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特別受益の検討・・・・理解できたらページを消して戻ってください。
![]() 被相続人(死亡した人)から、何をもらいましたか?
全ての贈与・無償処分が特別受益なるとはいえません。 特別受益の対象となるのは、 @遺贈、A婚姻または養子縁組のための生前贈与、B生計の資本としての生前贈与に限られます。 婚姻または養子縁組のための贈与 生計の資本としての贈与 遺言による処分 生命保険金 死亡退職金 生活していく上で役立つような贈与で、ある程度以上の高額な贈与は、原則として全て特別受益(生計の資本としての贈与)といえます。 また、厳密には贈与とは言えないケースであっても、特別受益とされる場合もあります。 例・・・被相続人である父親の土地を長男が無償で借り、その土地に長男が家を建てた場合、無償で土地を使用できたという利益は特別受益といえます(東京家審昭和49・3・25 家月27巻2号72頁) |
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![]() 特別受益となるものを本当はもらっていないのに、利益を受け取った旨の証明書を作成した場合・・・・特別受益証明書 メモ 1030条の贈与は903条の贈与より広いか???? 広いとすれば、相続人に対する無償処分について1030も検討しなければならない。 つまり、相続人への贈与について遺留分の制度を検討する際、通常、1044条で準用する903条によるが、別枠で1030条により遺留分を検討する必要があるのか? 1030条の「贈与」は、無償での債務免除・無償での担保供与・信託受益権の無償供与も含むと広く解釈されている。さらに、1039条で不相当対価の有償行為も贈与とみなさらえる場合がある。 他方、特別受益の贈与は限定的に列挙されている。 相続人に対し、生前に無償での債務免除・無償での担保供与・信託受益権の無償供与の行為、不相当対価の有償行為がある場合、特別受益となるのか。 特別受益財産の範囲といえるか否かは、生前贈与が相続財産の前渡しとみとめられる贈与であるかが基準となる。その際、被相続人の生前の資産・収入・家庭状況を考慮して、相続人間の衡平を図る必要がある。具体的には・・・・ 例1・・・長男が親から事業資金として5000万円借りたが、事業に失敗したので返さなくてよいなどと債務を免除された場合。 このケースでは、相続財産の前渡しとみとめられるから特別受益とされると思われる(私見)。 例2・・・放蕩息子の道楽でつくった借金を親が肩代わりして払ってやった場合などは、金額にもよるが、小遣いを多くもらったのと同視できるので特別受益にはならないと思われる。 例3・・・息子が事業の失敗からつくった多額の借金を親が肩代わりして払ってやった場合などは、たとえ求償権を放棄している場合であっても相続の前渡しと同視できるので特別受益にはなると思われる。 結局、高額な贈与・不当対価であれば、相続財産の前渡と考えられるので、相続人については1030条を検討する必要はないではないかと思われます。あえて、考えられるとすれば例2のような場合か。 |
民法903条 1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。