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民主主義科学者協会 言語科学部会 関連資料

最終更新 2017.09.16.


『コトバの科学』総目次

『言語部会ニュース』総目次

関連出版 書 籍 総目次

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『コトバの科学』第4〜9号 総目次

▼『コトバの科学』というのは、民主主義科学者協会 言語科学部会 が編集していた ガリ版刷りの機関誌で、第9号まで出ている。第1〜3号は、入手できていない。以前 大久保忠利氏に照会してみたところでは、ご自分の書いた部分の「切り抜き」しか残っていなかった。第4号以降とは、かなり感じの違ったものであったらしい。
 『コトバの科学』第4号は、1951年10月8日の部会総会で「復刊」が決まったもので、編集委員は、大島(義夫)・奥田(靖雄)・野村(篤司)、となっている。

◆『コトバの科学』第4号                1951年11月20日

大久保 忠利   マスコミュニケーションの魔力
大島 義夫    最近のソヴェート言語学
奥田 靖雄    言語過程説について(1)
大久保 忠利   『批判のコトバずかい』についての自己批判

書評    大久保 忠利 担当
後記    (N) [野村 篤司?]

◆『コトバの科学』第5号                1952年 1月20日

団体等規制法案に反対しよう!

菊池 おさむ   1951年の言語学界
水野 清     1951年の国語教育論
大島 義夫    1951年の国語国字問題
奥田 靖雄    音韻についての覚書

書評と紹介 諸氏
後記    (T) [菊池 つとむ?]


◆『コトバの科学』第6号                1952年3月1日

大久保 忠利   言語の本質を求めて── 一つの問題提起 ──
奥田 靖雄    E.サピアの音韻論について
山主 俊夫    言語と科学者──S.I.ハヤカワの説を批判しつつ──


◆『コトバの科学』第7号                1952年4月12日

水野 清     高等学校漢文科必修案をめぐる諸問題
奥田 靖雄    日本語動詞の語幹について
吉村 康子    言語過程説の主体的意識
大久保 忠利   言語の本質を求めて(2)──ソシュールの発展をめざしつつ──


◆『コトバの科学』第8号                1952年7月15日

水野 清     1950年度のソ同盟言語理論の方向
大久保 忠利   言語の本質を求めて(3)──「ラング」の二重性を指摘する──

あとがき    (T.K.) [菊池 つとむ?]


◆『コトバの科学』第9号                1953年3月1日

なかむら・たかお 国語教育と生活綴方──倉沢さんの意見を批判する──
[編集者]    「やさしく」書くということについての二つの意見
 大久保 忠利   ──石母田さんへ──「平易に大衆的に」ということ
 宮島 達夫    ことばつくりの研究へ

あとがき    (T.K.) [菊池 つとむ?]



『言語部会ニュース』第1〜4号 総目次

▼『言語部会ニュース』というのは、『コトバの科学』が9号で 休刊したあと、「せめて研究会の結果だけでも のせられるようなニュースを出そう」ということで、はじめられたもの(1号の「ニュースを出すにあたって」)。民科第9回大会(「科学は政治に従属する」方針採択)の直前の4号まで出て、終わったもよう。

◆『言語部会ニュース 1』                1953年11月23日
(M)        ニュースを出すにあたって           [宮島 達夫?]
竹内 和夫     トルコ語の文法用語
大井 正      記号論批判
野村 篤司     ホフマンの 日本語動詞論
奥田 靖雄(発議)  ヒトエ文の くみたてに ついて


◆『言語部会ニュース 2』                1954年1月13日
(O)       『学問のコトバをやさしくする会』ができました  [大久保 忠利?]
報告 山崎 謙    哲学の術語を やさしくするには
(S・M)      どう なおしたら いいか            [鈴木 重幸・宮島 達夫?]


◆『言語部会ニュース 3』                1954年3月1日
無署名(報告)   「学問のコトバをやさしくする会」
クロタキ・チカラ  国語教育の 進むべき 本道
小野 牧夫     文学教育に ついて


◆『言語部会ニュース 4』                1954年5月10日
大島 義夫     国語運動の歴史
卓 熹銖・金 甲龍  母国語と 人間形成



関 連 出 版 書 籍

★民主主義科学者協会 言語科学部会 監修『言語問題と民族問題』(季刊理論・別冊 II 理論社 1952年12月刊)

石母田 正    言葉の問題についての感想──木下順二氏に──
寺沢 恒信    飛躍と爆発──古い質から新しい質への移行の法則について──
大久保 忠利   言語と思考と行動──言語研究の「目的意識化」のために──
大島 義夫    社会主義社会における言語の問題

▽スターリン論文の影響▽
I 理論編集部  スターリン「言語学におけるマルクス主義について」・解説 (†)
U 除村 吉太郎  ソヴェト文学
V 園部 四郎   ソヴェト哲学
W 村山 七郎   ソヴェト言語学
X 大島 義夫   ソヴェト言語学の発展
Y 松本 昭    中国言語学界の動向
Z 水野 清    日本言語学

クロタキ・チカラ    現在のニッポンの言語問題

奥田 靖雄    [学界展望]日本における言語学の展望と反省──主観主義的立場をめぐって── #
         1ソシュール学の基礎概念 2橋本進吉の音韻論 3時枝言語学 4反省として

ケチュキアン   イ・ヴェ・スターリンの労作「マルクス主義と言語学の諸問題」の
渓内 謙 訳         政治学説史における意義

▽学習の手引▽
理論編集部    言語学(菊池つとむ)・国語学(菊池つとむ)・国語問題(松浦シゲル)

# 本書は (雑誌別冊)論集の 活版印刷の 刊行なので、『コトバの科学4』の 奥田靖雄「言語過程説について(1)」と 『同 5』の「音韻についての覚書」(服部四郎批判)の 2つが、こまわりの きく ガリ版ずりの 発行で でた 機関誌よりも おくれるが、執筆に関しては、論集のほうが さきで 正編であり、機関誌のほうが 続編の 各論の 関係に あるのではないかと おもわれる。続編は、時枝誠記・服部四郎 という 現役東大教授が えらばれて、わかい 会員たちには、ひとごとではない 問題であった ことだろう。なお 正編の 論集の 異様に ながい「補註」も、刊行の おくれに あわせて、理論詳論や 各論例示の 補註が おぎなわれた ものと おもわれる。
 『コトバの科学6』の 奥田靖雄「E.サピアの音韻論について」と 『同 7』の「日本語動詞の語幹について」とによって、アメリカ音韻論・静態記述主義批判を 整理しながら、『同 7』の 吉村康子「言語過程説の主体的意識」という「投稿」論文(<集団論文)を うむ ことによって、民科会員への いわば「基礎教育」を しめくくる。以後は、哲学的発言は 表面上 ひそめつつ、日本語学の はたらき(フンボルトの Energeia)の 発展法則性に ―― 主語論 連語論 述語論へと ―― ねらいを さだめていく。
 基本的には「奥田没後10年シンポ」(2012年)で いった ことなのだが、記録は 未刊のままに おわりそうなので、奥田追悼文集の「出会い」(2003)の したたらずな 説明に 加筆して、論文執筆 前後関係を 推定 再構しておいた しだい。


†「理論編集部」については、臆測に ながれたので、削除する。この程度の 解説の 質は、「吉村康子」的な 集団制作でも ありうる と かんがえた。用語用字も 統一が とれていない。執筆は 複数の 学生も かかわっただろうが、実質の 司令塔は 奥田だろう。
 cf.「▽学習の手引▽ 理論編集部(菊池つとむ)・(松浦シゲル)」の ばあいとは、しごとの 質・量の ちがいだろう。

★奥田 靖雄『正しい日本文の書き方』(現代の生活技術新書・日本コトバの会・編 第6集 春秋社 1953年12月刊)

注) 初版の 奥付は 奥田 靖男。なお、樋口文彦編(1997)「奥田靖雄の著作目録」『ことばの科学 8』には、「はしがきの部分とまえがきの部分を執筆」と ある。これは、奥田の 言(記憶)に したがった ものと おもうが、他の ひとの したがきを もとにした 執筆の 部分ではなく、単独執筆の 部分は ここだ という 意味だと おもわれる。たとえば 第5章「動詞の つかいかた」の 活用についての 部分など、内容的にも 奥田にしか かけないし、用語の 点でも、「文」のことを 「文章」と よぶ、ふるい ドイツ文法の 用語も 奥田の 当時の くせである。「ことばなおし」の 共同研究を もとにして 執筆されたのは まちがいないだろうし、この章にも したがきが あった ことは 否定しないが、完成原稿段階の 執筆は 奥田の ものと かんがえる べきである。「動詞活用表」の 初出文献なので、ひとこと。

第一部 文章のかきかた
 まえがき
  一、文法について
  二、ただしい文章をかくための一般的な心え
 第一章 文法へのいとぐち
 第二章 主語と述語
 第三章 カザリとカザラレ
 第四章 名詞のつかいかた
  一、格
  二、とくに注意すべき点について
  三、そのほか
 第五章 動詞のつかいかた
  一、動詞のカワリカタ
  二、動詞のスガタ
  三、動詞のタチバ
  四、そのほかの述語のカワリカタ
 第六章 そのほかの注意
 第七章 単語のつくりかた
  一、動詞
  二、名詞
  三、クッツケ

第二部 文字のかきかた
 第一章 カナヅカイ
 第二章 漢字のつかいかた
 第三章 オクリガナのつけかた
 第四章 シルシのつかいかた
 第五章 そのほかの注意

【参考:同シリーズ 第12集に 山崎 謙『これからの文章作法』(1955年3月刊)】


★武藤 辰男 編『美しい国語・正しい国字』(河出新書31 1954年2月刊)
【「編集上のいろんな雑用」:野村 篤司】

 武藤 辰男   編集者のことば──美しい国語・正しい国字──

これからの日本語
 柳田 国男   標準語の話 (1941年)
 金田一 京助  標準語のために
 阿部 知二   言葉と時代
 内藤 濯    日本語をのびやかに
 奥田 靖雄   民族解放と日本語──漢語の問題をめぐって──

国語国字問題の解決へ
 保科 孝一   国語国字問題の歴史
 釘本 久春   戦後日本の国字改革
 松阪 忠則   漢字・漢語の問題
 土岐 善麿   日本における言語改革の問題

外国語の経験から学ぶ
 S・カンドウ  フランス語と日本語
 加茂 正一   ドイツ語の国語醇化 (1944年の単行本からの抄録)
 竹内 和夫   トルコの国語国字改革
 倉石 武四郎  中国の国字問題 (『漢字の運命』から)

先覚者から学ぶ
 上田 万年   国語のため (抄録)
 水野 清    「国語のため」解説

【参考:「日本コトバの会」の編集で、本書のほか、宮城 音弥 編『言葉の心理』、木下 順二 編『暮しのことば』、竹内 好 編『国民文学と言語』も 出版】


★民主主義科学者協会 言語部会 監修『国語問題の現代的展開』(理論別冊学習版・第W集 理論社 1954年8月刊)

T 生きた言葉にするための問題点
 山崎 謙    新しい学風を大衆路線のうえにうちたてよう
 栗林 農夫   国語と方言について
 足柄 定之   労働者の言葉と文学
 松丸 志摩三  農民の言葉

U 民族語としての言語問題
 藤村 三郎†  民族解放と日本のコトバ
 マツサカ タダノリ   漢字問題のあゆみ
 大島 義夫   日本語改革の歴史
 大久保 忠利  言語活動の生理学的土台づけ
 宮島 達夫   「コトバつくり」と漢語

      †奥田靖雄か。鈴木 康之 編(1977)『国語国字問題の理論』の「あとがき」参照。

V 新しい国語教育の問題──文法・漢語・生活綴方から──
 鈴木 重幸   学校文法批判
 野村 篤司   国語教育と漢語とについての覚え書き
 クロタキ・チカラ   国語教育からみた生活綴方
 奥田 靖雄   日本語の文法的クミタテ

W 中国・トルコの国語改革
 竹内 実    中国における近代民族共通語の形成
 竹内 和夫   トルコの国語国字改革


★大島 義夫 編『民族とことば』(講座 日本語1 大月書店 1956年2月刊)

 1 松島 栄一     民族とことば
 2 黒滝 チカラ    ことばの発生
 3 大島 義夫     ことばと社会
 4 石井 淳一     ことばと思考
 5 高橋 太郎     ことばと心理
 6 宮島 達夫     ことばの発展
 7 奥田 靖雄     ことばの組みたて
 8 鈴木 重幸     ことばと文字
 9 関本 至      世界のことば
 10 清水 幾太郎    日本語随想
 11 金田一 京助    談話 言語研究の五十年

【参考:『講座 日本語』は 全7巻。全書版の大きさ。
 監修:金田一 京助  土岐 善麿  西尾 実
 編集:大久保 正太郎 大島 義夫 岡部 政裕 金田一 春彦 熊谷 孝 上甲 幹一 中村 通夫】



民 科  役 員 ── 言語部会関係者

    #柘植 秀臣『民科と私』(勁草書房 1980年12月刊)の「付録 資料 三 役員名簿(歴代)」から抄出

創立総会 発起人:高倉 テル
1948年度 評議員:大島 義夫、小林 英夫、高倉 テル、平井 昌夫
1949年度 評議員:大島 義夫、國分 一太郎、小林 英夫、佐伯 功介、高倉 テル
1950年度 幹 事:亀井 孝(言)、黒滝 力(東京)
     評議員:大島 義夫、大久保 忠利、國分 一太郎、小林 英夫、高倉 テル、水野 清
1951年度 幹 事:大島 義夫(言)
     評議員:言語科学部会 まつざか・ただのり、鶴見 俊輔、クロタキ・チカラ、小林 英夫、大久保 忠利    
1952年度 幹 事:水野 清
     評議員:まつざか・ただのり、鶴見 俊輔、クロタキ・チカラ、小林 英夫、大久保 忠利
1953年度 評議員:大久保 忠利(言語)、松阪 忠則(言語)
1954年度 幹 事:奥田 靖雄 [資料には 靖男]
1955年度 幹 事:言語部会 奥田 靖雄 [資料には 靖彦]


言語学研究会へ

▼1956年06月23-4日 民科11回全国大会「民科は 部会と支部の協議体」【事実上の 民科解体】

●1956年11月12日 言語学研究会 創立総会
     評議員:大島 義夫、大久保 忠利、金田一 春彦、熊沢 龍、三上 章、武藤 辰男
     運営委員:石井 淳一、岡野 宏平、鈴木 重幸、鈴木 康之、田中 克彦、堀田 珪子、湊 吉正、宮島 達夫
     総会後の講演:三上 章 「は」と「が」について

★1957年01月『言語学研究会ニュース 1』創刊【連絡先:鈴木 康之】
 1959年09月 言語学研究会の国語教育部会が 教育科学研究会の国語部会に合併。
 1960年03月『言語学研究会ニュース 16』廃刊【前年12月の第4回総会で 廃刊決定】
  なお、国語研 図書館には、原本の合冊製本版あり。また、宮島 達夫 による「複製」(2001年8月)も出ている。

★1965年05月『教育国語』(教育科学研究会・国語部会 編) 創刊【創刊号の編集名義人:野村 篤司】
  なお、奥田 靖雄 の著作目録類には のっていない「討論 西郷(竹彦)さんへの疑問」が、
 この創刊号の巻末に 4段組で ぎっちり4ページ 追い込み的に 掲載されている。

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