目次
特別受益の検討・・・・理解できたらページを消して戻ってください。




持戻しの計算方法の説明

★特別受益が少額な場合・・・・・

 具体例

 夫A死亡。
 相続人 妻B 子CDE
 Cが特別受益として(婚姻の際に150万円を持参金として)得ていた場合
 Aの遺産総額が1050万円とすると・・・・なお、この算定の際には、死亡時(相続開始時)に有していた財産をその相続開始時の時価で評価します。また相続債務は考慮しません

1050万円に特別受益150万円を加える(持戻す)
加えた1200万円を
B二分の一   子 各 六分の一の割合でわける(右の割合は法定相続分ですが、遺言により相続分の指定がある場合にはその指定に従います)
B600万円   子CDE各200万円となるが・・・・
Cは既に150万円もらっているので50万円となる



★特別受益が多額な場合・・・・・・・・

 
夫A死亡。
 相続人 妻B 子CDE
 Cが特別受益として(婚姻の際に300万円を持参金として)得ていた場合
 Aの遺産総額が900万円とすると・・・・

900万円に特別受益300万円を加える(持戻す)
加えた1200万円を
B二分の一   子 各 六分の一でわける
B600万円   子CDE各200万円となるが・・・・
Cは既に300万円もらっているので0円となる
つまり、Cは相続できない。
ただ、B600万円   DE各200万円となると
現実には相続財産は900万円しかないので100万円不足する。
不足した100万円はCは吐き出す必要はない。

900万円を B 600/1000 DE各200/1000の割合で分配する。
結局、B 540万円、 DE各 180万円、 C 0円となる
このように特別受益の制度は持ち出しを認めていないので、受益が非常に多額になる場合には、吐き出しを認める遺留分の制度を検討する必要があります・・とりあえず、遺留分が問題とわかって戻る。なお、遺留分の制度を検討するに際して、相続人に対する贈与である場合、1年前などの要件は関係なし。すなわち、一年以上前の贈与も全て加算される。ただ、特別の事情がある場合→最判平成10・3・24


★生前贈与でなく、遺贈・死因贈与でも同様。
遺産総額(死亡直前)が1200万円分あり、Cが300万円の価値のある土地を遺贈された場合
観念的には死亡と同時に遺産900万円になるのだが(物権的効力)、考えない。。つまり、贈与された財産のように加算する必要はありません。
1200万円を
B二分の一   子 各 六分の一でわける
B600万円   子CDE各200万円となるが・・・・
Cは相続により300万円もらっているので0円となる
つまり、Cは300万円もらえるが、他にはもらえない。・・・・・・以下は上と同じ


★以上から計算方法は理解してもらえると思いますが、そもそも特別受益を「いくらに算定したらよいのか」が分からない場合
・・・・・ココをクリック



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特別受益があったとしても、他の共同相続人が「持戻請求権」を行使して初めて具体的に発生します。


持戻請求権は、共同相続人が放棄することもできます
遺産分割協議をなした後に、特別受益者に対して持戻請求権を行使することは出来ません。
なお、持戻請求権の放棄は詐害行為取消権の対象となりますが、債権者は代位行使できないと解されています。

以上から計算方法できた場合・・・戻る(なお、相続債務の分担については、各相続人の本来の相続分に応じて分担する・判例)
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民法903条 

第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする
 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。