2013年の英国旅行報告記(WH通信臨時増刊号No.1)

 本稿は2013年8月30日(金)から9月7日(土)にかけて実施したファンクラブ主催の「アガサ・クリスティの足跡を訪ねる英国旅行」(参加者10人)の記録である。
 この旅行は、クリスティ・ファンクラブ機関誌「WH通信」の終刊を記念して企画した。発端は西武コミカレの講座担当初期に、西武コミカレの別部門が海外団体旅行を扱っているのを知ったこと。その部門に飛行機とホテルの予約だけをお願いすれば、現地での行動はすべてファンクラブが企画するという記念旅行が可能ではないかと考えたからである。また以前よりファンクラブ員からは「クリスティの足跡を訪ねる英国旅行」を実施してほしいとの要望もあった。それらの要望も考慮し記念行事として実施したのが今回の旅行である。さまざまな理由で参加出来なかった人にも、多少とも紙上旅行を楽しんでいただけたら幸いである。
 なおインターネットにアップするにあたり、文章はWH通信臨時増刊号に掲載したものと同じだが、写真は大幅に増やしている(S)。


参加者分担執筆の報告記
(1)不安な出発(1・2日目)………………………………………… 海保なをみ
(2)呪われたスタイルズ荘(3日目)…………………………………数藤康雄
(3)快天気のお墓参り(4日目前半)…………………………………戸塚美砂子
(4)腹ごしらえして、いざ劇場へ(4日目後半)………………………清水貞子
(5)いざトーキーへ(5日目)…………………………………………川本敬子
(6)あこがれのグリーンウェイへ(6日目前半)…………………… 竹村モモ子
(7)グリーンウェイ・ハウスでの快挙(6日目中盤)…………………木村仁
(8)生家アッシュフィールドの跡地に立って(6日目後半)…………蓮田あき
(9)最後の晩餐(7日目)……………………………………………野村恭子
(10)あこがれの地 初の海外旅行(8・9日目)…………………… 中田キヨシ
担当係の苦労話
日程・行動表
 この日程・行動表は実際に行動した記録である。つまり予想外の地下鉄工事などで初期の計画通りにいかなかった場合にはそのことに触れつつ、実際に現地で行動したことだけを記している。 なお見学・滞在した場所の地図は、(1)地図を載せるとそれだけでかなりの紙幅をとってしまうこと、(2)今では正しい住所がわかればGoogle Mapなどから簡単に目的地へ行く地図を入手できること、などの理由で取りやめた。
1日目(2013年8月30日(金)) 成田からヒースローへ
 集合場所・時間:成田第一ターミナル 北ウィング4F Gカウンター日本時間 9時30分。
 成田出発旅客機・時間:バージン・アトランティック航空VS901 日本時間11時25分。
 ヒースロー到着時間:現地時間15時50分。空港到着後に、オイスター・カード(タッチするだけで地下鉄に乗れる便利なカード)とヒースロー・エクスプレスの切符(往復)を購入。Paddington駅へ。
 ホテルQuality Crown Hyde Park(8-14 Talbot Square)には18時頃到着。チェックイン後、切符購入係はPaddington駅のチケット購入窓口へ。残りの人は構内のサンドイッチ専門店とスーパーでサンドイッチと飲み物・デザートを購入。ホテルの一室でサンドイッチ・パーティ。21時過ぎに解散。
2日目(8月31日(土)) ロンドンのクリスティの家
 ホテルを9時20分に出発。地下鉄Circle lineでNotting Hill Gateへ。ここでは二つの家を見た。
@ 58 Sheffield Terraceの家。白亜の3階建ての建物で、公式のブルー・プラークが付いている。
A 47-48 Campden Streetの家。長屋風の3階建の建物。1930年代前半に住んでいた。
 次に同じくCircle lineでSouth Kensingtonへ。ここでも二つの家を見た。
B 22 Cresswell Placeの家。厩を改造したクリスティが愛着のある家。私設のブルー・プラークあり。
C 48 Swan Courtの建物。重厚なマンションだが、改修中で防護ネットが掛かっていた。
 昼食はCircle lineのVictoria駅構内にあるレストランCaf? Rouge。2時過ぎに出発。同じくCircle lineでBarbicanへ。ここでは一つの建物を見た。
D Charter Houseという建物。TVでお馴染みのポアロが住むアール・デコ調のマンション。
 次にBelsize ParkのIsokon Buildingを見る予定であったが、Northern lineが当日部分運休のため断念。Bakerloo lineのBaker Street駅構内のタイル貼りのホームズ肖像と地上のホームズ像を見学し、さらに221B Baker Streetにあるホームズ博物館の土産物売り場を覗く。一端ホテルに戻って休養後、夕食のためにPub Sherlock Holmesへ向かう。しかし予約なしであったため断られ、フィッシュ・アンド・チップス専門店Golden Union Fish Bar(38 Poland Street)へ。ホテルには21時半頃帰着。
3日目(9月1日(日)) スタイルズ荘と大英博物館
 9時少し前にホテル・ロビーに集合後、地下鉄Bakerloo lineでWaterlooへ。9時39分発の列車でSunningdaleへ向かう。10時39分到着。当初は二つの建物を見る予定にしていたが、帰りの列車が11時55分発なので、クリスティが4か月程だけ住んだというScotswood(Devenish Avenue,Sunningdale)は諦め、近くのStyles荘だけを訪ねた。
E Styles(Charters Road,Sunningdale)。駅から徒歩10分ほど。
 帰路はSunningdale11時55分発の列車で、London Waterloo12時57分着。休むことなくNorthern lineでTottenham Court Roadの大英博物館へ。遅い昼食は中庭のCourt Caf?でとる。その後クリスティの夫マローワンらの発掘展示品を中心に見学。ホテルで休養後、Bakerloo lineでCharing Crossへ行き、19時過ぎに前日予約したPub Sherlock Holmes(10 Northumberland St)で夕食。21時半頃ホテルに帰還。
4日目(9月2日(月)) チョルジーとセント・マーチン劇場
 ホテルのロビーに9時20分に集合。Paddington発9時57分発の列車でCholseyへ。乗り換えなしでCholseyには11時11分到着。教会への途中にあるスーパーTESCOでお墓に添える花束を買う。
F The Parish Church of Saint Mary(Church Road)。駅から徒歩15分程。
 お墓を後景にして初めてオート・シャッターで全員写真を撮る。昼食は駅から15分ほどのパブMorning Starでとる(ただし飲み物と持参した非常食のみ)。昼食後6名はその先にあるテームズ川の川辺まで行った。
 帰路は14時07分発の普通列車(乗り換えなし)でPaddingtonへ。15時32分Paddington着。ホテルで休養後、夕食のために5名はLe Capriceへ。残る5名はPaddington駅構内のEATで軽食。軽食の5名はPaddingtonから地下鉄Leicester Squareで降り、近くのクリスティの彫像を見物。
G St Martin's Theatre(West Street)。Leicester Square駅から徒歩5分程度。
 ここで公演60周年の「Mousetrap」を3階最前列の席から観る。19時30分開演、21時40分終演。22時過ぎにホテルに戻った。
5日目(9月3日(火)) トーキーへ
 9時20分にホテルをチェックアウトし、Paddington駅へ。昼食用サンドイッチ等は各人が駅構内のスーパーで購入し、10時6分発の列車でTorquayへ向かう。直前のNewton Abbotで各駅列車に乗り換えてTorquayには12時51分に到着。駅前のタクシーに分乗してThe Palace Hotelへ。チェックイン後トーキー博物館を訪問。
H Torquay Museum(529 Babbacombe Rd, Torquay) ホテルからは徒歩20分。
 パレス・ホテルに戻り、午後4時半過ぎから豪華なアフタヌーン・ティー(Delight £12.95)を取って夕食の代わりとした。午後7時過ぎに解散。
6日目(9月4日(水)) グリーンウェイとトーキー近辺
 10時前にホテル・ロビーに集合し、事前に手配していたマイクロバスでグリーンウェイへ。10時半に到着(グリーンウェイの開園は10時半)。駐車場の予約をしていなかったため手間取ったが、11時15分にグリーンウェイ・ハウスに入れる券を貰い、その合間に2回目の全員集合写真を撮る。
I Greenway House マローワン夫妻が夏の別宅として使用していたジョージアン朝形式の建物。
 約1時間かけて室内を見学後、グリーンウェイの庭を散策。主にダート河沿いのボート小屋と砲台広場を見た。昼食はグリーンウェイ内のカフェテラス。その後は自由行動。
 14時30分に再びマイクロバスに乗り、トーキー近辺のクリスティ縁の建物を見物した。
J Saint Mary the Virgin(Churston Ferrers) クリスティが寄贈したステンドグラスがある教会だが、礼拝の日(日曜日)しか内部に入れないので、外からステンドグラスを確認。
K Grand Hotel(Torquay駅前) クリスティ夫妻が新婚旅行で泊まった豪華なホテル。
L Ashfield跡地の石碑(44 Barton Road,Torquay) アッシュフィールドはクリスティの生家。近くにイーデン・フィルポッツが住んでいたことを示すブルー・プラークも見つけた。
M All Saints Torre(Croft Road, Torquay) クリスティが洗礼を受けた教会。バートン・ロードに近い。内部には洗礼を受けた証拠の資料が展示されているが、平日のため入れなかった。
N Princess Garden(Torquayの中心部)ここで全員下車。クリスティの胸像、プリンセス・ガーデン、パビリオン (現在改装中で内部は見られず)、プリンセス・ピア(かつてクリスティがローラー・スケートで遊んだ桟橋で、 今でも一部は板張りの床面がある)を見物した。
 夕食はCamelot Restaurant(4 Braddons Hill Rd W, Town Centre, Torquay)。夕食後は二組に分かれ、徒歩とタクシーでホテルに戻る。なおパレス・ホテル中庭の先にはAnstey Coveという美しい海岸がある。ここは十代のクリスティがよく海水浴に行った場所なのを旅行後に気づいた。幸いにも全員が訪れていた。
7日目(9月5日(木)) 再びロンドンへ
 10時までにホテルをチェックアウトし、タクシーでTorquay駅へ。駅構内で3度目の全員集合写真を撮る。
 11時12分発の列車でLondon Paddingtonへ。乗り換えなしの列車だが、座席前には液晶パネルがついていて、鉄道路線上の列車の位置情報が正確に把握できる。Somerton−Castle Cary間にある急カーブ(『パディントン発4時50分』で死体を捨てる急カーブを想起させるもの)を確認できた。14時54分Paddington着。Quality Crown Hyde Parkに再チェックイン後は自由行動としたが、6人の参加者は、2日目に地下鉄保守工事で辿りつけなかったIsokon Buildingに行く(Northen lineのEdgware行き地下鉄に乗り、Belsize Parkで降りる)。
O Isokon Building(22 Lawn Road Flats) 主に第二次世界大戦中にロンドンで住んでいた建物。現在では外 観・内装とも大幅に変更されたようだが、一応22号室は確認できた。
 19時にホテル・ロビーに再集合し、最後の晩餐へ。Paddington駅構内のパブは適当な席が確保できなかったため、最終的には駅前のGarfunkel's Restaurant(144 Praed Street)に落ち着く。21時半ホテルに戻る。
8日目(9月6日(金)) 再び成田へ
 9時30分にホテルを出発。ヒースロー・エクスプレスでHeathrow空港へ。ここで希望者はOystercardを解約。その後バージン・アトランティック航空のチェックイン・カウンターへ。一部の人は過剰警備の厳しいセキュリテイ・チェックにひっかかったが、どうにか全員搭乗することができ、13時45分発VS901便で成田へ。
9日目(9月7日(土)) 成田着
 予定より多少早く日本時間9時15分成田着。その後も順調に推移し、荷物カウンターで全員が荷物を確認できた段階で解散。「そして誰もいなくならなかった」英国旅行であった。


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