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相続財産の管理・処分
相続人が数人ある場合は、遺産は共同相続人間の相続分に応じた共有となり(民898)、その管理・利用については民法249条以下の共有の規定が適用されることになる(最判昭和30・5・31)。 下記で具体的に述べる。 ★保存行為(財産の現状を維持する行為)・・・・具体例→・家屋の修繕、・腐敗のおそれがある物の売却、・消滅時効の中断、・期限の到来した債務の弁済、・妨害排除請求などの第三者に対する物権的請求権の行使、・相続土地の保存登記、・取得時効の援用(最判平成13・7・10 判タ1073号143頁・判時1766号42頁) 保存行為は各相続人が単独でできる(民252但書)、 ★管理行為(通常の利用・改良行為など)・・・・具体例→・土地を駐車場として貸す、・相続財産としてアパートがあり、貸している場合、賃料の取立て・賃料不払い等による契約解除(最判昭和39・2・25) 遺産の通常の管理・利用は相続人の相続分に応じた過半数で決めて行うことになる(民252)。 なお、ここに言う相続分とは具体的相続分か法定相続分ないし指定相続分かについて争いあるも、後者と解するのが相当である(注釈民法27巻155頁)。 ★変更行為・処分行為(通常の利用・改良を超える行為)・・・・具体例→・土地の売却、・農地を宅地にするなど 変更や処分行為は相続人全員の同意がなければできない(民251)。 (最判平成10・3・24 判タ974号92頁 判時1641号80頁)は、共有者の一部の者が共有物に変更を加える行為をした場合、他の共有者は原状回復が不能である場合を除き、自己の持分権に基づいて、原状に復させることを求めることができると判事した。 ★共同相続人の一人による使用 (1)当然には明渡請求はできない。他の共同相続人は遺産分割の申立をなし、その中で解決すべきである。 (2)この間題は家屋の明渡しを求める行為を遺産の「管理行為」として、相続分に応じた過半数で決められるか、または遺産の占有状態の「変更」とみて共同相続人全員の同意を要すると考えるか、学説・判例の分かれるところあるが「変更」とみるべきではなかろうか。 仮に遺産の管理行為とみても、無断使用している相続人にも、その相続分に応じて家屋を使用・収益する権利があり、当然にその全部の明渡しを認めることは困難である。 またこれを認めると、遺産である家屋に居住している少数持分の相続人を多数持分の相続人が追い出すことを可能にし、少数持分の相続人の居住権の保護に欠けることになる。 多数持分権者から少数持分権者に対する明渡請求が、当然には認められるべきではないとした判例がある(最判昭和41・5・19 民集20−5−974)。 (3)なお共同相続人全員の話し合いで遺産の管理方法が決められていた場合、これを無視して1人の相続人が無断で遺産である家屋に住み込み管理を始めたような場合は、他の相続人は決められた管理方法に戻すことを請求し得ると考えられる。 (4)共同相続人の1人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるとした判例がある(最判平成8・12・17 判時1589−45)。 なお、内縁配偶者の保護・・・最判平成10・2・26 |