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                                                            ↓相続回復請求権・・・・・読み終わりましたらページを消して戻ってください



質問
侵害している者は誰ですか?

相続に何ら関係のない者が侵害している場合

例・・・・相続財産である動産を泥棒に盗まれた
     相続財産である土地を相続に何ら無関係の者が資材置場として使っている

このように相続財産が侵害されている場合には、相続人は侵害している者に対して、
物の所有者として返還を請求したり、妨害排除を請求すればよい。
相続財産の動産などを壊されたりした場合には、不法行為による損害賠償を請求すればよい(代償財産)。


返還請求・妨害排除請求は物権的請求権であり時効によって消滅しない。
相続財産を取り戻すなどの行為は保存行為であり共同相続であっても相続人は単独で物権的請求権を行使することができる。


相続人が他の相続人の権利を侵害している場合

例・・・・相続人として被相続人の妻・長男・長女がいるが
     @長男は、相続財産である動産を第三者に勝手(他の相続人の承諾なしに)に売ってしまった。
     A長男は、相続財産である銀行預金を勝手におろした。
     B長男は、相続財産である土地・建物の登記を下記の方法により自己の単独名義にしてしまった。
     B-@妻・長女の印鑑を盗用して遺産分割協議書(相続分のないことの証明書でも同様)を作成して、
        登記を移転させた。
     B-A長女を抜かして、長男と妻のみで土地・建物は長男が相続する旨の遺産分割協議をおこない
        分割協議書を作成し、登記を移転させた。
     C長男は、相続財産である土地・建物を「分割協議がまとまるまで使用する」というのではなく、
      「土地・建物は全て自分が相続した」と主張し、妻・長女の共有持分を否定し占有管理している。


例@について・・・・
相続財産の売却は処分行為であり、相続人全員の承諾を得て処分しなければならない。
したがって、動産を売却された場合、妻・長女は共有持分を長男に侵害されたのであり、不法行為による損害賠償を請求すればよい。

例Aについて・・・・
銀行預金債権などの可分債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係には立たない。したがつて、長男が自己の債権となった4分の1を超えて全額債権を回収受領すれば妻・長女の権利を侵害していることになる。この場合、妻・長女は不法行為による損害賠償を請求すればよい。

例Bについて・・・・
虚偽の単独相続登記の抹消を請求すればよい。
その上で、B-@では遺産分割協議はなく、B-Aでは長女を抜かした協議であり、法律上無効なので、長女は遺産分割を申し出ればよい。

例Cについて・・・・
長女は土地・建物について4分の1の持分を持っているので、持分確認を請求すればよい。
その上で、長女は遺産分割を申し出ればよい。





 ・・・・・ココ 






表見相続人が侵害している場合


相続人ではないにもかかわらず、相続人として財産を引き継ぎ、その結果、真正相続人の権利が侵害されている場合。

具体例・・・・・相続人として、妻・長男・次男がいて遺産分割協議をおこない、それぞれ財産を引き継いだが、後日、長男が被相続人を殺したことが発覚した。欠格事由に該当し長男は、本当は相続人ではなかった。

表見相続人の例として・・・・・藁の上の子・遺言による死後認知で相続順位が変化する場合




最判昭53.12.20 判時909−3)

、(三) これを第三者との関係においてみるときは、当該部分の表見共同相続
人と真正共同相続人との間のその部分についての相続権の帰属に関する争いを短期間のうちに収束する
必要のあることは、共同相続人でない者と共同相続人との間に争いがある場合と比較して格別に径庭があ
るわけではない(たとえば、共同相続人相互間の争いの場合に民法八八四条の規定の適用がないものと解
するときは、表見共同相続人からその侵害部分を譲り受けた第三者は相当の年月を経たのちにおいてもそ
の部分の返還を余儀なくされ、また、相続債権者は共同相続人の範囲又はその相続分が相当の年月にわ
たり確定されない結果として債権の行使につき不都合を来すこと等が予想される。)。
 以上の諸点にかんがみると、共同相続人のうちの一人又は数人が、相続財産のうち自己の本来の相続持
分をこえる部分について、当該部分の表見相続人として当該部分の真正共同相続人の相続権を否定し、そ
の部分もまた自己の相続持分であると主張してこれを占有管理し、真正共同相続人の相続権を侵害してい
る場合
につき、民法八八四条の規定の適用をとくに否定すべき理由はないものと解するのが、相当である。
 なるほど、民法九〇七条は、共同相続人は被相続人又は家庭裁判所が分割を禁じた場合を除くほか何時
でもその協議で遺産の分割をすることができ、協議が調わないとき又は協議をすることができないときはその
分割を家庭裁判所に請求することができる旨を定めている。

しかしながら、(一) 右は、共同相続人の意思に
より民法の規定に従い各共同相続人の単独所有形態を形成確定することを原則として何時でも実施しうる
旨を定めたものであるにとどまり、相続開始と同時に、かつ、遺産分割が実施されるまでの間は、

可分債権
(それは、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有
関係には立たないものと解される。したがつて、この場合には、共同相続人のうちの一人又は数人が自己の
債権となつた分以外の債権を行使することが侵害行為となることは、明白である。)

を除くその他の各相続財
産につき、各共同相続人がそれぞれその相続分に応じた持分を有することとなると同時に、その持分をこえ
る部分については権利を有しないものであり、共同相続人のうちの一人又は数人による持分をこえる部分の
排他的占有管理がその侵害を構成するものであることを否定するものではないというべきである。(もつとも、
遺産の分割前における共同相続人の各相続財産に対する権利関係が上述のように共有であるとする以上、
共同相続人のうちの一人若しくは数人が相続財産の保存とみられる行為をし、又は他の共同相続人の明示
若しくは黙示の委託に基づき、あるいは事務管理として、自己の持分をこえて相続財産を占有管理すること
が、ここにいう侵害にあたらないことはいうまでもない。)

また、(二) 遺産の分割が行われるまで遺産の共有
状態が保持存続されることが望ましいとしても、遺産の分割前に共同相続人のうちの一人又は数人による相
続財産の侵害の結果として相続財産の共有状態が崩壊し、これを分割することが不能となる場合のあること
は、共同相続人のうちの一人又は数人が侵害した相続財産を時効により取得し又は侵害した相続動産を第
三者に譲渡した結果第三者がこれを即時取得した場合において最も明らかなように、事実として否定するこ
とのできないところである。民法九〇七条は、遺産の共有状態が崩壊したのちにおいてもその共有状態がな
お存続するとの前提で遺産の分割をすべき旨をも定めていると解すべきではない。






共同相続人の一部の人が勝手に使っているなど、勝手な事をやっている相続人がいる場合

共同相続人以外の人(たんなる盗人や不法占拠者  表見相続人など・・欠格者(後日、遺言を偽造したと判明したような場合)・藁の上の子・遺言による死後認知で相続順位が変化する場合)が勝手に使っているなど、勝手な事をやっている人がいる場合 ・・・・・ココ