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遺留分を無視した場合どうなるのか?
第九百二条  被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。但し、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない
第九百六十四条  遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。但し、遺留分に関する規定に違反することができない


相続分の指定・遺贈は遺留分に関する規定に違反することはできないと規定しています。
遺留分の規定に違反しても、相続分の指定・遺贈などが当然に無かった事になる訳ではありませんが、
遺留分を侵害された者が、遺贈などを受けた者から、侵害された分を取り戻す権利が認められているのです(遺留分減殺請求権)。

したがって、遺留分を無視した遺言を作成した場合、
遺留分減殺請求権が行使され、遺贈などが減殺される可能性があります。


減殺はどのようになされるのか?

減殺される順序・割合は民法で規定されています。

第千三十五条  贈与の減殺は、後の贈与から始め、順次に前の贈与に及ぶ。
第千三十四条  遺贈は、その目的の価額の割合に応じてこれを減殺する。
但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

しかし、割合については遺言で別段の定めを行なうことが可能です。

例えば、遺贈が複数ある場合・・・・Aの遺贈・Bの遺贈・Cの遺贈
別段の定めがなければ、価格の割合で、A・B・Cの遺贈を減殺することになりますが
遺留分減殺の順序はA・B・Cの順とする と遺言で定める事が可能です。
また、A・B・Cの減殺割合を遺贈価額の割合と異なった内容にすることも可能です。
例・・・・・Aが5、Bが3、Cが1の価格とした場合、本来は価格に応じて減殺されますが、遺言でA・B・Cが3分の1の割合で減殺すると定めることが出来ます。



遺言で減殺方法の指定をしておきたい

サンプル@

1.〜〜の土地は〜〜に相続させる。
2.〜〜の預金は〜〜に遺贈する。
3.その他、一切の財産は〜〜に相続させる。
4.遺留分減殺の順序は1.3.2の順と指定する。


サンプルA

もし、長男○○から遺留分減殺の請求があったときは、
〜〜に遺贈した財産について減殺し、〜〜に遺贈した部分からは減殺しないものとする。




なお、減殺の割合の別段の定めには、執行行為の入る余地はありませんので、遺言執行者の仕事はありません。