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寄与分の検討・・・・理解できたらページを消して戻ってください。



質問

被相続人に つくしてあげた(貢献してあげた)行為があっても・・・・
特別の寄与(貢献)といえなければいけません。

身内がお互い手伝う事はある程度、当然の事なのです。

特別な寄与といえますか?


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特別の寄与といえる



特別な寄与といえない・・・・・寄与分の制度は関係ありません。・・・このウィンドウを消し、元のページに戻ってください



特別な寄与といえるのか分からない場合・話し合いがつかない場合・・・・ココ

質問の補足説明

★夫婦間の協力義務や親族間の扶養義務等

被相続人との身分関係に基づいて法律上の義務の履行としてなされる行為は「特別の寄与」には該当しません。

例・・・妻の通常の家事労働。
妻が家庭で家政を処理しながら多くの養子を養育し、これによって夫の活動を助けてきたが、家事労働が主で、内助の功は多少あるかもしれないが、これだけでは、事業の経営など特別な寄与をしたものと認めない(高松高決昭和48・11・7 東京高決昭和54・5・14 家月32・4・53)

例・・・子が被相続人である親と同居して扶養していた場合
三男が8年間被相続人と同居して面倒をみたことは直系血族として扶養義務の履行であることを考慮すれば、この程度では遺産の維持に貢献したとはいえない(東京高決昭和54・5・14 家月32・4・53)。しかし、他の相続人にも扶養能力があり扶養料の求償可能な場合に扶養した相続人に寄与分を認めた審判例がある(大阪家審昭61・1・30家月38−6−28)。

もっとも、協力義務・扶養義務であっても、社会通念上通常期待されるような貢献の程度を越えている場合は「特別の寄与」ということができます。

例・・・・・妻が通常の家事の範囲を超えて、夫の営む事業を手伝い、夫の財産の維持または増加に貢献したような場合です。
この場合、組合契約や雇用契約を認定でき、それに基づいて利益の分配や報酬の請求が可能なケースもありますが、寄与分を主張することも可能です。
ただ、被相続人の事業に労働力を提供していても十分な対価を得ていれば特別な寄与とは認められません。
例・・・・被相続人が経営していた会社に長男が勤めていたが、適切な給料をもらっていた場合




★財産上の給付

単に相続人の事業に資金を貸し付けた場合には、法律上その返済を請求でき、十分保護されるから当然には寄与とはいえません。
★しかし、その資金がなければ倒産を免れなかったところ、当該貸付のおかげで倒産を免れただけでなく、さらに事業が発展したという場合には寄与があるといえる。
★被相続人への不動産購入費の提供をした場合に寄与分として認めたもの(和歌山家審昭59・1・25家月37−1−134)
★抵当権の実行を回避するための債務の弁済を寄与分として認めたもの(東京家審昭49・8・9家月27−6−63)、



★被相続人に対する療養看護

寄与分として考慮される可能性があります。
もっとも、夫婦間・親子間には協力義務・扶養義務であるので、社会通念上通常期待されるような貢献の程度を越えていなければ「特別の寄与」といえません。

盛岡家審昭61・4・11家月388−12−71・・・・・・相続人である子の一人が結婚以来20年間被相続人と同居し、入院10年前から痴呆が目立つ被相続人の療養介護を家庭で付き添いながら行ない、入院後は死亡までの5ヶ月間毎日タクシーで病院に通い、身の回りの世話をしたケース。20年間中後半の10年の介護は、特別な寄与と認め、介護により相続財産の維持も認定し、当時の看護婦・家政婦紹介所の協定料金を基準として、その60パーセントを寄与分とした。



★その他

★被相続人所有地の権利関係を整理し、売却に尽力した場合に寄与分を認めたもの(長崎家諌早出審昭62・9・1家月40せ77)、

★被相続人の妻が婚姻中勤務を続け、被相続人と同等の収入を得ていた場合、婚姻期間中に得た財産が被相続人の名義になっているとしても実質的には被相続人とその妻との共有と考えるべきであり、妻の寄与分を5割とした例(大阪家審昭51・11・25家月29−6−27)等がある。

★条文上「被相続人の財産の維持又は増加」とされていることから、相続開始の共有財産の維持・増加は予定されていないと解される。
審判例にも葬儀費用の提供は相続開始後の事情であるから寄与分としては考慮し得ないとした例がある(和歌山家審昭59.1.25 家月37−1−134)。




(寄与分)
第九百四条の  共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。