★預託金会員制ゴルフクラブ
日本のゴルフクラブの大部分がこの形態のものです。
預託金会員制ゴルフクラブとは、会員になろうとする者がゴルフ場の経営にあたる会社に保証金を預託し、利用者で構成された団体であるゴルフクラブの入会審査を経て入会し、ゴルフ場の施設を会則に従って利用し、退会時にゴルフ場経営会社から預託金の返還を受ける形態のものです。
法律的には会員とゴルフ場の経営にあたる会社とのゴルフ場施設優先的利用権、預託した保証金の返還請求権、年会費納入の義務等を内容とする債権的法律関係であると理解されています(最判昭和50・7・25)
相続されるか?については学説上、肯定説・否定説があります。
相続を肯定する立場は、会員権が会員権市場で取引の対象となっていることを重視する
相続を否定する立場は、相続人の仲に会員として適格性の問題があるものがいる場合には、クラブ運営に支障をきたすおそれを重視する
裁判所は、ゴルフクラブの会員たる資格は一身専属性格を有し相続の対象とならないが、ゴルフクラブ会員契約上の地位はクラブの入会承認手続きを得ることを条件として相続の対象となると判断しています。
会員権の相続が否定された場合、相続によって承継されるのは預託金返還請求権と既に発生した年会費納入義務です。
★最判昭和53・6・16 判時897号62ページ・判タ368号216ページ
「クラブ運営規則中に、会員が死亡したときはその資格を失う旨の規定が存するから、被上告クラブの会員たる地位は一身専属的なものであって、相続の対象となりえない」
★東京高判平成3・2・4 判時1384号51ページ
会員の地位は原則として一身専属的なものではなく、死亡の場合は会員資格を失うとの会則の定めも、会員としての地位の相続性まで否定する趣旨のものと解することはできず、相続の場合も譲渡による承継の場合に準じその承継を肯定するのが相当であり、相続人は入会承認を得て会員となることができる
★最判平成9・3・25 判時1599号75頁 判タ937号96頁
預託金会員制ゴルフクラブにおいて、会則等に会員としての地位の相続に関する定めがなくても、右地位の譲渡に関する定めがあるなど判示の事実関係の下においては、会員の死亡によりその相続人は右地位の譲渡に準ずる手続を踏んでこれを取得することができる。
★最判平成9・12・16 判時1629号53頁 判タ964号95ページ
★最判平成9・5・27 判時1608号104頁 判タ947号202頁
★社団会員制ゴルフクラブ
ゴルフ場の経営と会員組織とが分離しておらず、会員が社団を組織して、社団がゴルフ場の経営にあたる形態のものです。
社団は会員相互の信頼関係を基礎としているので、会員権は一身専属的なものであり、特に定款なければ相続されません。
★株主会員制ゴルフクラブ
ゴルフ場の経営にあたる会社の株主となることがゴルフクラブ入会の条件となるものです。
会員が死亡した場合、株式は相続の対象となるのは当然ですが、ゴルフクラブの会員の資格は相続されるかについて争いがある。