邦題 『真昼の翳』
原作者 エリック・アンブラー
原題 The Light of Day(1962)
訳者 宇野利泰
出版社 早川書房
出版年 1963/7/31
面白度 ★★★★
主人公 エジプト女性と英国軍人との間にできた私生児アーサー・シンプソン。アテネでハイヤー運転手をしながら、観光案内をしている。小悪人。
事件 ハーパーと名乗る男が空港でシンプソンのタクシーに乗り込んできた。金持ちの男だったため、彼は怪しげな店に連れ込み、旅行用小切手を盗んだ。だがハーパーに見つかり、警察へ引き渡される代わりとして、アテネからイスタンブールへ車を運転することを強要されたのだ。
背景 映画「トプカピ」(ジュール・ダッシン監督)の原作。前作『武器への道』とは異なり、物語はテンポよく展開する。特に前半が上手く、後半の一大喜劇(というか諷刺)となる物語を引き立たせることに成功している。1962年のCWA賞や1964年のMWA賞受賞もむべなるかだ。

邦題 『正義の四人』
原作者 エドガー・ウォーレス
原題 The Four Just Men(1905)
訳者 長谷川修二
出版社 東都書房
出版年 1963/8/13
面白度 ★★
主人公 「正義の4人」と名乗る4人の悪漢集団。
事件 「正義の4人」が外相暗殺を狙っているという特ダネが新聞を賑わした。外相への脅迫文も掲載された。外相は賞金を出し、ロンドン警視庁も捜査に乗り出したが、決められた日時に外相は密室状態の部屋で死んでいた。毒薬などは検出されなかったが……。
背景 多作な著者の第一作。扇情的で荒っぽいプロットなどは、ルパンや怪人二十面相の活躍するスリラーを思い出させる。現代推理小説の始まりといわれるE・C・ベントレーの『トレント最後の事件』とは、明らかに作風が異なっている。ちょっと面白かったのは密室殺人の殺人方法と動機。特に動機は、外国人の政治犯を助けるという公憤のためで、これだけは現代性を感じた。
2007年に新訳『正義の四人/ロンドン大包囲網』(宮崎ひとみ訳、長崎出版)が出た。

邦題 『黒檀の箱』
原作者 ミセス・ヘンリー・ウッド
原題 The Ebony Box(The Unholy Wish and other storiesに収録)(1890)
訳者 原百代
出版社 東都書房
出版年 1963/3/20
面白度 ★★
主人公 サムソン(サム)・ディーン。若手の見習い弁護士。
事件 ウスター市のコッカマス弁護士の家で起きた事件である。この家には息子が貯めた60ギニの金貨を入れた黒檀の箱があったが、それがいつのまにか行方不明となった。一方サムはコッカマス弁護士の元で弁護士修行を始めたが、ある日その箱は売り払った箪笥の中から見つかったのだ。ところが不思議なことに再び消えてしまい、最後の目撃者であるサムは窃盗の容疑者に!
背景 200枚弱の中編だが、世界推理小説大系第6巻に収録されている。ミステリーとしては箱の消出を偶然に頼るなど不満はある。だだし著者の狙いは、イイカゲンな証言・捜査の恐ろしさを警告することにあったようだ。社会派ミステリーの先駆的作品(?)といえなくもない。

邦題 『引き潮の魔女』
原作者 J・D・カー
原題 The Witch of the Low-Tide(1961)
訳者 小倉多加志
出版社 早川書房
出版年 1963/10/15
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『遠い砂』
原作者 アンドリュウ・ガーヴ
原題 The Far Sands(1960)
訳者 福島正実
出版社 早川書房
出版年 1963/5/31
面白度 ★★★
主人公 青年外交官のジェームズ・レニスンとドイツのボパルトで偶然知りあってジェームズと結婚した元女優のキャロル。キャロルは双生児姉妹の妹である。
事件 キャロルの姉は富豪の妻であったが、あるとき夫は他殺、妻は事故死と思われる状況で見つかった。警察は妻が財産目当ての行動の結果と考えているらしい。とすれば性格が良く似た妹も疑わしい。ジェームズは疑問を持ちつつ、キャロルの素人捜査に付き合うが……。
背景 冒険と謎解きを巧みに味付けしたサスペンス小説で、一気読みできる好著。双生児をトリックではなく、サスペンスを高めるために利用した点に独創性が感じられる。警察の捜査があまりに杜撰なのは興醒めだが、二人が素人探偵を演じるためにはやむを得ないか。

邦題 『マーニイ』
原作者 ウィンストン・グレアム
原題 Marnie(1961)
訳者 田中西二郎
出版社 早川書房
出版年 1963/3/31
面白度 ★★★
主人公 たぐいまれな美貌の女性マーニイ。ブロンドの髪、つぶらな瞳の持ち主だが、実際は狡猾な泥棒である。物語は<あたし>の第一人称で語られる。
事件 マーニイのこれまでの犯罪手口は、まず偽名で会社に入社し、上役の信用を得て会社の金の在りかを調べ、盗むとそのまま姿を消すというもの。だが今回は男に見つかってしまい……。
背景 ヒッチコック映画の原作。ティッピー・ヘドレンがマーニイを演じている。映画化されなければ翻訳されなかったであろう。前半は女性が主役の軽妙な犯罪小説といってよいが、後半になると、いささか重たいニューロティックな小説に変わっていく。個人的には後半部分はそれほど評価できないが、確かにオリジナリティはある。ミステリーの多様さを感じさせる一冊。

邦題 『チェイン氏の秘密』
原作者 F・W・クロフツ
原題 Unspector French and the Cheyne Mystery(1926)
訳者 宮西豊逸
出版社 早川書房
出版年 1963/12/31
面白度 ★★★
主人公 お馴染みのロンドン警視庁のフレンチ警部。
事件 チェインはプリマスのホテルでパークスと名乗る男に呼びとめられた。彼は特別室に案内してくれたが、麻薬入りの酒を飲まされ、意識を失った。そして眼を覚ましたときには、身体中を探され、パークスは消えていた。チェインは家に戻ってみると、家も荒らされており、チェインもまた誘拐されてしまった。一味はある書類を狙っていたのだ。チェインは戦うことにしたが……。
背景 フレンチの登場は後半からである。巻き込まれ型のプロットで、チェインが最後まで主役を務めた方がよかったように思うが、まあフレンチを出さざるをえないのだろう。最初から事件の連続で、結構面白い。ただ最後があっけなく解決されてしまい、盛り上がりを欠くのが残念。

邦題 『紙の臭跡』
原作者 ジュリアン・シモンズ
原題 The Paper Chase(1956)
訳者 庫田謙一
出版社 早川書房
出版年 1963/2/15
面白度 ★★★ 
主人公 学生時代に探偵小説を出版した作家のチャールズ・アブゲイト。探偵小説を書くネタを仕入れるため教師になる。校長の姪ヘッダ・ポントが助役として活躍する。
事件 赴任先は、ケント州にある非行少年・少女を専門に教育を施す特殊な学校。チャールズは学校がミステリーの舞台に相応しいと思ったからだが、なんと着任早々、同僚教師が就寝中に刺し殺されたのだ。警察の疑いの目はチャールズに向けられたが……。
背景 『二月三十一日』で本邦デビューした著者の4冊目の邦訳。最初は学園物の設定だが、途中から第二次世界大戦が絡む意外な展開となる。登場人物の造形が巧みなので小説として楽しめるが、殺人事件なのに警察捜査がほとんど描かれていないのは、ミステリーとしては弱すぎる。

邦題 『殺人の色彩』
原作者 ジュリアン・シモンズ
原題 The Colour of Murder(1957)
訳者 小倉多加志
出版社 早川書房
出版年 1963/11/30
面白度 ★★★
主人公 ジョン・ウィルキンズ。母親の溺愛を受けてなに不自由なく育てられたこともあり、女性恐怖症気味でもある。だがメイからのプロポーズを受けて結婚してしまう。
事件 だがメイは実は冷淡な女性で、ジョンの気持は暗くなるばかりだった。そんなときジョンは図書館で知り合ったシェイラを好きになった。ところがシェイラは他の男と婚約してしまったのだ。ヤケ酒を飲んだジョンは記憶を失い、その間にシェイラは殺された。ジョンは容疑者となったのだ!
背景 MWA賞をとった『犯罪の進行』の前作にあたる。著者が主張していた犯罪小説の実証例といってよい。前半は犯罪までの経緯が淡々と描かれている。後半は裁判物語になるが、ジワジワしたサスペンスはあるものの、イマイチ盛り上がらない。結末の処理も、賛否両論あると思うが。

邦題 『逃げる男のバラード』
原作者 シェリイ・スミス
原題 The Ballad of the Running Man(1961)
訳者 永井淳
出版社 早川書房
出版年 1963/12/15
面白度 ★★★★
主人公 三文ミステリー作家のレックス・ブキャナンと彼の妻ポーラ。
事件 トランプ占いでポーラは近い将来、身近な人の死で大財産を得るだろうという卦がでた。夕食のときその話を聞いたレックスには、あるアイディアが閃いた。自分が死んだと見せかけて保険金を貰おうというのだ。計画は成功し、整形したレックスはポーラとジュネーブで落ち合うことになった。ところがそこには、ポーラに金を渡した保険会社の男が待っていたのだ!
背景 初紹介された女性作家のサスペンス小説。前半は詐欺の話で、それほどオリジナリティがあるわけではないが、これは後半のための布石。後半は、主人公らは逃げ切れると過信するが……、という展開で、イヤリングが小道具として効果的に利用されている。筆力はたいしたものだ。

邦題 『イブ』
原作者 ハドリー・チェイス
原題 Eve(1945)
訳者 小西宏
出版社 東京創元社
出版年 1963/1/10
面白度 ★★★
主人公 悪女イブ・マーロウといいたいが、本当は彼女に溺れる作家のクライブ・サーストン。
事件 他人の戯曲を密かに盗作して脚光を浴びたサーストンは、その虚名と実力のギャップに悩んでいた。そんなときハリウッドの映画製作者から、悪女をテーマにした脚本を依頼された。サーストンは、たまたま妖しい魅力を持つイブを知っていた。そこで彼は、恋人がいたにもかかわらずイブを自分の物にしようとして、逆にイブの魔力に負け、破滅の道へ踏み出したのだ。
背景 衝撃的なデビュー作『ミス・ブランティッシュの蘭』とはかなり異なる心理小説のような作品。娼婦を征服しようとして溺れていく男の行動が説得力をもって描かれている。快調な物語展開で飽きることはない。解決が安易なのが欠点だが、ハリウッドの内幕は結構面白く読める。

邦題 『蘭の肉体』
原作者 ハドリー・チェイス
原題 The Flesh of the Orchid(1948)
訳者 井上一夫
出版社 東京創元社
出版年 1963/3/1
面白度 ★★
主人公 キャロル・ブランディッシ。殺人狂に誘拐されて犯された富豪の娘から生まれた女性。父親の遺伝を受けて陰気で凶暴な子であるが、一方で母親ゆずりの美貌とみごとな肉体を持つ。19歳のとき精神病患者となり入院。現在は22歳。
事件 そのキャロルが、嵐の夜、病院を脱出した。途中自動車事故にあい、記憶を喪失するも、養狐園を経営する兄弟に助けられた。だが女性の財産を狙う殺し屋に狙われたりし……。
背景 一応『ミス・ブランディッシの蘭』の続編になっているが、続編とはいえ、ヒロインが前作の主人公の娘というだけで、プロットが継続しているわけではない。古さを感じさせるのは精神病患者が凶暴である設定と性暴力の描写が穏やかなこと。前作のインパクトはすでに失われている。

邦題 『とむらいは俺がする』
原作者 ハドリー・チェイス
原題 I'll Bury My Dead(1953)
訳者 井上勇
出版社 東京創元社
出版年 1963/10/4
面白度 ★★
主人公 一匹狼的な興行師ニック・イングリッシュ。
事件 ニックは自分の努力でのし上ってきた男だった。だが彼には出来の悪い弟ロイがいた。ロイはいろいろな人を脅迫して、そこから生計を得ていたのだ。そのロイが殺された。犯人は、どうやらロイに脅迫され、思い余って殺したらしい。ニックは犯人探しを始めるが……。
背景 ニックの性格設定にあまり魅力がない。ニックは異色な職業人なのだから、もっと工夫すれば魅力が増したであろう。暴力とセックスはチェイスの得意技なので、当然お色気場面はあるが、それもたいしたことはない。ただしミステリーとしての謎はそこそこ面白い。まあ時にはつまらない作品を書いてしまうのが、二流の大家といわれる一因でもあろう。

邦題 『鳥』
原作者 デュ・モーリア
原題 The Apple Tree(The Birds and Other Stories)(1952)
訳者 鳴海四郎
出版社 早川書房
出版年 1963/6/15
面白度 ★★★
主人公 原書から3本の短編を訳載した短編集。
事件 収録作品のトップは「鳥」。ヒッチコック監督の映画化で有名になったもの。何故か突然鳥が人間を襲う話であるが、映画は前半を大幅に膨らませている。結末の印象も原作の方が暗いが、まあこれは好みの問題であろう。次が「瞬間の破片」で、家に帰ってきたら自分を認める人がいなかった! という発端がユニークだが、結末はちょっと常識的。最後は「動機なし」で、少し前までは幸福であった女性の自殺の謎を追う物語で、ミステリーとして楽しめる。
背景 完訳は2000年に東京創元社より『鳥』として刊行された。本書は映画公開のおかげで翻訳されたはず。映画の印象が強過ぎて(そして完訳でないので)、星3つとしている。

邦題 『殺し屋テレマン』
原作者 ウィリアム・ハガード
原題 The Telemann Touch(1958)
訳者 杉浦安
出版社 東京創元社
出版年 1963/5/13
面白度 ★★
主人公 英国植民地の小島セント・クリーの油田開発現場監督デイビッド・カー。独身だが、物語の終盤で土着民の娘ジャラと結婚。兄は国務大臣のエドワード・カー。
事件 島では大油田地帯となる可能性のある土地が見つかり、国際紛争の焦点となった。領有権を主張する隣国の独裁者は、その目的を達成するために破壊工作員テレマンを侵入させたからだ。デイビッドは、誇り高き男テレマンと対決することになるが……。
背景 イアン・フレミングと比肩される著者の本邦初紹介作品。訳題からはバイオレンス小説やハードボイルドを連想してしまうが、内容は国際陰謀小説。問題は、古い騎士道精神丸出しの主役二人だろう。戦前のバカン流スパイ小説ならともかく、007以後でこれはないでしょう。

邦題 『ソーンダイク博士集』
原作者 A・R・フリーマン
原題 独自の編集
訳者 佐藤祥三
出版社 東都書房
出版年 1963/8/13
面白度 ★★★
主人公 科学探偵の始祖ソーンダイク博士。日本独自の編集で8本の短編が収録されている。
事件 題名を順に列挙すると、「パンドーラの箱」(*、%)、「アネズリーの危難」(*、%)、「青い甲虫」(%)、『悪疫の伝播者」、「ニュー・ジャージーのスフィンクス」(%)、「人間を釣る」、「火葬の積薪」(%)、「ブロドスキー事件」(%)である。このうち*印は東京創元社の『ソーンダイク博士』に含まれている。また%は東京創元社の『ソーンダイク博士の事件簿U』に含まれている。
背景 無印2本は、本作品(世界推理小説大系14)でしか読めない短編である(出版時には*印の作品も含めて5本が初出となる)。本集でしか読めない両短編は、科学的探偵法で捜査する物語であるが、いずれもたいした出来ではない。やはり「ブロドスキー事件」が印象が残る。

邦題 『死のとがめ』
原作者 ニコラス・ブレイク
原題 The Worm of Death(1961)
訳者 加島祥造
出版社 早川書房
出版年 1963/3/31
面白度 ★★★
主人公 お馴染みの探偵ナイジェル・ストレンジウェイス。彼の恋人である彫刻家クレア・マシンガーも主役級の活躍をする。ロンドン警視庁の主任警部ライトが協力する。
事件 慈悲深い医者として尊敬を集めていたピアーズ博士が濃霧の夜に失踪した。6日後テームズ河で腐乱死体で見つかったが、検死の結果は他殺だったのだ! どうやら殺人は博士の家で行われたらしい。容疑者は博士の一族に絞られたが、やがて第二の殺人が……。
背景 ストレンジウェイス物の全16冊中の14冊目。つまり著者晩年の作品。第一章に仕掛けがあるものの、その後は典型的な謎解き小説的な物語展開となる。謎解きとしてはアリバイを巡る尋問がわかりにくいが、物語の語り口や容疑者の心理描写はさすがに達者だ。

邦題 『カジノ・ロワイヤル』
原作者 イアン・フレミング
原題 Casino Royale(1953)
訳者 井上一夫
出版社 東京創元社
出版年 1963/6/21
面白度 ★★
主人公 お馴染みの英国秘密情報部員007号ことジェイムズ・ボンド。
事件 ボンドの新しい任務は、ソ連の工作員でフランス共産党の大立者ル・シッフルの資金源を断つことだった。ル・シッフルは党の資金を使い込み、その挽回のためにカジノの賭博場に出入りしていた。ボンドはアメリカ人レイターらの協力で、バカラ賭博で彼を打ち負かすが……。
背景 記念すべきボンド物の第一作。第一作には著者の多くの原型が含まれているものだが、本作にもそれが認められる。まず物語構成がシンプル。つまりプロットの面白さで読ませる作家ではないことがよくわかる。逆にシーン描写は上手い。特にトランプの場面でボンドらが勝つのは明らかなのに、ついつい熱中してしまう。ただし本作ではそのバランスが悪く、出来はイマイチだが。

邦題 『女王陛下の007号』
原作者 イアン・フレミング
原題 On Her Majesty's Secret Service(1963)
訳者 井上一夫
出版社 早川書房
出版年 1963/11/30
面白度 ★★★
主人公 お馴染みの英国秘密情報部員007号ことジェイムズ・ボンド。シリーズ11作め。
事件 ”サンダーボール作戦”を成功裡におさめたボンドは、世界的犯罪組織スペクトルの首領ブロフェルドを追うことになった。やがてボンドはブロフェルドがスイスにいることを系譜紋章院から聞き込み、系譜紋章院の役人に化けてスイスに向かった。そこでボンドはブロフェルドの匂いを嗅ぎ、彼の狙いを探り始めるが、身元がばれそうになり、スキーで逃げるものの……。
背景 そのスキーでの脱出が圧巻。冒頭にこのシーンをもってきて、一気に読者を物語に引き込む技術は冴えている。また系譜紋章に関する薀蓄も、多少のダレはあるものの、細部に拘るフレミングらしい面白さがある。なお結末からは、この冒険物語はまだまだ続くことになる。楽しみ!

邦題 『わたしを愛したスパイ』
原作者 イアン・フレミング
原題 The Spy Who Loved Me(1962)
訳者 井上一夫
出版社 早川書房
出版年 1963/12/15
面白度 ★★
主人公 物語の主人公は、花嫁修業のため一時英国に渡ったカナダ人女性のヴィヴィエンヌ・ミッチェル。彼女の危機に登場するのが007号ことジェイムズ・ボンド。
事件 物語はヴィヴィエンヌの男性遍歴から始まる。英国では狼のような男たちに虐げられた。そして今アメリカに渡り、男への復讐を考えながら、嵐を避けるために山の麓のモーテルに泊まっていた。だがそこには悪漢二人が同宿しており、彼女は狙われるが……。
背景 これまでの著者の長編の中では、ボンドが登場するシーンは一番少ないし、その活躍もたいしたものではない。物語としては、冒険小説としてよりヴィヴィエンヌの赤裸々な告白の方が面白い。フレミングの描く女性は、まあ私の好みではないですが……。

邦題 『張込みはつづく』
原作者 モーリス・プロクター
原題 Devil in Moonlight(1962)
訳者 高橋豊
出版社 早川書房
出版年 1963/11/30
面白度 ★★
主人公 人口11万の中都市アターハムの市警の主任警部ジェイムズ(ジム)・マックール。36歳の独身だが、仕事熱心で犯罪捜査課長を勤めている。
事件 市では最近商店破りが多発していた。警察が警戒していたところ、市一番の豪華なセール・デパートに侵入したと思われるこそ泥を現行犯逮捕出来たのだ。早速マックールがデパートに行くと、なんと社長室には、80歳を越えるセール社長の血だるまの死体があった!
背景 著者の邦訳5冊目。10年以上警察官を勤めていた作家らしく、邦訳された作品はすべて警察小説だが、シリーズ警官は登場していない。犯人などはすぐ予測がつくなどプロットに工夫が足りないものの、マックールは、地味ながら好感の持てる警官に造形されている。

邦題 『ギデオンと放火魔』
原作者 J・J・マリック
原題 Gideon's Fire(1961)
訳者 井上一夫
出版社 早川書房
出版年 1963/2/28
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『ギデオン警視の危ない橋』
原作者 J・J・マリック
原題 Gideon's Risk(1959)
訳者 井上勇
出版社 東京創元社
出版年 1963/3/15
面白度 ★★
主人公 シリーズ・キャラクターは、ロンドン警視庁のジョージ・ギデオン警視。今回の物語では、同じロンドン警視庁のフレッド・リー警視が活躍する。
事件 ギデオンは、妻を殺したボーグマンが彼女の遺産によって財界の巨頭にのし上がったのを知っていた。だが証拠がないために手が出せなかったのだ。しかしこのままでは警視庁の威信にかかわる。どんな方法でボーグマンを逮捕するか、ギデオンらは議論を続けるが……。
背景 本シリーズは、さまざまな事件を併行して扱うことに特徴があるが、そのような単純な構成では、やはり飽きられてしまうのだろう。自動車泥棒や麻薬ギャングにも触れているものの、本作ではボーグマンの話がメインになっている。しかし短編ネタ程度なので、出来は平凡。

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