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みなし弁済の説明。。。本当は払い過ぎた利息は、返してもらったり、あるいは、元本の返済にまわされる事になるのに、一定の条件を充たすと、払い過ぎの利息であっても、有効な利息の支払いとされてしまう。。。
しかし、貸金業者はみなし弁済の規定を主張することは、まず、ありません。
理由
・要件が厳格である事
・しかも、要件の立証責任は貸金業者が負う事
もっとも、(年数回の)重利の特約がある場合もある。また、利息制限法4条・貸金業法43条3項【不履行による賠償】の存在も考えると、かなり多く払わなければならない場合も生ずる1.46倍(平成12年5月31日以前に締結された契約では2倍))
今まで多くの任意整理を見てきましたが・・・・例えば、貸金業者が100万円支払えと言って来ても、利息制限法所定利率で引き直し計算をすると大幅に減額し、10万円しか払う必要がない場合・あるいは、払い過ぎであって、逆に10万円貸金業者が支払わなくてはならない場合であっても、貸金業者からみなし弁済の主張をされた事はありません。(特定調停でも、業者はみなし弁済を主張する事はないそうです)
貸金業者にとって、みなし弁済の規定は、それだけ頼りにならないと言う事です。そこで、貸金業者としては抵抗手段として、なかなか取引経過を開示しないという作戦をとる場合が多いのです。
10年以上前から借り入れているのに、最近の3年分の取引経過しか開示しないとか。
また、正確に開示しないとか。アコム事件
開示すると貸金業者も観念してあっさり過払い金を返還する場合が多いです。
しかし、貸金業者がみなし弁済の主張をして、裁判で争い、みなし弁済が認められたケースも若干ありますので、みなし弁済について説明します。勉強熱心な人だけ見てください。
作成中m(。。)m いずれは、判例の判決文も載せるところまで、作り込むつもりですが、現在のところは、メモ程度です。
条文
条文を読めば、貸金業者が本来無効である超過利息を有効な弁済とする条件が分かります。
すなわち・・・・
@、貸金業者が業(商売・業務)としてカネを貸した事。
A、@債務者がA利息としてB任意にC支払った事。
B、契約書(17条書面)を債務者に交付した事。
C、受領書(18条書面)を支払うたびに、交付した事。
この条件の一つでも欠ければ、みなし弁済は認められません。
@は問題ない。
A@債務者については・・・保証人を含む。しかし、親族・友人などは含まず。しかし、親族が支払った場合であっても借主の出損に基づいている場合には要件を満たす。
AA利息としてと言えるためには・・・利息の支払いに充当されるとの認識を有することが必要。したがって、ATMの支払いの場合、具体的な利息の金額をわからずになした支払いは言えない(東京高裁平9・11・17)。
天引利息については、この要件を満たさないとの判例(名古屋地裁平7・5・30)。最判平16・2・20
AB任意について・・・詐欺・強迫などない自由な意思による支払いのこと。超過利息は無効との認識までの必要でない(最高平2・1・22)
典型例・・・年金証書を担保に入れていた場合(福岡地平10・2・26)や担保権の実行を恐れて支払った場合(大阪地62・2・27)など
問題となる例・・・AAの要件と関係するが、ATMでの支払い。否定例前述・肯定例(東京地裁平2・12・10)
天引はこの要件でも問題になる(要件を満たさないとの判例多数)
AC支払ったと言えるには・・・・供託なども含む。債権者からの相殺・更改・代物弁済は含まず。
B17条の契約証書といえるためには・・・全部の事項を網羅した書類であることが必要。
貸付利率は年利で表示されていることを要し、日歩ではダメ。
問題となる場合・・・包括的貸付契約(最初に極度額を定め、それに従った個別貸付が反復してなされる。。最も典型的な契約)。包括的貸付契約の場合に17条書面は?の問題。最初の包括契約の書面と個別貸付の書面があるのだが・・・原則として、個別貸付の際の書面を見て、適式な要件を備えているかで判断すべき(クレ・サラ処理の手引p70)
C18条の書面といえるためには・・・18条2項の適用なし。債務者が交付の省略を望んでいた場合でも同じ。
銀行のATMを利用した場合、充たさない。
店頭ATMを利用し振り込む場合、要件を充たすを思われる。しかし、一度でも、みなし弁済の適用がない弁済が以前にあれば、それ以降の利率計算は本来みなし弁済の適用ない利息・元本が記載しなければならないのに、その表示をしないため齟齬があることになり、齟齬がある受領書では18条の要件を充たさない。また、貸金業者はそもそも計算書の控えなど保管していない場合も多いという。
貸金業法43条1項の適用要件である同法18条1項所定の事項を記載した書面の債務者に対する交付は,弁済の直後にしなければならない最判平16・2・20
包括取引限度額契約書の扱い(カードによるフリーローン)
「みなし弁済」規定の適用はない。」(名古屋高裁平成8.10.23)
もっとも、今ではそれ以上、キッチリした書を交付していると思われる
包括契約書と個別契約書の組み合わせ方式による金銭の貸付けの場合、貸金業法17条書面といえるためには、両者を併せて借主が自己の債務内容を正確に認識し、弁済計画の参考としうるよう一義的、具体的、明確でなければならず、交付された書面が借主が具体的に時間をかけて計算しなければ理解できないものであれば同条所定の書面交付があったとはいえないとした事例。
名古屋高裁・H8.10.23・金法1473-32.3、法ニュース30-24
ATMによる返済のケースで受取証書を交付しなくてはいけないか
事実の主張を要する」(最判平成11.1.21)
「ATMによる返済の場合、返済金をATMに投入後返済の明細が記
載された書面がATMから排出されたとしても、債務者は返済金のうち
どの部分が利息、損害金に充当されるか知らないまま支払を完了し、
事後的に認識しうるにとどまるから、 利息としての任意の支払とはい
えない。」 (東京高裁平成9.11.17)
1回の定額による貸付で、任意性が肯定され、「みなし弁済」が認められ
なかったケース
「ATMを利用して貸金業者の口座に振込送金する方法で返済を行い
後日、充当関係を明記した受取証書を受領している場合、利息として
任意に支払ったといえる。」(東京高裁平成11.5.27)