花粉症って何?
私は春が苦手でした。まだ寒さの残る2月頃から、くしゃみや鼻水が止まらなくなり、鼻づまりに苦しみました。
私がが大きなくしゃみをするたびに、同僚の視線を集めていました。鼻水をかんだ後の、ティッシュペーパーでごみ箱はいっぱいでした。電話の受け答えも、鼻声でグズグズ。また眼はかゆくなり、ごろごろとした感じで、涙は出るし、目玉を取ってしまいたいという気さえすることもありました。
仕事は、まったくはかどらずイライラしていました。
ところが隣の席の○○さんは、暖かな春が大好きです。どうして私がが苦しむのか、理解できませんでした。
そうです。私は典型的な花粉症でした。
花粉症とは、杉などの花粉によって起きる、眼や鼻のアレルギーです。
ふつうの人なら、異物(花粉)が体に入ってきても簡単に処理してしまうのに、体が大騒ぎしてしまうのです。さて、こんな私でしたが、10年前から憂鬱な春とは完全に決別できました。
花粉症の発症メカニズムは専門的になりますが、IgE抗体が花粉の抗原成分をとらえて結合すると、肥満細胞が活性化され、ヒスタミン(Hi)やロイコトリエン(LTs)などの化学伝達物質が放出されます。
これらの物質が知覚神経や血管を刺激し、くしゃみや鼻漏、鼻閉といった症状を引き起こすのです(即時相反応)。また、このような花粉抗原との反応が繰り返されると、鼻では好酸球の増加と上皮細胞の傷害が生じ、粘膜の過敏性が亢進し、症状が遷延します(遅発相反応)(図3)。
一方、花粉が結膜に付着すると、結膜表面を被う涙液により抗原が溶け出し、鼻と同様の機序でアレルギー反応が起こり、目のかゆみ、涙目、結膜の充血などがみられます。