The biography of Gou Yuehua

06-05/14

5.羽に金をつければ鳥は飛べない

 北京に帰ってくると、第34回世界選手権の反省会が開かれた。李富栄監督は私の成績を認めると同時に欠点も指摘してくれた。李富栄監督によれば、私の技術上の問題は保守的な考えから生じたものだ。具体的には、ネット際の小さいボールを処理する際、短いツッツキで返す事が多過ぎる。時々、払いや、長いツッツキを交えなければならない。過去成功した例があるから、思い切ってやりなさいということだった。ところが、この言葉を私は何とも思わず、そのまま聞き流した。又、「切れたショートが効を奏して随分ポイントを稼いだが、それにやられた相手は、きっと研究するだろう。だからプッシュや、伸びるショートも考えなくては」という李富栄監督のアドバイスも私は聞き流した。そして、「34回大会で、今の打ち方でやってきたけど、相当上手く行ったじゃないか」と心につぶやいた。

 「災いは自慢から生じ、些細なことから発展する」

 2年後の第35回世界選手権大会も、この言葉を立証した。

 フランスに招かれていた中國卓球チームの欷恩庭コーチから「フランスチームのピロシヨー選手は、中國に勝てる選手はどこにもいない中國は余りにも強過ぎると言っている」という話を聞いて、1月のイギリスオープンの個人戦で、ハンガリーは私達との対戦で1セットもとれなかったことを思い出して、「それはそうだろう」と思った。

 このように危険を秘めた考えがますます私の頭の中に浸透し、私がもともと持っていた分析力さえ失われつつある。

 後で知ったことだが、実はハンガリーチームはイギリスオープン戦で敗れたあと、中國に対処するため、ユーゴスラビアに泊りがけで適応性を持った練習を毎日10時間以上行なったとのことだ。

 それで第35回大会のグループ予選で、我々に5対2で勝ったわけだ。しかし、我々はこの失敗にも醒めなかった。男子団体の決勝戦を4月30日の夜に控えていたが、その午後の対チェコスロバキアの準決勝で、主力に組まれた私が対パンスキー戦で1セットを先取した後、油断して2、3セットを取られてしまった為、5対0で勝てるはずの試合を7番までやらなければならなくなり、体力が無駄になり、その夜の決勝戦に響いてしまった。

▽男子団体 準決勝

中國 5−2 チェコ

1. 黄 亮

-17、16、8

パンスキー  
2. 李振恃 11、8 オルロスキー  
3. 郭躍華 18、16 ドボラチェック  
4. 黄 亮 18、17 オルロスキー  
  5. 郭躍華 12、-18、-18 パンスキー
  6. 李振恃 -20、-15 ドボラチェック
7. 郭躍華 14、20 オルロスキー  

 

郭躍華自伝06***痛恨の肉離れ***

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