1.管理費用の範囲
どのような支出が遺産の管理費用となるのか。
固定資産税や火災保険料、相続不動産の保存登記費用等遺産の保存の為に必要な費用、修繕費などの有益費、果実収取のための必要経費、鑑定、換価、弁済、その他清算に必要な費用、財産目録調整の費用、管理清算のための訴訟費用などが含まれる。
相続税及び葬式費用が含まれるか否か問題となるが、相続税は相続財産を取得した個人に課せられるものであり、相続人の個人的債務となる(仙台家古川支審昭38・5・1家月15−8−106、仙台高決昭38・10・30家月16−2−65)。
葬式費用については前述した
2.管理費用の負担者
遺産の管理費用は相続財産に関する費用としてその財産の中からこれを支弁する。つまり相続財産に関する債務として、遺産分割の手続きにおいて清算されることになる。ただし、相続人の過失によって支出した管理、清算費用は、その相続人個人の債務となる(民885T)。
3.遺産分割協議における清算
他の共同相続人から依頼されて、遺産の管理をしている場合には、その者との間に委任ないし準委任契約が成立しており、委任事務を処理するために支出した必要経費及び支出日以降の法定利息(年5分)について、委任者である他の共同相続人に対して、その法定相続分に応じて直ちに請求することができる。
なおこの場合も勿論、遺産分割の手続きにおいて清算することも可能である。