The biography of Gou Yuehua

03-04/14

4.汗と涙の結晶

 中國では「水が増える分だけ船が上がる」という言葉がある。子供の時に流した涙と汗こそが私の技術の船を棹さす力となったのではないだろうか。こうして私の卓球技術は速いテンポで伸びていく。1965年9月、私は特別に重点クラスに進んだ。このクラスは12歳の子が殆どだが15歳、10歳の子も何人かいた。だから私は最年少者ということになる。

 仲間の許正全や育忠らは普通クラスに留まった。重点クラスに入ってから民間の交流としての試合に出る機会も多くなり、同じ年齢の子供の中で私の成績が注目されるようになった。

 そして1966年、厦門市の少年卓球大会に出場し、乙組(カデット)で優勝をとげ、徐寅生、李富栄、張變林らが、かつて味わったような優勝の喜びを私にも味わえたような気がした。

 しかし、それも束の間で、やがて起こったこれまで経験したこともない突然の出来事に私の全てが乱されてしまったのだった。

 人生にはもともと平坦な道など無いかも知れない。もしあったら成功した時の喜びや、失敗した時の悔しさというものは感じられなくなってしまうだろう。

 悩みの深い渦に巻き込まれているにも拘わらず、そこから脱する道を探りながら、生きて行こうとする人にだけ成功とは何か、喜びとは何かが分かり、悩みを乗り越えて困難に打ち勝つことも出来るのだ。私は又、涙を流し出した。

郭躍華自伝03***水が増える分だけ船があがる***

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