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↓生命保険金の受取人の指定・変更



 「生命保険金の受取人の指定・変更」の説明

(1)生命保険では、通常保険金の受取人を指定するが、指定しない場合もあるし、別段の意思表示により、一旦指定してもこれを変更することができる(商675)。
  そして、生命保険の約款の多くは、指定の変更ができる旨の規定を設けているが、保険金の受取人の指定・変更については、特に方式・要件が定められていないので、これを遺言でも行うことができると考えられている。
東京高裁平成10・3・25 判タ968 


遺言執行者は任意的であり、遺言で遺言執行者が定められていないときは相続人が執行する。
具体的には、保険者(保険会社)に受取人が指定・変更された旨を通知ればよい(商法677条)。




(2)注意点.
  A 保険金の受取人を変更するのと同様の効力を生じさせる方法として、生命保険金請求権を受取人と指定された者以外の第三者に遺贈する旨の遺言をすることが考えられる。
  イ まず、保険金受取請求権の遺贈が可能かという問題については、保険金受取請求権は生命保険契約の効果として発生するものであり、被保険者たる被相続人の相続財産を構成するものではないと解釈されており、生命保険金請求権を遺贈の目的とすることはできない
  ロ しかし、遺贈はできないとしても、遺贈という意思表示を生命保険金の受取人の変更の意思表示と解釈できないかどうかが問題となる。これを否定する判決例がある(東高判昭34・9・26 金融法務1138−37)があるが、この判決は、保険金受取人の変更の対抗要件に関する商法677条1項の規定を理由に、遺贈する旨の遺言があるだけでは、保険金受取人の変更の効果は生じないと判示しているだけで、対抗要件たる通知を行った場合に保険金受取人の変更の効力が生じないかどうかについてまでは言及していない。結局どうなの????????????????????w
   



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 問題点


遺言のサンプル






以下は生前に遺言をつくる際の注意点の所にいれる。


@ 保険金受取人の指定・変更は、保険者(保険会社)に通知しなければ対抗できない(商677T)ので、遺言があっても、被保険者の死亡前にその通知をしていなければ、これを通知するための執行行為が必要となるので、遺言執行者の指定をしておいた方がよいことになる。
   ただし、遺言執行者の通知前に、保険者(保険会社)が変更前の被指走者に保険金を支払ってしまう危険があるから、弁護士としては、死亡までに時間的余裕があるのであれば、生前行為で保険金受取人の指定・変更を行わせることが望ましいと言えよう。


遺贈について・・・・・・保険金受取請求権を保険金受取人以外の者に遺贈するという意思表示は、保険金受取人を変更する意思であることは明らかなので、変更を認めてもよいと考えられるが、事後的な認定はともかく、これから遺言をするという場合には、生命保険金請求権を遺贈するという形は避けるべきであろう。



第六百七十五条  保険金額ヲ受取ルヘキ者カ第三者ナルトキハ其第三者ハ当然保険契約ノ利益ヲ享受ス但保険契約者カ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ従フ
○2 前項但書ノ規定ニ依リ保険契約者カ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定又ハ変更スル権利ヲ有スル場合ニ於テ其権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ権利ハ之ニ因リテ確定ス

第六百七十六条  保険金額ヲ受取ルヘキ者カ被保険者ニ非サル第三者ナル場合ニ於テ其者カ死亡シタルトキハ保険契約者ハ更ニ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定スルコトヲ得
○2 保険契約者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人ヲ以テ保険金額ヲ受取ルヘキ者トス

第六百七十七条  保険契約者カ契約後保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定又ハ変更シタルトキハ保険者ニ其指定又ハ変更ヲ通知スルニ非サレハ之ヲ以テ保険者ニ対抗スルコトヲ得ス
○2 第六百七十四条第一項ノ規定ハ前項ノ指定及ヒ変更ニ之ヲ準用ス