特定遺贈の説明
「遺産の3分の1を与える」・・などの定めは、「相続分の指定」なのか、「包括遺贈」なのか?
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![]() 相続分の指定と解される場合が多い。 遺産を、相続人に分数的割合で相続させるという処分がなされている場合には、相続分の指定と解すべきである。 これらの場合には、包括遺贈と解する余地がないでもない(最判昭61・11・20民集四〇巻七号一一六七頁参照)。 しかし、包括受遺著が相続人と同一の権利義務を有する(九九0条)以上、実質的には相続分の変更と変わりがなく、相続人については包括遺贈をみとめる実益がない。 この点は、相続させるという用語を用いるか、贈与という文言を用いる(最判昭61・11・20民集四〇巻七号一二ハ七頁参照)かは関係がない。 ただし、法定相続分より少ない割合を与える遺言がある場合で先取的な趣旨・法定相続分にプラスしてその分を与える趣旨であるならば包括遺贈であろう。このような場合、包括遺贈が特別受益となるか問題となるも、被相続人の「持戻免除の意思表示」があると考えられますので、特別受益の制度は無関係と思われます。 判例・・・仙台地判平成9・8・28 控訴審・仙台高裁平成10・1・22判タ987号・判時1666号 遺産全部を包括して長男Aに遺贈する」旨の公正証書遺言。原審は「相続分の指定」と判断したが、控訴審は「包括遺贈」と判断した。 |