■道路標識設置基準—引用

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■以下は、「社団法人日本道路協会. 道路標識設置基準・同解説. 第2版. [出版地不明], [出版社不明], 1987年4月. (ja)」からの引用です。改行位置や書式は変更しています。最後の「注意がき」を無視しないでください。

案内標識をはじめとする道路標識は、道路の機能を十分に発揮させるうえで欠くことのできない施設であり、道路交通の状況に応じ、たえず見直され、適正な整備水準が確保されるべきものである。

道路標識の種類、様式、設置場所等は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(標識令)に規定されているが、昭和61年10月25日には、標識令の改正が行われ、案内標識及び警戒標識に関する部分が、約15年ぶりに改められた。今回の改正は、表示内容の見直し、国連標識の採用等により、道路交通事情の変化に即応するとともに、今後のわが国の国際化に対応することを目的として行われたものであるが、これに伴い、「道路標識設置基準」も改訂された。

本書は、この基準の実施にあたっての運用等について解説を加えたものであり、当協会の交通工学委員会において慎重審議の結果取りまとめられたものである。本書が道路標識の整備にあたって活用され、交通の安全と円滑の確保の一助となることを期待するものである。

昭和62年1月

社団法人 日本道路協会

会長 高橋国一郎

まえがき

道路標識は道路交通の安全と円滑を確保するために欠くことのできたい重要な施設である。道路が交通施設としてその機能を完全に発揮するには、道路本体の構造が良好に保全されていることのほか、道路利用者に対して種々の情報を提供する道路標識が適切に設置され、管理されていることが必要である。特に近年は道路交通が多様化してきており、道路利用者に、よりわかりやすい道路標識の整備が要請されている。

道路標識については、その種類、様式、設置場所等が「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(標識令)に規定され、道路標識を整備する際に考慮すべき整備水準、設置方法等についての技術的基準が、「道路標識設置基準」に定められている。

今般、昭和61年10月25日の標識令の改正に伴い、この「道路標識設置基準」も昭和61年11月1日に改訂された。その主な改訂点は、次のとおりである。

  1. 我が国の国際化に対応するために、ローマ字併用表示に関する規定を設けた。
  2. 歩行者用の案内標識である「著名地点(114-B)」に関する規定を設けた。
  3. シンボルマークに関する規定を設けた。
  4. その他、標識令の改正等を踏まえて、経由路線番号に関する規定、「方面、方向及び道路の通称名の予告(108の3)」、「方面、方向及び道路の通称名(108の4)」、「登坂車線(117の2-A、B)」及び「踏切あり(207-B)」に関する規定、標示板の設置高さに関する規定等の改正・追加を行った。

本書は、この基準の実施にあたっての運用等、道路標識を整備するうえで考慮すべき事項について解説を加えたものであり、道路利用者に対し一貫した情報提供がなされるよう道路標識の体系的な整備を行うこと、合理的な設計、施工、維持管理を行うことを主たる目的としている。

本書が、道路標識の整備、維持管理に携わる人々にとってお役に立てば幸いである。

終わりに、本書の作成にあたって種々ご指導いただいた前任の分科会長・藤井治芳氏ならびに委員、幹事各位の熱心なご協力に対ししから敬意を表する次第である。

昭和62年1月

交通工学委員会 交通安全施設小委員会

道路標識分科会長 藤川寛之

(中略)

2-4 ローマ字併用表示

案内標識には、標識令に基づき、ローマ字併用表示を行うものとする。

【解説】

従来、ローマ字併用表示については、大都市内、外国人の利用者の多い場所などに、必要に応じて行ってきたが、昭和61年10月の標識令の改正においては、我が国の国際化に対応するために、案内標識に表示する目標地(地名、地点名)には、原則として、ローマ字併用表示を行うこととなった。このため、案内標識を整備する場合には、標識令に基づき、ローマ字併用表示を行うものとする。

ローマ字のつづり方は、一般に昭和29年12月9日付け内閣告示によっている。(付録-4参照)この告示では、第1表でいわゆる訓令式のつづり方を示し、「一般に国語を書き表わす場合は、第1表に掲げたつづり方によるものとする。」としており、第2表の上1〜5行にいわゆるヘボン式、第2表の上6〜8行にいわゆる日本式のつづり方を示し、「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方によってもさしつかえない。」としている。道路標識は国連条約の趣旨・従来の慣習等に基づき、固有名詞についてはヘボン式(表2-9)、普通名詞については、英語により表記するものとする。

大文字・小文字の使用区分は、頭文字のみを大文字とし、他は小文字とする。また、文字高は、日本字の高さ1に対し、大文字の高さを2分の1とする。

表2-9 ヘボン式のつづり方
日本語音
ヘボン式音
 あ  い  う  え  お 
    a    i    u    e    o  
 か  き  く  け  こ 
   ka   ki   ku   ke   ko  
 さ  し  す  せ  そ 
   sa  shi   su   se   so  
 た  ち  つ  て  と 
   ta  chi  tsu   te   to  
 な  に  ぬ  ね  の 
   na   ni   nu   ne   no  
 は  ひ  ふ  へ  ほ 
   ha   hi   fu   he   ho  
 ま  み  む  め  も 
   ma   mi   mu   me   mo  
 や     ゆ     よ 
   ya        yu        yo  
 ら  り  る  れ  ろ 
   ra   ri   ru   re   ro  
 わ             
   wa                      
 ん             
    n                      
 が  ぎ  ぐ  げ  ご 
   ga    gi   gu   ge   go  
 ざ  じ  ず  ぜ  ぞ 
   za    ji   zu   ze   zo  
 だ  ぢ  づ  で  ど 
   da    ji   zu   de   do  
 ば  び  ぶ  べ  ぼ 
   ba    bi   bu   be   bo  
 ぱ  ぴ  ぷ  ぺ  ぽ 
   pa    pi   pu   pe   po  
 きゃ    きゅ   きょ 
  kya        kyu       kyo  
 しゃ    しゅ   しょ 
  sha        shu       sho  
 ちゃ    ちゅ   ちょ 
  cha        chu       cho  
 にゃ    にゅ   にょ 
  nya        nyu       nyo  
 ひゃ    ひゅ   ひょ 
  hya        hyu       hyo  
 みゃ    みゅ   みょ 
  mya        myu       myo  
 りゃ    りゅ   りょ 
  rya        ryu       ryo  
 ぎゃ    ぎゅ   ぎょ 
  gya        gyu       gyo  
 じゃ    じゅ   じょ 
   ja         ju        jo  
 びゃ    びゅ   びょ 
  bya        byu       byo  
 ぴゃ    ぴゅ   ぴょ 
  pya        pyu       pyo  

なお、ローマ字の併記は判読性を確保するうえで字数を少なくすることが望ましいので、道路利用者に誤解なく判断できるものについては英語のつづりを短く略すことができる。

また、県庁、市役所、空港等周辺に該当する施設が一つしかなく、間違うおそれがない場合には固有名詞のローマ字表記を省略することができる。なお、この合の普通名詞のローマ字は、すべて大文字とする。

以下、参考のため、ローマ字の表記方式の基本的な考え方を示す。

1) 一般的事項

i) 長音を表す「-」、「^」は付さない。また、hは長音を表わすためには用いない。

太田町 Otacho           大手町 Otemachi

ii) はねる音「ん」はnで表わす。

日本橋 Nihonbashi       新川 Shinkawa

iii) はねる音を表わすnと次にくる母音字又はyとを切り離す必要がある場合は、nの次にハイフン(-)を入ることが望ましい。

新尾頭 Shin-oto         新池町 Shin-ikecho

iv) つまる音は、最初の子音字を重ねて表わす。ただし、次のchが続く場合にはcを重ねずtを用いる。

吉根 kikko              仏地院 Butchiin

2) 地名の表示方法

i) 地名の発音どおりにヘボン式で表記する。

京都 Kyoto              名古屋 Nagoya

ii) 都府県(102-A、'B)で、都府県名を表示する場合は、下記の例による。

東京都 Tokyo Met.       大阪府 Osaka Pref.
静岡県 Shizuoka Pref.

iii) 市町村(101)で市町村名等を表示する場合は、下記の例による。

福岡市 Fukuoka City     千代田区 Chiyoda Ward
中山町 Nakayama Town    大野村   Ono Vil.

iv) 114系の標識等に丁名を表示する場合は、下記の例による。

本郷三丁目   Hongo 3-chome
三の丸二丁目 Samomaru 2-chome

3) 施設名称等の表示方法(114系の標識)

i) 普通名詞については、英語により表記する。

○○県庁    PREF. OFFICE
米原町役場  TOWN OFFICE 又は Maibara Town office
松山空港   AIRPORT 又は Matsuyama Airport
岡山駅    Okayama Sta.      横浜港    Yokohama Port
日比谷公園  Hibiya Park 
阿南有料道路 Anan Tool Road
千代田橋   Chiyoda Bridge
熱田神官   Atsuta Shrine
横浜市街   CITY CENTER 又は Central Yokohama

なお、上記の例のうち、橋名を表わすものは、橋そのものを表わす場合にはBridgeを表示するが、町名として用いられる場合にはBridgeを表示しない。

千代田橋3丁目 Chiyodashi 3-chome

また、公園等の名称のうち、慣用上固有名詞の一部として切り離せないものについては、下記の例によるものとする。

偕楽園 Kairakuen Park
東照宮 Toshogu Shrine

ii) 川、山、湖等の名称の〜川、〜山、〜湖等の部分は、固有名詞の一部として切り離せないものであるので、下記の例によるものとする。

木曽川 Kisogawa Riv.   荒川   Arakawa Riv.
立山   Mt. Tateyama    芦ノ湖 Lake Ashinoko
東大寺 Todaiji Temple  松本城 Matsumotojo Castle

ただし、すでに上記の例によらない表記法が定着していると認められるものについては、この限りではない。

富士山 Mt. Fuji        琵琶湖 Lake Biwa

注意がき

  1. 原典は紙に印刷された文書であり、上記の引用部分は、それを転記するかたちで転記者(この文書の著者)が機械可読形式でHTML(Hyper Text Markup Language)をもちいてコンピューターに入力したものです。
  2. この文書は、インターネット上の著者のウェブ・サイトのなかの、著者の著作物、の理解をたすけるための参考資料、としての目的で著者が原典を引用したものであり、それ以外の目的でもちいられるべきものではなく、原典が意図している目的でもちいられるべきでもありません。
  3. この文書は、著者による原典の解釈にもとづいて記述されたものであり、その解釈は、この文書の読者による原典の解釈との、読者にとって意味のあるちがいがないものを保証するものではありません。ご心配のむきは、かならず原典をご参照ください。
  4. HTMLのタグのつけかたは著者の解釈によるものです。
  5. 「まえがき」のなかの数字つきリストの数字は、原点ではかっこつきです。
  6. 読点は、原点では<,>ですが、<、>におきかえました。

変更記録

第1.1版 (2005年10月29日)
新規作成。
第1.2版 (2023年5月27日)

版:
第1.2版
発行日:
2023年5月27日
最終更新日:
2023年5月27日
著者:
海津知緒
発行者:
海津知緒 (大阪府)

KAIZU≡‥≡HARUO