■「こういちろう」のつづり

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質問:

2001年12月6日 木曜日 午後2時40分:

質問させていただきたいのですが、「こういちろう」という名前の場合、どのように表記するのが最も適切なのでしょうか。教えてください。

宜しくお願い致します。

回答:

ご質問ありがとうございます。

とりあえず、公的な規格、またはそれに準ずるとおもわれる方式でどうなるかをおこたえします。ローマ字は便宜上すべて大文字でかきますので、適宜小文字におきかえてください。

<こういちろう>の発音が、ふたつの<>の発音がどちらもオ列長音で、/コーイチロー/であると仮定しておこたえします。

国際規格
KÔITIRÔ (2文字めと最後の文字は、アクサンシルコンフレックス(^)がついた O。)
英国規格
KŌICHIRŌ (2文字めと最後の文字は、マクロン(¯, 全角では)がついた O。)
パスポート(外務省式)
KOICHIRO、または、KOHICHIROH。(リンク先の日本旅行のページでは「ヘボン式」となっていますが、この名称のつかいかたは正確ではありません。くわしくは「■ローマ字のいろいろ」をご参照ください。)
内閣告示(小学校の国語の教科書)
KÔITIRÔ (2文字めと最後の文字は、アクサンシルコンフレックス(^)がついた O。)

「適切」というのがどういう意味かによって、選択はちがってきます。

たとえば、

ということがかんがえられます。

ちなみに、今回の「こういちろう」の場合、国際規格と内閣告示はおなじつづりになります。

ただ、国際規格の場合、おなじ<こう>でも、<請う>とかく<こう>のように、<>のまえに、活用語の語幹と語尾のきれめがある場合は、<KOU>とかきます。この規則を、固有名詞の場合にどう適用するかは、意見がわかれるところだとおもいます。たとえば、<裕子>とかく<ゆうこ>の<ゆう>は<>で問題ないでしょうが、<結子>とかく<ゆうこ>の<ゆう>は問題かもしれません。<結う>とかく<ゆう>の<>のまえには語幹と語尾のきれめがありますから、<YUU>とかくべきかもしれません。

小学校の国語の授業では、原則は内閣告示の方式ですが、現場の先生の裁量で、英国規格や外務省指揮のつづりもおしえられることがあるようです。すくなくとも、<>を<TI>ではなく<CHI>とかくかきかたもあるということは、内閣告示の第2表にのっていますので、おおくの場合おしえられるようです。教科書にものっていることがおおいとおもいます。

そのほか、アクサンシルコンフレックスやマクロンがついた文字がつかえる環境かどうかにもよるとおもいます。

アクサンシルコンフレックスやマクロンがついた文字をつかわないかきかたとしては、パスポートの外務省式のほか、社団法人日本ローマ字会の「99式」や、そのもととなったわたくしの「海津式」があり、<KOUITIROU>とかきます。「発音ではなく、カナにしたがう」という原理です。

また、パスポートの場合、<こういちろう>の発音が/コウイチロウ/である(ふたつの<>の発音が、長音ではなく母音の/ウ/である)と主張すれば、<KOUICHIROU>にできる可能性があります。

2001年12月8日 ≡‥≡海津知緒(KAIZU Haruo)


変更記録

第1.1版(2001年12月8日)
新規登録。
第1.1.1版(2002年2月3日)
単独文書に分離。

版:
第1.1.2版
発行日:
2001年12月8日
最終更新日:
2003年12月6日
編著者:
海津知緒
発行者:
海津知緒 (大阪府)

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