利息制限法所定利率で引き直し計算をした額を債権者一覧表に記載するべきか?



@まず、請求金額(引き直し計算をしていない額)が100万円〜500万円の間であって、かつ、利息制限法で引き直し計算しても100万円を超えると推測される場合。
この場合、引き直し計算により多少減額できたとしても、100万円は必ず支払わなければならず、申立人は引き直し計算をした額を債権者一覧表に記載しても、トクにはならない。
したがって、引き直し計算をしないで、請求金額をそのまま書くのもアリだと思う。
債権者間に不平等をきたす結果となる場合もあるが、不平等と感じる債権者がいるならば、当該債権者が民再226条の異議を出せば済む事。




Aつぎに、上記以外の場合・・・・例えば、・・・2000万円を請求されているが、利息制限法所定利率で引き直し計算をすると、1000万円程度になりそうな場合。この場合、再生債権を1000万円とすれば、給与所得者等再生手続では、債務額との関係での最低弁済基準額は200万円になる。
もし、引き直し計算をしないと、300万円は最低払う必要がある。・・・・この場合、債権者一覧表にどのように記載すべきるか?

債務額(借金の総額のこと)
利息制限で引き直した額
分割弁済しなければならない総額
(最低弁済基準額)
3000万円〜1500万円以上 300万円←借金が総額
        2000万円
1500万円未満〜500万円以上 5分の1
借金総額が1000万円であれば、
200万円
500万円未満〜100万円以上 100万円
100万円未満〜  0円 総額(カットなし)・・・・この場合


引き直し計算が出来る場合には、引き直し計算の額を記載すべき。
しかし、本人申立の場合は、なかなか、債権者に取引経過を開示させ、引き直し計算をするのは難しい。さらに、弁護士に依頼して、弁護士から開示請求をしても、開示してくれない場合もありうる。

民亊再生法の条文を見たい場合

上の理由から、引き直し計算が出来ない場合・・・・請求金額を記載すべき。。かつ、異議の留保の欄に○をしておく。
さらに、開始決定後、民再規則119条に基づき、取引経過の開示を求める。
開示してくれた場合には、引き直し計算を行い、超過部分について、一般異議申述期間に異議を述べる(民再226条)。
こうして、引き直し計算された額を再生債権とする事が出来る。

異議の書面の書き方は、日本IMCのページに見本があります。

開示してくれない場合には、自分で仮計算を行い、超える部分につき、異議を述べることになる。
仮計算が過小である場合、債権者は評価の申立(民再227条)をしないと、当該債権は劣後化(民再232条3項)されてしまうので、
債権者は評価の申立をせざるをえないと思われる。
評価の申立がなされると裁判所は必ず個人再生委員を選任しなければならない(民再223条1項但書)。個人再生委員は、評価すなわち引き直し計算をするにあったて、債権者に取引の経過の資料を提出するよう請求でき(民再227条6項)、債権者が応じないと過料の制裁がある(民再252条2項)。かくして、引き直し計算された額が明らかになる。

そもそも
「個人再生委員の制度は、当初の法制審の案はなかったもので、貸金業法43条の見做し利息と利息制限法との関係で弁護士会側から提案され、法制度となったものです。」←クレ・サラ商工ローン被害者のための個人再生手続活用法・著・発 全国クレジット・サラ金問題対策協議会 p83抜粋

以上から、利息制限法所定利率で引き直し計算が出来ないからといって、心配することはありません。
最終的には再生委員が取引経過を開示させ、引き直し計算をしてくれます。