例@・・・・Aが死亡し、相続人が妻B・長男・次男であるケースで、長男が親(妻B)の世話を生涯続けることを条件に多くの相続財産を相続する遺産分割協議が成立した。しかし、長男は約束に反して世話を放棄している。
例A・・・・Aが死亡し、相続人が長男・次男であるケースで、長男が土地を相続し、その代償として次男に1000万円現金を支払う旨の遺産分割協議が成立した。しかし、長男は約束の金額を次男に支払わない。
上記のような場合であっても、541条により遺産分割協議を解除することはできないと裁判所は判断しました(最判平成1・2・9)。
ただし、遺産分割協議の場で、遺産分割とは別に「負担つき贈与」の合意がなされたものと見ることが可能なケースでは、負担つき贈与における負担の不履行により「負担つき贈与契約」を解除することも考えられないではありません(最判昭和53・2・17 判タ360号)
また、共同相続人全員の合意がある場合には、合意解除は可能です(最判平成2・9・27)。
例・・・・上記の例Aで長男も遺産分割のやりなおしに応じている場合
このように原則として、遺産分割協議を解除することはできませんので、約束を守らない者がいる場合には、債務不履行を理由として履行強制をしたり、損害賠償を請求するほかありません。
例・・・・上記の例Aで長男に次男が1000万円支払えとの裁判を起こし、勝訴判決を得、その判決により強制執行をおこなう。