相続財産の価格を計算するにあたっての注意

・対象となる財産は前述した(プラスの財産についてはこのページ・マイナスの財産についてはこのページ
そこで述べたように相続財産を構成しない祭祀財産などは考慮しない。


・評価が問題となる場合
条件付権利  1029 2項
保証債務・・・・・・・・・・・・・・・・東京高裁平成8・11・7

・具体的な金額を求める際にはこのページを参照のこと。
ただ、評価基準時は相続開始時である



各相続人の相続分を計算するにあたって



寄与分は考慮しない。

遺留分減殺請求訴訟では寄与分の主張はできない 最判平成11・12・16は・・・・寄与分は、共同相続人間の協議により定められ、協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所の審判により定められるものであって、遺留分減殺請求に係る訴訟において抗弁として主張することは許されない。。。と判断した。
東京高裁平成3・7・30 判時1400 東京高裁平成2・8・7判時1362も同様。


遺留分権者・遺留分率について


兄弟姉妹に遺留分権者とならないが、それ以外の点では相続人が遺留分権者となると考えればよい。
代襲・相続欠格・排除・相続放棄・胎児の処理について

・なお、遺留分侵害行為があった後に推定相続人の身分を取得しても遺留分権者である(大判昭和19・17・31)
例えば、宗教法人に全財産を寄付した後、結婚したり、養子縁組した場合。

・遺言で遺留分率の指定はできない。
1044条は902条を準用していない。



生前贈与された財産の評価方法



 生前贈与された財産は、相続開始時の時価を以て評価する。

 生前贈与された財産が、受贈者の故意過失により滅失毀損した場合には、それが相続開始時に贈与当時のままの形で存在するものとして評価する(民904)。
 生前贈与された財産が、受贈者の故意過失によらないで滅失毀損したときは、滅失毀損した部分は初めから贈与されなかったものとみなす。


 金銭は、物価指数により相続開始時の価値に換算する(最判昭51.3.18 家月28−10−50)。
 具体的には、生前贈与された現金について、物価指数の変動を考慮し、総理府統計局「家計調査年表」および「消費者物価指数報告」にもとづいて、相続開始時の評価額を計算する。













8.贈与物件が滅失した場合の評価方法
 贈与物件が相続開始時にはすでに滅失している場合もある。
(1)自然に滅失(たとえば、不可抗力で滅失)した場合には、異論もないではないが、贈与物件の評価額はゼロと解されている。つまり、贈与されなかったものと扱われる。

(2)受贈者が人為的に滅失(たとえば過失による滅失、他へ売却)などさせた場合には、「相続開始の当時なお現状のままで在るものとみなして」、相続開始時の評価額で算定する(民904)。一例をあげれば、贈与家屋を1000万円で他に売却していたが、売却しないでいれば相続開姑時に1500万円と評価されれば、右贈与家屋は1500万円と評価されることになる。



生前贈与等をくわえても基礎財産が債務超過である場合の処理