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相続問題トップ遺言の有効性遺言の意味・効力





遺言の効力・解釈について分からない場合、争いがある場合には裁判官に判断してもらえばよい。

例えば、〜〜の土地を遺贈する旨の遺言の効力・解釈が争われていれば、土地の所有権確認訴訟・登記移転請求訴訟を提起すればよいのです。


遺言が有効であるか否かが問題になっている場合には「遺言無効確認の訴え」が認められている・・・・・(最判昭和47・2・15
遺言無効確認訴訟は固有必要的共同訴訟にあたらない・・・・・・・ (最判昭和56・9・11
遺言者の生前の遺言無効確認の訴は不適法・・・・・最判昭和31・10・4


例えば、遺言作成当時すでにボケていたので遺言能力の存否について争いがある場合。
訴訟で争う場合には、遺言の無効を主張する者がボケていたと主張・証明する必要があります。
証明できなければ遺言は有効とされます。
どのように主張・証明するのか・・・・遺言当時の判断能力の程度、年齢、病状・言動、遺言によって利益を受けるものとの関係を説明し
書証(例えば診断書)・証人(例えば医者)などで裁判官に証明していきます。


遺言の効力・解釈についての争いは、実体上の権利関係の存否に問題であるため、最終的には民事訴訟により決せられる性質のものです。
しかし、遺言無効確認訴訟等の民事訴訟手続は、相当の日数・労力を要するので、遺産分割調停・審判のなかで解決できないかが問題となります。

この点、最大決昭和41・3・2は、遺産分割の前提問題について家庭裁判所は判断できるが、既判力はないと判断しました。


以上から・・・・・

@完全に意見が食い違っており、解決する見込みがない場合→家庭裁判所の遺産分割調停・審判はあきらめて、地方裁判所に遺言無効確認の訴えなどを提起するべき。

A家庭裁判所の判断を聞き入れ、解決する可能性がある場合→家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申立てる。
 @ その後、当事者が家庭裁判所の判断に従うことを合意できれば問題は解決する。ただ、家庭裁判所の判断には既判力はなく、紛争が蒸し返される可能性があるので、家庭裁判所の判断に従い訴訟では争わない旨の合意(不起訴の合意)をしておくことが望ましい。
 A 遺産分割調停・審判を申立てたが、家庭裁判所の判断に従うことに合意できなかった場合、家庭裁判所は遺言無効確認の訴えなどの民事訴訟をするように言ってくる。それに従い民事訴訟を提起し、家庭裁判所の調停は取り下げればよい。