長期戦の減感作療法
医師と相談して、減感作療法を受けることも可能です。
これは長い時間をかけて、抗原(アレルゲン)エキスを注射して体を次第に抗原に慣れさせて、アレルギーが起こりにくい体質に変えていく治療方法です。花粉症に困っている人のなかには「シーズン中の2、3ヶ月を薬を飲んでしのげばよい」という人と「治るものなら、治してしまいたい」という人がいます。
減感作療法は90年以上も前に花粉症の治療法として開発され、すたれることなく続いてきました。その効果は、アレルギー性ぜんそくに比べて、よりよい結果を得られ、副作用が少ないことが認められています。
しかし100%の人が治るわけではなく、多少の症状があっても薬を使うほどでもなく、生活に障害がなくなる人が約70%です。花粉が大量に飛ぶ年は薬が必要なこともあります。
ただ日本で行われるようになったのは40年はど前からで、お医者さんによっては、なじみが少ないこと、副作用を少なくしながら、効果を上げるには、注射する量の加減の見極めが必要なこと、注射を受けるため患者は、病院へ通わなければならないことなどの理由で、どこの病院でも、行われているわけではありません。
初めの3〜6カ月は、毎週1、2回ほど病院に通って、少しづつ抗原エキスの量を増しながら、注射していきます。定期的に続けなければなりません。
通院の回数は、しだいに減っていきます。2週に1回から、1ヶ月に1回になるという具合です。これを2年から3年続けることになります。お医者さんによっては、もっと回数を少なくする方法をとっています。
そうやって、徐々に体を慣れさせていくのです。
○○さんよりも先に、減感作療法を受け始めていた△△君は2年目の春、例年より、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがだいぶ軽くなり、さらに翌年には、注射を受けなくてよくなりました。今では薬も飲まないで、シーズンを何とか過ごせるようになっています。
注射した部位が、かゆくなったり、腫れたりすることがありますが、心配はいりません。お医者さんと相談をして、軟膏を塗るなどしましょう。
夜になって、腫れが強くなることが稀にあります。ひっかかないで、水で冷やすなどして下さい。
これもごく稀ですが、じんま疹や、息苦しいなどの副作用が現れることがあります。注射してから30分以内に起こることが多いので、注射後は静かにし、できれば、注射を受けたところをお医者さんが、看護婦さんに診てもらってから、帰宅した方がよいでしょう。
直径5センチ以上腫れた場合は、お医者さんに、告げて下さい。体の調子が悪いときや、かぜで熱があるときぜんそくの発作が多い人などは、注射を控えた方がよいので、お医者さんとよく相談をして下さい。