■「ゆいち」と「ゆういち」の区別

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質問:

2001年9月20日 木曜日 午前6時24分:

突然のメールで失礼いたします。

私の姓名は「桃井(ももい)祐一(ゆういち)」と申します。

これをローマ字表記する場合、MOMOI Yuichi で良いと思っています。

MOMOI Yuuichi にしなければならないでしょうか。

これは英米人が読むことを前提にしています。

表記 MOMOI Yuichi の是非につきご意見賜れば幸甚に存じます。

回答:

ご質問ありがとうございます。ご質問は、「ゆいち」と「ゆういち」の区別という観点だとおもいますので、その点にしぼっておこたえします。

パスポートのローマ字氏名につかわれている、外務省式のつづりでは、「ゆいち」も「ゆういち」も<YUICHI>になります。したがって、パスポートのローマ字氏名にあわせるのであれば、「ゆういち」を<Yuuchi>にする必要はない、というか、してはいけないということになります。

しかし、どうしても「ゆいち」と区別したいということであれば、何らかの方法でかきわけなければなりません。

公的規格にしたがうなら、<ゆういち>の<>の発音が母音の/ウ/ではなくて長音であるとしてですが、

国際規格:
<Yuiti>の<u>にアクサンシルコンフレックス(あるいはサーカムフレックスアクセント)(^) をつけて、「û」(LATIN SMALL LETTER U WITH CIRCUMFLEX(サーカムフレックスアクセント付きU小文字))にします。
英国規格:
<Yuichi>の<u>にマクロン(¯)をつけて、「ū」(LATIN SMALL LETTER U WITH MACRON)にします。

内閣告示でも、国際規格とおなじです。

このような、「文字のうえにつくダイアクリティカルマーク」(字上符)をつかわない方法としては、

  1. <uu>とかく。(訓令式や日本式の支持者によくつかわれる方法。社団法人日本ローマ字会の「99式」の方法。)
  2. <uh>とかく。(ヘボン式の支持者によくつかわれれる方法。)
  3. <u^>とかく。(国際規格・内閣告示のサーカムフレックスアクセント(アクサンシルコンフレックス)をよこにならべる方法。)
  4. <u~>とかく。(英国規格のマクロンをよこにならべる方法。ただし、ふつうの日本語用フォントの半角文字では、字形がチルド(全角をつかうと「〜」)とおなじになる。)
  5. <ux>とかく。(わたくしが以前提案した方法。エスペラントの習慣を流用したもの。)

などがあります。

どれにしなければならないということはありませんから、自分でかんがえてきめることになります。

念のためもうしそえますが、英語の音韻構造は、音節のながさが一定ではなく、長短があります。それに対して、日本語では音節のながさがそれぞれほとんど一定です。もちろん、母音や子音の種類もことなります。

したがって、おなじローマ字つづりでも、日本語式に発音する場合と、英語式に発音する場合では、発音がことなってきます。

ですから、つづりと発音の関係に関して、なにがしかの規則をもうけて、よみてがそれにしたがってよむということを前提にしなければ、どんなふうにつづったとしても、英語を母語とするひとに日本人のなまえを日本語の発音でただしく発音してもらうのは無理です。(たとえば、「Taroo(たろう)」が/タルー/になる、「Marie(まりえ)」が/マリー/になるなど。)

以上でおこたえになりましたでしょうか。

≡‥≡海津知緒(KAIZU Haruo)


変更記録

第1.1版(2001年9月22日)
新規登録。
第1.2版(2001年9月23日)
最後の「(たとえば…」のところ訂正および追記。)
第1.2.1版(2001年11月29日)
ダイアクリティカルマークつきラテン文字のイメージをテキストに変更。
第1.2.2版(2002年2月3日)
単独文書に分離。

版:
第1.2.3版
発行日:
2001年11月29日
最終更新日:
2003年12月6日
編著者:
海津知緒
発行者:
海津知緒 (大阪府)

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