３．貫禄を見せた李富栄監督◆

　「今度の失敗についてどう思うか」、記者から一斉にマイクを向けられて、李富栄監督はこう答えた。

　「ハンガリーチームはスウェスリング杯を失ってから今度とり戻すまで２７年もかかった。しかし我々中國人はそれを奪い返すまで決してそんなにかかるまい」。

　この夜、ベッドに入っても、輾転反側として眠れなかった。怪我をした股の筋肉の痛みと、心に受けた強いショックで、まんじりともしないのは当然だろう。

　３５回大会での失敗は、決して偶然なことではなく、その導火線は１９７７年の第３４回大会の直前に既に埋められていたのだった。