２．傷口をなめるライオン

　私は沈んだ気持ちでピョンヤンから帰国した。同郷の友人で、中國男子体操チームの葵煥宗選手から「草むらで傷口をなめるライオンになって欲しい」と冗談めかして言われた。

　私は感謝の気持ちを込めた目で彼を見ていた。スポーツ選手として、ただ技術を持っているだけではまだ足りない。勝負観、責任感、応変能力、コートマナー、己を知りコントロールする力、特に精神的な要素が、高い目標を目指すための条件として絶対必要不可欠なものだ。

　この点では、先輩の梁戈亮選手が、私の敬服する人だ。彼はどんな失敗をしても決してくじけないスーパープレーヤーだった。