織であること、そして、集まった資金を最大限に活用するのですが、それでも歳入予算の限界は厳然として存在をすることを、一人でも多くの方にご理解いただけるようにしていきたいと考えています。

 

21.1.2
 皆さん自身で政治的な判断をするのと、代表者に判断をゆだねるのでは、前者、つまり直接民主制が理想的だと感じる方が多いと思います。
 総理大臣は国民が直接選挙で選びたいと考える人も多いでしょう。
 
 しかし、日本国憲法は、その権力は国民の「代表者が」これを行使するとしています。

 この意味は、憲法は、政治上の判断を、国民の直接のものではなく、代表者にゆだねているものとされています。
 首相の公選も、憲法改正をしなければ実現しません。 

 これは、株式会社も同じです。
 特に取締役会を設置した株式会社は、会社経営における意思決定を取締役会に委ね、株主からは切り離しています。

 この理由は、多額のお金をたくさんの従業員を用いて運用するには、専門的な判断が必要であるからです。
 皆さんも、何億ものお金を運用し、経営判断をすること。誤ったら責任を取らなければならない、となればどうでしょうか。

 これが政治上の判断となると、同じく難しい判断が求められるでしょう。
 これが、憲法にて政治上の判断を代表者が行使するとされている理由です。
 ※ほかにも、構成員が多い場合、いちいち直接の判断を構成員がすることは現実的ではないという理由もあるでしょう。

 総理大臣を直接の公選するとなると、能力ではなく、単なる人気投票になり、人選の的確さに疑義が生じるとも思えます。
  
 私も含めた自治体の職員は、自治事務についての知識と経験を積み、たくさんの皆さんの声を聴いて公平な判断に努めています。また、限られた財源のなか、菰野町が果たすべき役割を踏まえ、住みよい街を作るため最善の判断をすることに努めています。職員一人一人にその精神によることを指導しています。

 皆さんの要望にすぐに応えられないのも、私たちは自治体の役割や、反対意見、法律や県の条例等の規制など様々なものを考慮した、専門的判断に基づいています。

 多少説明の丁寧さに欠けるうらみがあることは否定しません。
 しかし、皆さんが素朴に疑問に思う政治上の事柄は、専門的知識と職務上の責任に基づき、ほぼすべて検討済みであるということは明確に述べておきたいと思います。

 本年もよろしくお願いいたします。

20.11.23
 現在公務員の採用は,すべて試験で点数化して行われます。

 菰野町では筆記試験,小論文,面接試験とあり,後者2つは複数の人物が別々に点数をつけます。
 町長だから,点数配分が多いということはありません。

 採用にあたっては最終的には私の決裁が必要です。しかし,試験の結果を無視した決済をすることは事実上無理です。
 このようにして公平に採用が実施されています。

20.11.22
 前に議会と教育委員会,そしてその他の町長部局の関係を説明しました。
 
 この3つの組織は,菰野町を住みよい町にするという目的は共通するものの,法律上,別の会社と同じぐらい別々の組織ということになっています。

 とはいえ,議会と教育委員会の予算と職員の人事は,町長部局が原案を作ります。学校の職員は,任命権と予算編成権は菰野町と県が分けてもっています。

 議会は,このうち予算に議決します。このため,町長としては,議会にお願いしないと町の事業の執行はできません。
 このため議会は独立した地位が確保されています。

 ただ,教育委員会は,予算と人事が他人に握られています。
 会社でいうと,子会社のような状況にあります。
 ですから,その独立性は,現実的には完全なものではなく,首長の自主性に任されています。

 前に述べたとおり,首長自身が,教育委員会が独立した組織であるということを理解していない疑いがある場合も少なくありません。
 このため,教育委員会の自主独立性は事実上は完全なものではないということが実情です。


20.11.21
 自治体の財政についてのお話です。

 国と自治体の財政が根本的に異なるのが,国は歳入がすべて自前で賄っているのに対し,自治体は独自の財源だけでは必要な歳入を賄うことができず,国からの送金(地方交付税交付金と国庫補助金等)に財政が支えられているということです。
 菰野町は,8割を自前の財源で賄えていますが,交付税に歳入が支えられています。
 全国の自治体のうち,自前の財源だけで歳入を賄えているのは,1.5パーセントに過ぎません。全国27のそのような自治体のうち,一つが川越町,もう一つが四日市市です。

 なお,自治体の運営に必要な金額(標準財政規模といいます。)というものも,算定方法が決まっており,自治体が自分で決めるものではありません。

 自治体は,自前の税収に,国からの交付金を加えたお金の枠内で運営をしなければなりません。
 みなさんからの要望が実現しない理由として,財源がないというのは,既に現状の税率と交付金額で実施できる一杯の事業がされているからです。

 その枠内で優先順位を考え,合理的に自治体は事業運営がされています。

 なお,自治体は,法律で許された事業でしか借金はできません。借金すら自由にできないというようにかなり強い拘束がされています。
 国だけは,赤字国債を発行することで,事実上自由に運営資金を調達できます。

 菰野町の場合,前に説明したように,ほとんどの収入は,経常的経費に消えてしまい,新規事業に充てられる資金はわずかです。

 ただ私は,枠内で,上水道の料金はきちんと将来実施できる金額に整え(5月に基本水量制を導入),中学校給食を開始しました。
 9割の中学校までの生徒についてて医療費の無料化を実現しました。

 一斉給食を実施する方策も検討済みです。新しい道の駅の用意のアイデアもあります。

 ただし,一斉給食や道の駅を実現するにあたり,車で例えると,アクアを購入できても,メルセデスの購入をするほどの余裕はありません。
 車だとわかりやすいのですが,給食についてはご理解を頂くため丁寧な説明とご理解が必要と考えています。
 ただ,合理的な判断に基づく理解をしていただけるなら,一斉給食も道の駅も実現します。 



20.11.2
 私を含め、行政職員が皆様から頂いたご提案への対応として、障害となる事情、すぐに要望に応えられない理由を紹介することが少なくありません。

 職員ができない理由ばかり言う、と感じられる方もおられると聞きます。

 ただ、職員の発言の真意は、職員が皆様から頂く問題点は既に把握しており、検討も進めているということです。
 検討しているから、障害となる事情が何かを把握しているのです。

 障害となることの説明は、決して提案を受け入れないとか、やる気がないということではありません。
 しかし、この説明はみなさんと、どうこの障害を越えるかを検討しなければならない問題点を共有するためのものです。

 妨げになるものに目をつぶっても思いは実現しません。その妨げをきちんと認めて、これを克服したりすり抜けたりする手立てを考えなければなりません。

 考えてみると、弁護士の仕事も、依頼人の希望を叶えるため、法的な事務処理をどのように工夫すればよいか。うまく先に進められるかという手立てを考えるものです。

 仕事の内容はとても似ています。すべては依頼人の利益のために。この利益を実現するため、もてるスキルを最大限に活用する。

 この点で、弁護士が議員や首長になることは、職務上どちらも同じ姿勢で取り組むことになる。
 有権者の利益を最優先に、何とか思いが実現するように努力するという点で、よいことではないかと自負しています。

20.9.23
 自治体の組織は、株式会社に例えるとイメージが湧きやすいかもしれません。
 どちらも、たくさんの人の思いを受け止め、設立の目的に沿った事業を展開するものです。
 この点でどちらも共通するので、組織も似てくるのです。

 株式会社は、株主がお金を出し、この出資者である株主が役員を選びます。
 役員は、経営上の意思決定と業務執行を監督する取締役、経営担当者に違法な経営をさせないためのお目付け役である監査役などがあります。

 自治体や国は、株主が住民・国民で、取締役が議員です。監査役は監査委員になります。監査委員は選挙で選ばれるわけではない点が会社と異なります。

 株式会社では、取締役は会社の業務上の意思決定を行います。
 しかし、取締役会が設置された会社(規模が大きな会社が想定されています)では、取締役一人一人には会社経営の意思決定権はありません。
 取締役会という合議体が意思決定をします。

 この取締役会が、議会にあたります。政治上の意思決定と執行機関の監督をすることが任務だと考えて結構です。

 業務執行そのものは、取締役会が、取締役の中から、代表取締役を選びます(肩書は、社長でも会長でも平でも、代取ならば業務執行権があります)。
 この代表取締役が、取締役会の決定を執行します。
 代表取締役は複数選んでも構いません。また、業務執行を、補助者(商業使用人といいます)を雇い入れて、業務執行を補助させても構いません。

 国は、議会が、議員のなかから内閣総理大臣を選任し、この総理大臣が他の国務大臣を選んで内閣を構成します。
 選ばれ方は会社と似ていますが、内閣総理大臣ではなく、内閣が意思決定権を持っているところが異なります。

 自治体の場合は、議会ではなく住民が直接に代表取締役、つまり首長を選びます。

 国や大規模な会社ほど専門的な知識がある人が業務執行にあたるべきである。
 その能力がある者は、構成員に直接選ばせるよりも、業務執行の意思決定をする能力がある者に選ばせた方がよいからです。 

 自治体が扱うことは、身近な事柄です。となると、直接に住民が業務執行の担当者、社長を選んだ方がよいという考え方です。

 なお、株式会社でも、定款(国の憲法に該当)に定めを置くことで、株主が社長(代表取締役)を直接選ぶことができます。
 総理大臣の場合は、憲法を改正すれば、国民が直接、総理大臣を選ぶことができるでしょう(ただ、その当否は議論の必要があります)。

 

20.9.21
 自治体の組織は,教育委員会,議会,首長を初めとしたそれ以外の組織(執行機関)で構成されています。
 首長の権限は,教育委員会,議会に及びません。それぞれが独立した機関です。

 教育委員会が独立した機関であるのは,議会と首長の交代によって,教育の内容が左右されないようにする,中立な立場を確保するためのものです。
 教育という作用は、専門性が高いので、専門家の判断を尊重する意味もあると考えられます。

 ただ,教育内容に関することに首長が触れられないことはほとんど知られていませんし,この建前に沿った行動を首長がしているとはいいがたいのが現実です。
 私は,少数派ながら,可能な限り法の建前に沿っていきたいと考えています。

 一方で議会は,合議制の機関です。

 言い換えると,議員が議論をした上で,議員の多数の者の判断によって成立する議決によって権限を行使します。

 議会の仕事は、地方自治体のうち重要な事柄の意思決定を行うことです。

 合議体ですから,意思決定しかできません。

 また,議員一人ひとりには,法定の権限はありません。
 政治的な影響力を行使する議員は,議会としての議決ができることを背景とするものです。



20.9.17
 なかなか次の話になりませんが、また別の話です。

 首長に直接要望を述べても、要望が実現しにくい理由の補足で。
 15憶円の駐車場の建設をやめる方が、カーブミラー一つつけるよりも、私が自由な判断ができる、というお話をします。

 まず、カーブミラーを付けて欲しい、道の消えた白線を引き直して欲しい、隣の土地の草を刈ってほしいなどの一つの町の中であちこちから出てくる身近なお困りごとです。
 実は、このようなお困りごとについては、繰り返し相談されたことですから、処理の窓口、仕組み、手順が決まっています。
 ですから、町長など首長が口をはさむことができる余地はありません。決まったルールどおりに処理をするというだけです。
 このルールは私でも曲げられません。違法または不公平になるからです。

 このため、要望がとおらないところは、いつまでもとおりません。
 たとえば、隣の土地から生えてきた草や木の問題は民事紛争で、自治体は当事者になりません。民事紛争を処理をするのは基本的には法律家だからです。
 事実上の指導を迷惑をかけている人に対してするほかないということになります。

 白線やカーブミラー、街灯については、もともと税金を投入するには効果的でない要望があります。
 そのことがはっきりしている場合には、いくら要望をしても実現しません。

 必要な事業、公が実施できる事業についても、予算や人員の関係でたくさんの方が順番待ちをしている状態です。
 三重県の場合、白線を引く予算を県は増やした、がんばったとの説明を受けていますが、それでも要望の3分の1しか満たされません。

 というわけで、町長はそもそも要望を受け付ける窓口ではないというだけでなく、私が自由にできる余地がない。
 これが、身近なお悩みごとの処理ができない、できても時間がかる理由です。

 私の感覚だと、むしろ給食を実施しよう、道の駅を作ろう、条例を作ろうという大きな事業の方が、法の枠はあるとはいえ、むしろ私の判断ですることができる、と感じます。


20.8.11
 久々の更新です。自治体の組織は,教育委員会,議会,首長を初めとした残りの組織で構成されています。
 首長の権限は,教育委員会,議会に及びません。それぞれが独立した機関です。

 それ以外の職員は副町長以下,すべて考学上補助職員とされます。
 首長は,議決事項については議会の決定を執行し,それ以外の自治体運営に必要な業務は,教育委員会案件以外はすべて実行できます。
 実際には一人で全部をすることはできませんから,職員には町の業務を執行を補助させますが,議決事項,教育委員会案件以外はすべての決定権と,対外的な代表権を持ちます。

 会社でいえば,首長は代表取締役です。
 ただ会社とは違い,一人しか置くことはできない。それが首長です。


20.7.26
  執行部と議会との関係についての記事を近いうちにアップします。
  また,予算の調製,人事などについての民間企業との違いも触れたいと思います。  


20.7.17
 今日お話するのはなぜ自治体は,資金が足りないか。大きな事業ができないかです。
 菰野町は一般会計が130億円前後。すごいお金だと感じますよね。これだけあれば,大抵のことがすぐにできそうです。
 
 しかし,実際はそうはいきません。
 まず,長い歴史で,菰野町は町の人の生活を支えるため,既に多くの事業を実施しているからです。
 ほとんどの資金は,既存の事業の運営に回されてしまいます。
 同じように職員も仕事が必ずあるようになっています。
 予算の無駄遣いがないよう,既存の事業の実施との日常業務+αをこなせるだけの人員しか採用していないからです。

 また,自治体は,増収が簡単ではありません。
 もともと自治体の事業は営利性……利潤を上げる性質がないものに限ります。
 もともと利潤が上がらなくても住みよい町を作るため必要な事業があり,これを担当するのが自治体だからです。
 また利潤をあがる事業に乗り出すと,民業の圧迫になるので,これを防ぐ必要もあります。

 税金が一方的に徴収できるのは,利潤があがらないが,どうしても必要となる事業を皆さんに支えていただくためです。

 もともと営利を目的としないという事業の性質上,一山当てるということはありえません。
 大きく税金を増やすためには,税金を収めてくれる企業等を誘致したり,開発行為等により法人なり住民なりの人口を増やし,所得税や固定資産税,法人税を増やすしかないことになります。

 その上,地方税の税率は,国民の負担が大きくならないよう,低く抑えられ,ほとんどの自治体が経常経費を賄うことができません。
 国からの交付金等がなければ自治体経営はできません。このおかげで,生活上必要な行政サービスが全国どこでも受けられるようになるのですが。 

 事業資金を自治体が借り入れることができる場合は法律上かなり厳格に制限されています。
 国だけは,毎年特例法を制定して,目的の制限がなく借入(赤字国債発行)ができますが,自治体が起債(借入れ)はそう簡単にはいきません。

 お金を借りたくても,法律上借入が許されていないのです。
 起債がきく場合が大変少ないので,「起債ができる場合はチャンス。積極的にそのような事業をすべき」というのが実情です。

 以上のような理由で,多額のお金が必要となる事業は,どんなに住民からの要望があっても簡単には実現しません。

 そこで,自治体が事業をするにあたっては,起債がきかないか,国や県の補助金等の対象にならないか。
 さもなければ地道に基金という名の貯金を積み立てるということになります。

 このような制限がある中で,事業を取捨選択したり,順序を考えたりして,事業を実現に向けて工夫をしていくわけです。
 菰野町政の舵取りには,工夫が必要であり,だからこそやり甲斐もあると考えています。


20.7.15
 今日は,町の新規事業が実現する過程についてお話しましょう。
 町の事業は,担当課,室,係ごとに配属された職員が,事業をするため必要な事柄……
 たとえば予算や要綱,規則の立案,計画の策定,設計などをするところから始まります。

 起案のスタートは,私が指示をすることもありますし,
 他の町の状況など諸々の事情・必要性(行政需要)から,菰野町で実施することが必要な事業を各課が提案することもあります。
 
 もちろん起案担当者一人では分からないこともあるでしょう。
 ですから,その過程では,他の職員,係長,課長,さらに必要に応じて私との協議がされます。

 このようにしてできあがった案を,担当課で係の全員⇒係長⇒室長⇒課長の順で,担当課の職員がチェックし,
 最後に私がチェックをして気になることがなければ決裁を下します。
 このように専門知識をもった職員と,町民の代表者である私,さらに重要な案件は私が議会に提案し,当町では18人の議員が審議し,やっと事業は可能になります。

 以上の過程を経ることで,間違いやおかしな事業が遂行されることを防ぎ,合理的な事業が組み立てられていくのです。
 民主主義はトーナメントです。様々な要望,提案が協議などの過程でふるいにかけられ,合理的な事業のみが実現するのです。

 ※各地区(=昔の村)の要望も,地区でふるいにかけていただき,区長さん(=村長さん)に代表して町に伝えていただき,その可否を検討します。

 もちろんこのような過程の途中で廃案になる事業があることも少なくないし,始まりが私が指示したことであっても例外ではありません。

 町長が何をしているか知らない方も多いと思います。
 私の仕事の多くはこのような町の事業の立案以前,立案途中などでの協議,新規事業開始や廃止,変更などの指示,起案に対する決裁ということになります。

 私は,菰野町のほぼ全ての起案について決裁を下しています。
 課長だけで決裁ができる案件はそこそこありますが,副町長が決裁できる案件はかなり少ないのが菰野町の実情です。
 (なお,私が決裁ができない案件はありませんから,現在は副町長案件も私が決裁しています。)

 私はすべての課を対象として起案に決裁をし,起案の指示,協議もします。ですから,私がどこにいるかを職員に常に把握してもらわないと大騒ぎになります。
 さもないと,即時に決裁や協議に応じることができず,多くの町の事業をこなしていくことができないからです。

 もちろん,このような内部的な事柄だけでなく,対外的に菰野町の代表として,菰野町の意思を県や国,その他の団体に伝えたり,協議/交渉をしたりもします。
 町全体の重要な事業を執行し,対外的にも重要課題についての代表を全てこなしますから,町長の仕事はなかなかの分量があるということになります。

 また,私がやりたいと思えば,すべてできることになるわけではないことも理解していただけると思います。
 要望を実現したい場合は,私よりもむしろ担当課に提案をすることが大変重要です。

 あえていえば,無理矢理私が職員に命令すれば,組織法上大抵のことはできますが,それでも議会がそれを止めます。
 もちろん私自身も,勝手な事業を無理にさせたりすることはしません。

 このような仕組みで,権力が濫用されることが防がれるようになっているのです。

 さらにいうと,このような過程を経て慎重な作業をしていることと,
 要望の数が多くどうしても要望が長蛇の列になっていることの2つが,
 要望実現に時間がかかる理由であるということになります。

 要望は不合理であれば実現しません。合理的なものも実現に時間がかかります。その理由も以上の説明で理解していただけるでしょうか。

 次回は,議会と町執行部(町長と補助職員の集合体)との関係についてお話しましょう。
 


20.7.14
 昨日は役割分担という話をしましたが,この点に少し補足させてください。
 菰野町は多くの団体と同じように,予算の枠内で,組織的に町の人の利益を確保するための活動をしています。
 
 命や財産を守り,住みよい町を作るには,町民自身が自分でやった方が効率がよいこと,地域で協力して実施した方が適当なこと,町全体で力を集約しなければできないことのうち,町は最後の部分を担当します。 

 このため町は組織的な活動をします。そこでは多数の人が,それぞれの適性に応じて,違った仕事を担当します。

 私もその一員なので,私が他の職員の仕事まで担当することはできません。
 それぞれが人間一人が処理できる範囲での役割を担当しているからです。
 まして私一人で全部を担当することは不可能です。

 私の代わりはなく,私も他の職員に代われません。

 ですから,職員の皆さんがいなければ町政を運営できませんし,このとき職員さんのおかげで町政が成り立っているということを私はよく理解できるのです。


20.7.13
 かなり間が空きましたが,今日のお題は,「冷蔵庫が壊れた場合,役員に直接,修理を依頼するということはしない。そのメーカーのお客さま相談室などに連絡する」
 ……ということについてです。

 たとえば,私が菰野町内をうろうろしているときにいきなり,「この交差路にカーブミラーをつけて欲しい」と話しかけられることは少なくありませんし,
 SNSのメッセージなどで「外灯をつけて欲しい」「他の市町のようにお金を配って欲しい」とのご要望を拝受することはあります。

 たぶん,多くの方は,私に菰野町のことを決める権限が何でもある。その気になれば何でもできる。実現しないのは私が気がついていないとか,やる気がないのではないか,予算がないからではないかと想像されていると思います。
 
 このように感じるのは,たぶん子ども向けのお話などで,昔のお殿様が,鶴の一声で大抵のことをやってしまうという場面が出てくるからだと思われます。
 しかし,話はそう簡単ではありません。

 ご要望に応えられない理由は様々ありますが,まず最初に説明をしたいのは,町長の役割についてです。

 町長は,町作りの大枠についての指揮監督をします。特に給食の実施のような新規事業をするかしないか,自治体によって対応にばらつきがあることをやるかやらないかは,町長の判断が大きいでしょう。

 ただ,町長が指示をした新規事業について,その実現の具体的な道筋は各担当課が検討をします。
 また,従来から継続している,どこの市長でも実施しているような事業についても,各担当課が実現に必要な作業をします。

 最後に町長は,各担当課がまとめた内容が町民と一般的な正義心からみて明らかにおかしくないか,を確認して決裁をすることになります。

 規模が大きく,沢山の活動をしている団体は,構成員が多いというだけでなく,構成員が役割分担をしています。
 
 同じように,多くの事務を効率的に処理をするため,たとえば要望について受け付ける窓口の担当者は決まっていますし,要望の実現が可能か検討する処理手順もまた決まっています。

 そして,少なくとも私は要望を受け付ける窓口の担当はしていません。
 私は私しかできない別の担当があるからです。
 これが菰野町の役割分担ですし,ほぼどの自治体でも共通するルールです。

 ですので,私に言って戴いた要望はそのままでは実現しません。
 もちろん言葉の意味は理解できますし,事業としてやる必要性があるのではないかなどの参考にはなります。
 しかし,町が正式に受け付けたわけではありません。ですから,その要望がそのままで実現することはありません

 もしも要望を本当に実現したいのなら,その受付窓口はどこか。その際に要望をどのような形で述べるかのルールに則る必要があります。
 私に思いを伝えるというのは,要望実現には補助的な意味しかありません

 面倒くさくて恐縮ですが,決まったル−ルとはたくさんの方からの要望を間違いなく実現可能か検討するためのものです。
 ルールを人を見て曲げることは,不平等になるので,できません。
 円滑な要望受付のため,どうかご協力をお願いしたいと思います。


20.6.30
 塀が倒れてきたから片付けろということは,所有者に主張すべきである。
 これは,事件は当事者間で解決することが原則。所有者が責任を負うことが原則。
 行政は第三者だから,事件を最終的に解決する権限がないということを説明しました。

 一方,ラーメン屋に行って「寿司を握ってくれ」ということをお願いする人はあまりいない……ということですが,行政ではよくそういう要望をお受けします。

 たとえば,国道477号線は県管理なので,菰野町は県に要望を伝えるだけです……ということがなかなか理解してもらえない。めんどくさがっているだけだとか,不親切だとか思う人がいます。

 しかし,県管理というのは逆に言えば,町は管理する権限がないということを意味します。
 仮に手が出せたとしても,菰野町の税金を使うことになります。
 どの自治体もお金は,権限内のことを実施するギリギリしかありません。人も必要なだけしか雇っていません。
 にもかかわらず,他の自治体の役割まで実施していれば,人もお金も足りなくなります。

 このような難しいことを言わなくても,とにかく民間なら,「うちは扱っていない」という商品を売ってくれということにはならないですよね。
ただ,行政だと,そういう常識が通用しにくくなります


 これは色々な原因があると思いますが,その原因のうち大きなものは,国,県,市町など様々な団体で,どう権限が配分されているかを一般の方が知らない。むしろ役所というくくりで同じものだと考えているからではないでしょうか。

 もちろん,民間のように,「うちは○○を取り扱っていますよ」というわかりやすい看板を掲げていないし,掲げることが簡単ではないということも理由だと思います。

 ですから,権限がない事柄について要望を受けてもこちらは十分なことができず大変残念ですし,同時に皆さんが国や県が担当する事柄を町に要望を出すのはやむを得ないことだと思います。

 特にわかりにくいのは,教育に関することは,教育委員会が権限をもっており,首長は(かなりこれだけでも権限は大きいのですが)教育委員会の職員人事と予算編成権があるだけだということです。

 町立学校のことなら,教育に関することも全部首長に権限があると考えてしまうのは,あたかもそのように振る舞う首長が多いせいで,なかなか理解してもらえません。
 教育が政治的に独立しているべきであることも,かなりの力がないと理解できないかもしれません。

 しかし,教育内容に関することをいくら私に要望をされても,教育の専門家ではなく権限もない首長が手を出すべきではないし,出すことは法的に許されません

 同じことは国や県など他の機関に権限があることでもいえます。
 このことを理解した上で,要望をするならその事柄を担当している機関に対してすることが,賢い有権者になるポイントだということは知っておいてほしいと思います。


 ただ,役割分担は決して分かりやすくありません。また,町の要望を代表して国や県に伝えること,教育の要望を事実上教育委員会に伝えることも首長の仕事には入ると思います。
 ですから,事実上可能なことは,たとえ権限がないことでもできる限り努めるようにしています。

 また,可能ならばワンストップ窓口を設けて,要望を一手に引き受け,これを適切な役所等に誘導する仕組みを作ることが理想だと考えています。


20.6.28
 まず頭に置くべきルールは,所有権など財産権を初めとした皆さんの権利は,何人も,もちろん自治体も侵すことができないということです。

 たとえば,道路を通して欲しい,水道をひいてほしいという要望を戴いたとします。
 その道路や水道管を通す土地が民有地の場合,その土地の所有者が承知しなければ,どんなに素晴らしい計画でも実現しません。
 土地の所有者が,公共事業の実施に協力する義務はなく,どんな理由で協力を断っても構いません
 法律上は強制収用ができるという定めがあっても,少なくとも現在は強制収用することはありません。

 公共事業の実現には,もちろん皆さんから戴いた税金を主な財源として実施します。
 ですから,一部の方の利益のためではなく,公益性や,ある程度の経済的な合理性などが必要なのは当然です。

 しかし,公共事業としての合理性が認められたとしても,そこに一般の方の権利が関わる限り,事業を進めることはできません。
 私権には,公権力が介入できない。この原則を知らないと,なんで道を作らないんだ,水道を引かないんだと不満が残るだけの結果になってしまいます。

 また,お困り事の本質が民事紛争……一般の方の間でお争いだということもよくあります。
 たとえば,隣の人が騒音をたてて迷惑をしている,という場合です。田舎だと草刈りをしなくて困っているという場合もあります。
 これはどちらも行政は第三者の立場でしかありません。ですので,その解決は当事者間で行い,それでうまくいかなけえば弁護士/裁判所の役割ということになります。

 しかし,このような要望もよく行政で相談を受けますが,民事紛争では第三者である限り,行政は口出しができません
 困っている人からすればなぜ助けてくれないのか,とありますが,相手方からすれば余計なお世話だということになってしまいます。
 行政はこの場合中立でしかいられず,正義の実現は最終的には裁判所という国の機関が行うのです。

 もちろん,ただ放置するというわけにはいきませんから,事件解決のアドバイスを行ったり,草を刈ってもらえませんかとお願いをしたり,草刈りの代行をすることはあります。
 しかし,それもすべて雑草を放置している方の同意がないと,事件解決はしないということは変わらないのです。

 とにかく,何か皆さんの希望に対しては必ずその点に反対の人,不利益を受ける人がいる
 行政は,皆さんの声を公平に取り入れて調整をしなければならないということを念頭に置いて欲しいと思います。


20.6.27
 まず,昨日の国道477号線で穴が空きそうなところがある,という場合の補修ですが,その答えは
 「477号線は県管理ですので,県に伝えなければなりません。」
 「受付は,都市整備課になります。代表に電話などでお伝えいただければ,都市整備課に伝わる」
 というものになります。

 住民さんが期待すれば,私が要望を伺えば,後は私のやる気だけで要望が実現して道が直るというものだと思いますが,そう単純ではありません。
 道はもちろん直さなければなりません。これが原因で事故が起きた場合,営造物責任により行政主体が無過失責任を負います。

 ここで話が単純ではない,ということになるポイントは,「役割分担」ということです。

 たとえば塀が倒れてきたから片付けろということは,所有者に主張すべきということはすぐ分かります。
 ラーメン屋に行って,寿司を握ってくれということをお願いするはずがありません。
 冷蔵庫が壊れた場合,そのメーカーのお客さま相談室に電話したとしても,役員に直接,修理を依頼するということはしない。

 ということは,ご理解いただけると思います。
 行政外の問題ならばそう難しい問題ではありません。


20.6.26
 私が町を歩いていると,よく色々な要望やお困り事を伺います。
 今日も,昼ご飯を買いに行ったら,そこで国道477号線に穴が空きそうなことがあると聞き,対応方法の説明をしました。

 しかし,このような愁訴に対し,直接的に応えられないことが大変多く,申し訳ない気持ちがします。

 しかも,その応えられない理由が,私がやる気を出せば何とかなるとか,そういう種類のものが大変多いのです。
 反面,私に言えば何とかなると思ってしまう方がほとんどだと思うので,余計に申し訳なく感じます。

 といいますか,このギャップを埋めなければ正直,要望をする人も私もストレスがたまります。
 ここで,互いに幸せになるには,そのギャップがなぜ生まれるのか,どうしたら埋めるられるのかということを明日から順次説明をしたいと思います。


20.6.25
 本日,議会が閉会し,私が提出した議案はすべて可決されました。

緊急小口資金の借入をされた方へ最大6万円の支援
・0歳から小中学生までの方に,就学支援の基準を満たされる場合に1人あたり5万円の支援
・宿泊事業者の方に,宿泊客数と入湯税納付額を考慮し,支援。事業者によっては,500万円以上の支援になる場合もあります。
持続化給付金の申請にあたり有資格者への相談の補助。

 この提案のうち,主要なものはなんと言っても感染症対策。その中でも,町民の皆さんの生活や事業を支えるための予算です。

 私が提案を考えるにあたって常に拘ったのは

 「感染症流行とお困りとの間に関係がある方を支援する」「バラマキはしない。」「職員の負担が重くなりすぎないようにし,迅速な給付ができる。」の3点です。
 
 現状の厳しい当町の財政の中,町民さん全員に経済支援をする余裕は当町にはありません。
 もともと,ほとんどの市町村は,国からの地方交付税交付金などの財政支援があって初めて運営ができるようになっています。
 これは,できるだけ税金の支払いを少なくしつつ,地域間の格差をなくすためです。
 国は全国共通の課題,県は県全体特有の課題に取り組み,町は地域の実情にあった独自の問題に取り組むと同時に直接住民と対話をし,きめ細やかな対応をする役割を果たします。

 とにかく,通常の運営をするためだけでもお金が足りないのに,さらに緊急事態に対応するというのは町には重たい課題です。

 また,私が強調をしたいのは,コロナが流行した場合,感染症対策のためには新しい知識や対応方法が必要です。
 しかし,経済に発生した問題の対応は,コロナだから特徴的なものとはいえず,既存のセーフティネットの修正,ないし拡張で十分対応ができるということです。

 新しい施策を実施した自治体は住民に優しく,そうでない自治体は優しくないというのは全くの勘違いです。
 なぜならば,既存の制度を利用した方が,制度を作ったり議会を通す必要はなく,すぐに利用ができ,暮らしの支えになり,即効性もあるからです。
 
 ですから,私は既存の制度の利用を町民の皆さんに呼びかけました。が,地味すぎてマスコミがとりあげてくれず,何もしていないように見えてしまいます。

 やむを得ず,私はキャンペーンを張るべきと考えました。
 既存の制度は,ほんとうに困った人しか使えない制度になっています。基準なども固まっていてすぐ利用できます。
 どうせやらなければならない業務に+αとなると,職員の負担増も押さえられます。

 既存の制度を利用していただいた方に,手厚い保障をすれば,宣伝によってその制度を周知することもできます。

 そこで私は,4月の時点から,経済的に困った方を助けるための既存の制度の一覧を作成し,報告をするように全課に指示をしました。
 まずはその宣伝。次に,その中から適切なものを選んで,上積みの給付の対象とすることで,さらに制度の周知と利用促進を図る方策を組み立てるためです。


 当時話題になっていたのが,児童扶養手当,一人親家庭の受給者への支援です。なぜしないのかと。
 答えは簡単で,一人親でなくても経済的支援が必要な家庭はあるから,そのような家庭も含める施策を考えるべきだからです。
 そこで私は,お困りの方は誰でも使える,しかもコロナ流行によって困った人が使う制度として,緊急小口資金の制度に着眼し,そこに補助をすることにしました。


 次に,子育て家庭への支援です。一人親に限らず経済的支援が必要な方を対象とする制度……「就学支援」の制度に着眼し,その基準で,0歳児まで支援をすることにしました。
 
 また,アルバイトがなくなり学生さんが困っているということが当時ニュースでよく取り上げられていました。そこで,奨学金の利用者または返済中の方に支援をすることにしました。

 さらに,事業者支援です。私は,事業者が広く困っているというのは,国全体に関係することですから,まず国や県が対応すべきことと考えています。さもなければ菰野町は財政破綻です。

 しかし,国県が行き届かないところを補うのが当町の役割。そこで,北勢地区随一の観光の町として観光事業者,特に宿泊事業車にまず支援することにしました。
 県は,休業協力金として,営業時間を短縮した飲食店に50万円支払うのに,宿泊業には12万円しか支払わないことが大きいです。

 また,他の事業者にも国や県の制度が行き届かないところがあります。それが,目玉施策である持続化給付金(個人でも最大100万円!)の申請が難しくてできないという方(特に高齢者)が多いということです。
 この点もニュースになっていました。

 一方で,持続化給付金の申請を丸投げして手続をしてもらえるのは有資格者だけです(本人申請のみという建前ですが,実際の作業すべてできるのは有資格者のみ)。
 そこで,有資格者への相談の支援をすることにしました。1万円もあれば申請の代行をお願いできるのが相場と聞いています。
 それ以上の請求をする業者に頼んだ場合でも,結局100万円入り,そこから報酬を支払うのですから,申請ができず0円よりはずっとよい。

 これが,今回の予算をつけるにあたって私が工夫したことの概要です。長文になってしまいましたが,色々考えています(^^)/
 
 




20.6.23
 菰野町の財政調整基金……貯金は,令和元年度末は9億程度となるとされていました。
 これを,事業の中止によって,28億円確保したわけです。
 
 しかし,会計年度任用職員の制度のスタート,清掃センター延命化の借入の返済が始まったことなどの理由から,義務費が増大
 令和2年度末には,基金は17億円程度しか確保できません。これはコロナ流行前に計算されたものですから,税収が落ち込めば金額はもっと減少します。

 このままでは,令和3年か令和4年度末には財源が枯渇する。そういう状況です。
 菰野町の財政は決してよくない。この点を町の皆さんによく知って欲しいところです。


20.6.22
 しかし,3年前,議員だったころの記事を見るとタイムスリップしたようです。
 まさに今,報告ビラに記載したとおりのことが起きており,特に財政調整基金はかなり減少しています。

 私が町長になって,湯の山駐車場と菰野富士の公園整備を見直し,15億円の基金を使わなかったのにです。
 私は新しい施策を始めましたが,給食と子ども医療費無料化拡充,そして職員の宿日直外注をあわせても,年間に必要な予算は8000万円しませんから……。

 選択と集中,財政のスリム化に取り組みます。指示はとっくに出していますが,本格的な見直しは6月末議会閉会後です。


20.6.21
 ホームページの更新に使っていた,IBMホームページビルダーが,Win8,Win10で動かなくなり,そのままホームページ更新を諦めていましたが……。
 知らないうちに,WIn10が進化し,古いソフトが普通に動くようになっていました!!

 Twitterやfacebook,インスタグラムのほか,このホームページも情報発信に使っていきます。


17.3.30
 3月議会のトピックを町政報告ビラとしてまとめました。内容は随時更新します。

 ポイントを一言でいえば
 あと3年で菰野町は貯金激減,借金激増
 原因は,30年と31年に急に何億円という単位の公共事業をいくつも実施するからです。 

 この中にはロープウェイ付近の駐車場10億円(中学校通院医療費45年分)も含まれます。
 公共事業には,中学校給食は入っていません。道の駅も入っていません。
 中学生の通院医療費無料化も全体の4割に止まります。

 町のお金は町民さんのものです。この計画は町民さんの希望に沿ったものなのでしょうか。


17.3.11
 昨日,議会で質問した際に用いたレジュメの一部をアップします。

 内容は,

1)年1480万円で実現できる中学生通院無料化よりも,
 H31年に10億円(中学生通院医療費67年分)の駐車場を建設することが重要な理由は何か。

2)町のお金は,町民さんの希望に沿って使途を決めるべきだが,希望は調査したのか。

3)条例上,中学生と小学生との間に違いはないのに,
 わざわざ町長の制定する規則で,中学生の通院医療費だけ対象を全中学生の4割に押さえてしまう
 理由は何か。
 
 というものです。

17.3.2
 3月議会が始まりました。今月の議会の焦点を,私は中学生医療費だと考えています。
 菰野町の執行部は「児童扶養手当受給対象者=ほぼ一人親家庭のこと」に
 中学生の通院医療費を拡大すると提案しました。

 なぜ一部なのでしょうか
 
 同じ子どもなのに,親によって異なった取扱いをするのはなぜか。
 
 同じ義務教育なのに小学生と中学生でなぜ違いがあるのか。
 むしろ,子が中学生になるとさらに親の支出が増えることが多いのにです。
 
 三重県の27市町のうち25市町では,このような差はありません。

 私は,この議会では,執行部に対してこの点を集中的に質問するつもりです。
 

facebookにて,近況を随時お知らせしています!

@tsivataさんのツイート

法律の使い方
※某法科大学院(国立,未修者)での推薦図書に入れていただいていたとの情報をいただきました。
 ありがたい話です(^^)


 2011年から のデータ

 2003年までのデータ



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憲法総論(1〜9条)
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憲法人権(21〜40条)
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