The biography of Gou Yuehua

02-04(Last)/14

4.母の愛

 子供の時分、よく母の胸に抱かれて海の話を聞いたものだった。このような幸せと愛に満ちたゆりかごの中でいろいろな楽しい話を聞いているうちに段々夢ごこちになっていくのだった。

 母の愛はいろいろな面からだった。彼女は自分の子供は聡明で優れた判断力と分析力を持った人間に育ってほしいという願いをもっていたようだ。又、母は人間にとって何といっても誠実さが一番大切だと主張していた。

 「誠実は1つの美徳だ。誠実であれば立派な人間になれる。」

 母は口癖のように言っていた。又小さな時から母は、ウソをつくのがきらいだった。

 ある日曜日、公園の露天映画にいった時のこと、映画はソ連映画でしたが、その主人公である貧しい子供が苦労して手に入れたパンを病気の母にあげようとして「あなた、食べた?」と母にきかれ「食べた」と答えたシーンがあった。それを見て私は、「この子はウソをついたじゃないか」と母に言った。すると母は「それはウソだと思うの?あなただって毎日練習したあと、湯先生に疲れたかと聞かれれば、いつも決まっていいえと答えたでしょう」と言われた。「だって疲れたなんて思っていないもの」と私はすかさず言った。今度の母は、「だからあの子にしてみればお母さんに先に食べてもらえば、お腹がすいたなんて思わないのよ」と言った。

 経済的に余裕のない家に育った私は小さい時、小遣いをもらったことがほとんどなかった。ある日床屋へ行くので父からお金をもらったが1角(6円)ほど余っていた。何日かたつと父もおつりのことを忘れたらしいので、もらっておこうとも思ったが、やはり、父に返した。

郭躍華自伝02***負けず嫌いだった少年時代***

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