定期的な収入がある場合・・・・・に考えられる不利益。
前提知識・・・・
同時廃止型の場合
・破産宣告があったとしても免責決定がなされ確定するまで、債務が消滅しません(つまり、申立て後、4〜6ヶ月は借金を支払う義務があります)
・また、破産管財人がいないので個別執行は禁止されていません(破産を申立てた事を債権者に通知すると、債権者は支払請求をする事は出来なくなりますが、裁判を起こしたり、判決・公正証書に基づいて強制執行をする事は出来るのです)
したがって、免責が確定するまでの間、給料を差押えられる危険があります。・・・・ちなみに、管財人選任型を選択すれば差押えられる危険はありません
★破産しようとする者は、できれば勤務先に「破産の事実」を隠しておきたいと思うのが通常でありますが、サラ金業者が給料が差押えられると、勤務先の会社にサラ金業者からカネを借りた事実、および、返済していない事実を知られてしまいます
・・・もっとも、破産手続きを進めている事までは知ることはありませんが、雰囲気的に、破産を申立てている事情を勤務先に言わなければならない事もあります。(言う義務はもちろんありませんが)
しかし、破産する事自体は、恥ずかしい事ではありません・・・・誤解・偏見を持った無知な人がいるかもしれませんが
恥ずべき事があるとすれば、「破産に至った原因」でしょう。例えば、稼ぎ以上に遊んでしまった場合、「金銭的にルーズな人」と評価される場合はありえます。
逆に、原因が保証人になって破産せざるを得なくなった場合には、同情される事はあっても、否定的な評価をされる場合は無いでしょう。
いずれにせよ、破産したからといって、解雇原因となるわけではありませんので、勤務先に知られてもそれ程心配することはありません。
★差押えられる危険があると言っても、免責決定がなされるまでの6ヶ月間くらいの間だけ・・・給料の一部が差押さえられる可能性があるという事
★給料の一部とは?
手取り月給の4分の3・または・33万円・・・・・少ない方が、差押えられる事はありません(民事執行法152条)。
改正され政令で定める額は、以前は21万円と定めていましたが、33万円にグ〜ンとUPしました。
例・・・手取り48万円の場合・・・4分の3=36万円 従って、33万円の方が少ないので、33万円は差押えられる事は無い。
例・・・手取り24万円の場合・・・4分の3=18万円 従って、18万円の方が少ないので、18万円は差押えられる事は無い。
さらに、その限度でも生活出来ないなどの事情がある場合・・・減額される場合があります
★そのような理由から、ワザワザ給料の差押をする債権者は、少数派。確率的に給料を差押される危険は少ないです。
(60人ほどの破産手続を見てきましたが、裁判を起こされた人は3人いました(2件は日本ファンド梶A1件は三和ファイナンス)。確率としては裁判を起こされる可能性は1割にも満たないと思います。債権者が強制執行をするには判決や公正証書(これらは債務名義といいます)が必要になるので、裁判は強制執行の前ぶれといえます)。
公正証書を作成する為の白紙委任状をさしいれている場合は、債権者は裁判の手間ひまなしで直ぐに強制執行ができますので、強制執行される危険は高いと思います。もっとも、公正証書を作成するのは商工ローンなどで、一般のサラ金業者はワザワザ公正証書などをとりません。
★以上から、同時廃止型の破産の場合・・・・差押える危険があっても、あえて後述の管財人型の破産を申立てる人は少ない。(従って、よっぽど、職場に破産した事実を知られたくない場合に限った話です。)
以上を知った上で、
絶対に勤務先に知られたくない場合・既に給料を差押えられている場合・・・現実に給料を差押えられてもいないのに、給差を恐れるあまり同時廃止型にしないで、わざわざ管財人選任型にした人の例を私はまだ見たことがありません(とてもレアケースです・・・給料はまだ差押えられていないが、既に裁判を起こされていたり、公正証書を債権者がつくっている場合などは、あえて、管財人選任型にしてもよいと思います)。
危険はあるものの差押えられる確率はすくないので同時廃止型を選択する・・・もどって、そのまま進めて下さい
改正破産法では個別執行が禁止されるようになります。
すなわち、破産廃止の決定があったときは、免責裁判確定までの間、破産債権に基づく破産者の財産に対する強制執行、仮差押えを禁止されます(249条1項)。
(強制執行の禁止等)
改正破産法 第 二百四十九条
免責許可の申立てがあり、かつ、第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定、第二百十七条第一項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第二百二十条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え若しくは仮処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)又は破産債権に基づく国税滞納処分はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続で破産者の財産に対して既にされているものは中止する。