2007年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『異人館』(レジナルド・ヒル)
(2)『病める狐』(ミネット・ウォルターズ)
(3)『1/4のオレンジ5切れ』(ジョアン・ハリス)
(4)『嘘は刻む』(エリザベス・フェラーズ)
(5)『ヴェネツィアの悪魔』(デヴィッド・ヒューソン)

本年の特徴
今年は老舗の早川書房や東京創元社ばかりでなく、多くの出版社が英国ミステリーを出してくれた。そこで今年のベスト5は一社一作で選んでみた。フランシス『祝宴』やラヴゼイ『殺人作家同盟』、トレメイン『幼き子らよ、我がもとに』などは、本来ならベスト5入りする出来の作品であるが、敢えてはずしている。(3)は狭い意味のミステリーではないが、謎があり、語り口が絶妙。(4)は同じ出版社の『蛇は嗤う』や『サファリ殺人事件』も佳作で、どれを選ぶか悩むところだが、既訳フェラーズ作品の中では(4)が最高峰といえるので。(5)はランダムハウス講談社からの代表ということで入れた。なお本来ならばT・ルイス『ゲット・カーター』(扶桑社)は当然ベスト5に入る犯罪小説の傑作であるが、1973年に『殺しのフーガ』という題で翻訳されているため、本リストには含めていない。さらにウォーレスの『正義の四人』(長崎出版)は既訳があるので、リストには含めていない。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『ゴッホは欺く』 ジェフリー・アーチャー 永井淳 新潮社 ★★
『クロエへの挽歌』 マージェリー・アリンガム 井伊順彦 新樹社 ★★
『甘美なる危険』 マージェリー・アリンガム 小林晋 新樹社 ★★★
『アリントン邸の怪事件』 マイケル・イネス 井伊順彦 長崎出版 ★★★
『議会に死体』 ヘンリー・ウェイド 武藤崇恵 原書房 ★★★
『死はあまりにも早く』 ヘンリー・ウェイド 小林晋 ROM ★★★
『夜愁』 サラ・ウォーターズ 中村有希 東京創元社 ★★
『病める狐』 ミネット・ウォルターズ 成川裕子 東京創元社 ★★★★
『ブランディングズ城の夏の稲妻』 P・G・ウッドハウス 森村たまき 国書刊行会 ★★★
『闇に濁る淵から』 レニー・エアース 田中靖 講談社 ★★★
『シャーロック・ホームズの栄冠』 北原尚彦編 北原尚彦 論創社 ★★★
『大聖堂の殺人』 マイケル・ギルバート 今井直子 長崎出版 ★★★
『蛇は嗤う』 スーザン・ギルラス 文月なな 長崎出版 ★★★★
『大鴉の啼く冬』 アン・クリーヴス 玉木亨 東京創元社 ★★★★
『ブラック・ドッグ』 ジョン・クリード 鎌田三平 新潮社 ★★★
『エンジェル・メイカー』 ジェシカ・グレグソン 子安亜弥 ランダムハウス講談社  
『少年探偵ロビンの冒険』 F・W・クロフツ 井伊順彦 論創社 ★★★
『眩惑されて』 ロバート・ゴダード 加地美知子 講談社 ★★★★
『ナツメグの味』 ジョン・コリア 垂野創一郎他 河出書房新社 ★★★
『ついてないことだらけ』 キャサリン・サンプソン 後藤由季子 新潮社 ★★★
『灯台』 P・D・ジェイムズ 青木久恵 早川書房 ★★★
『この男危険につき』 ピーター・チェイニー 美藤健哉 論創社 ★★
『「北」の迷宮』 ジェイムズ・チャーチ 小林浩子 早川書房 ★★
『悪魔はすぐそこに』 D・M・ディヴァイン 山田蘭 東京創元社 ★★★
『娘に語る神話』 リンゼイ・デイヴィス 田代泰子 光文社 ★★★
『一人きりの法廷』 リンゼイ・デイヴィス 矢沢聖子 光文社 ★★★
『クルンバーの謎』 コナン・ドイル 北原尚彦・西崎憲編 東京創元社 ★★
『ラウンド・ザ・レッドランプ』 コナン・ドイル 白阪玲麻 文芸社 ★★
『赤き死の訪れ』 ポール・ドハティー 古賀 弥生 東京創元社 ★★★
『Y氏の終わり』 スカーレット・トマス 田中一江 早川書房 ★★★
『聖母の贈り物』 ウィリアム・トレヴァー 栩木伸明 国書刊行会 ★★★
『幼き子らよ、我がもとへ』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 東京創元社 ★★★★
『サファリ殺人事件』 エルスペス・ハクスリー 小笠原はるの 長崎出版 ★★★★
『1/4のオレンジ5切れ』 ジョアン・ハリス 那波かおり 角川書店 ★★★★
『TOKYO YEAR ZEROトーキョーイヤーゼロ』 デイヴィッド・ピース 酒井 武志 文藝春秋 ★★★★
『報復の鉄路』 ジャック・ヒギンズ 黒原敏行 角川書店 ★★
『ヤング・ボンド』 チャーリー・ヒグソン 伏見威蕃 学習研究社 ★★★
『生贄たちの狂宴』 デヴィッド・ヒューソン 山本 やよい ランダムハウス講談社 ★★
『ヴェネツィアの悪魔』 デヴィッド・ヒューソン 山本 やよい ランダムハウス講談社 ★★★★
『グッナイ、スリーピーヘッド』 マーク・ビリンガム 三木基子 柏艪舎
『異人館』 レジナルド・ヒル 松下祥子 早川書房 ★★★★
『嘘は刻む』 エリザベス・フェラーズ 川口康子 長崎出版 ★★★★
『文学刑事サーズデイ・ネクスト3 だれがゴドーを殺したの?』 ジャスパー・フォード 田村源二 ソニーマガジンズ ★★
『祝宴』 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス 北野寿美枝 早川書房 ★★★★
『ぶち猫 コックリル警部の事件簿』 クリスチアナ・ブランド 深町眞理子・吉野美恵子・白須清美 論創社 ★★★
『ペンローズ失踪事件』 R・オースティン・フリーマン 美藤健哉 長崎出版 ★★
『トリプル・クロス』 ブライアン・フリーマントル 松本剛史 新潮社 ★★
『殺人にうってつけの日』 ブライアン・フリーマントル 二宮磬 新潮社 ★★★
『ノヴェンバー・ジョーの事件簿』 ヘスキス・プリチャード 安岡恵子 論創社 ★★
『角のあるライオン』 ブライアン・フリン 熊井ひろ美 論創社 ★★★
『屍体修理人』 ニック・ブルックス 古賀 弥生 ランダムハウス講談社  
『殺し屋の厄日』 クリストファー・ブルックマイア 玉木亨 ソニーマガジンズ ★★★
『口は災い』 リース・ボウエン 羽田詩津子 講談社 ★★★
『五つの星が列なる時』 マイケル・ホワイト 横山啓明 早川書房 ★★★
『パンプルムース氏とホテルの秘密』 マイケル・ボンド 木村博江 東京創元社 ★★★
『道化の死』 ナイオ・マーシュ 清野泉 国書刊行会 ★★★
『解放の日』 アンディ・マクナブ 伏見威蕃 角川書店 ★★★
『失われた探険家』 パトリック・マグラア 宮脇孝雄 河出書房新社 ★★★
『地獄の使徒』 グレン・ミード 戸田裕之 二見書房 ★★★
『ウォンドルズ・パーヴァの謎』 グラディス・ミッチェル 清野泉 河出書房新社 ★★★
『アマガンセット 弔いの海』 マーク・ミルズ 北澤和彦 ソニーマガジンズ ★★★
『パーフェクト・アリバイ』 A・A・ミルン 青柳伸子 論創社 ★★
『究極兵器コールド・フュージョン』 クリス・ライアン 伏見 威蕃 早川書房 ★★★
『殺人作家同盟』 ピーター・ラヴゼイ 山本 やよい 早川書房 ★★★★
『リスクファクター』 ステラ・リミントン 田辺千幸 ランダムハウス講談社 ★★★
『ハーレー街の死』 ジョン・ロード 加藤由紀 論創社 ★★★
『死のチェックメイト』 E・C・R・ロラック 中島なすか 長崎出版 ★★★
『棄ててきた女アンソロジー/イギリス篇』 若島正編 若島正他 早川書房 ★★★
『灼熱の罠、紅海遥かなり』上下 パトリック・オブライアン 高津幸枝 早川書房  

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