1963年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト3
(1)『真昼の翳』(エリック・アンブラー)
(2)『逃げる男のバラード』(シェリイ・スミス)
(3)『遠い砂』(アンドリュウ・ガーヴ)

本年の特徴
 この年も英国ミステリーは、質・量ともに低調であった。量的には20冊を越えたが、多少増えたのは東都書房より世界推理小説大系が刊行されたからであろう。また質にしても、★4つは二作しかなかった。東京創元社はこの年SF部門を新設したことからもわかるように、出版社はミステリーよりSFに力を入れ始めた時期であり、その結果が反映されたのかもしれない。『鳥』はベスト3に入れようとしたが、後年完全版が出版されているので除いた(以上の文章を書いた数年後に『遠い砂』を読んだら、これが結構面白かったので、ベスト3の第3位は『イブ』から『遠い砂』に変更した)。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『真昼の翳』 エリック・アンブラー 宇野利泰 早川書房 ★★★★
『正義の四人』 エドガー・ウォーレス 長谷川修二 東都書房 ★★
『黒檀の箱』 ミセス・ヘンリー・ウッド 原百代 東都書房 ★★
『引き潮の魔女』 J・D・カー 小倉多加志 早川書房  
『遠い砂』 アンドリュウ・ガーヴ 福島正実 早川書房 ★★★
『マーニイ』 ウィンストン・グレアム 田中西二郎 早川書房 ★★★
『チェイン氏の秘密』 F・W・クロフツ 宮西豊逸 早川書房 ★★★
『紙の臭跡』 ジュリアン・シモンズ 庫田謙一 早川書房 ★★★
『殺人の色彩』 ジュリアン・シモンズ 小倉多加志 早川書房 ★★★
『逃げる男のバラード』 シェリイ・スミス 永井淳 早川書房 ★★★★
『イブ』 ハドリー・チェイス 小西宏 東京創元社 ★★★
『蘭の肉体 ハドリー・チェイス 井上一夫 東京創元社 ★★
『とむらいは俺がする』 ハドリー・チェイス 井上勇 東京創元社 ★★
『鳥』 デュ・モーリア 鳴海四郎 早川書房 ★★★
『殺し屋テレマン』 ウィリアム・ハガード 杉浦安 東京創元社 ★★
『ソーンダイク博士集』 A・R・フリーマン 佐藤祥三 東都書房 ★★★
『死のとがめ』 ニコラス・ブレイク 加島祥造 早川書房 ★★★
『カジノ・ロワイヤル』 イアン・フレミング 井上一夫 東京創元社 ★★
『女王陛下の007号』 イアン・フレミング 井上一夫 早川書房 ★★★
『わたしを愛したスパイ』 イアン・フレミング 井上一夫 早川書房 ★★
『張込みはつづく』 モーリス・プロクター 高橋豊 早川書房 ★★
『ギデオンと放火魔』 J・J・マリック 井上一夫 早川書房
『ギデオン警視の危ない橋』 J・J・マリック 井上勇 東京創元社 ★★

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