近未来予想(革命がおこる?)

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数年前から、法律業界は変化の時代に入っているようです。
 規制緩和の波を受け、弁護士の広告が自由になりましたし、報酬規定も撤廃されました。
法律の学習においても、ロースクールが開校し、法律の学習方法も変化しているようです。
しかし、私には、これらの変化は本質的なものではないと感じられるのです。
広告が自由になっても、また、仮に弁護士の数が今の2倍に増えたところで、
弁護士が行う仕事に変化はないはずです。
また、ロースクールで少人数でのソクラテスメソッドによる授業が行われても、
学生が必ず習得しておくべき法律知識は今とさほど変わらないように思われます。

 このような変化の他に、より本質的な大きな変化が4〜5年以内に起こる気がしてなりません。
その変化とはインターネットや一般向けに書かれた書籍の普及により、
法律を知らない人でも気軽に法律情報にアクセスできる環境が整うことです。
 もちろん、法律情報にアクセスできるといいましても、
法律問題には高度の専門性を有するものから、離婚・相続など日常的な問題まであり、
素人がアクセスし理解できるのはごく限定された日常的な問題に限られるとは思います。
おそらく、多重債務・離婚・相続・労働交通事故さらにはマンションなどの賃貸問題の一部に限られるでしょう。
 例えば・・・@借金が500万円ありますが、収入が減り支払うことが出来ません。解決方法はありますか?また、その手続はどこで、どのように行うのですか?A協議離婚し、養育費の支払いを公正証書で定めましたが、約束の通りに支払ってくれません。解決方法はありますか?また、その手続はどこでどのように行うのですか?(GALさんのHP)・・・などの事柄です。
こうした典型的な問題は、素人でも自力で調べ、手続も行えるようになると思います。
もちろん、多重債務問題に絞っても、過払い金返還訴訟や個人再生手続など複雑な問題もありますので、
上記の多重債務・離婚・相続問題全てにおいて自力で出来るとは当然ながら考えておりません。
しかし、かなりの所まで自力で出来る時代が、ごく近い将来やってくると思うのです。
 思うに、今まで、素人はかなり誤解していたと思います。
例えば、自己破産の手続は自分で申し立てることはできず専門家に依頼しなければならないと勘違いをしている人は多数いると思われますし、
離婚の際の養育費等について協議できたものの公正証書を作成するには専門家に依頼しなければならないと勘違いしたりと。
しかし、当然ながら、自己破産は本人申立が可能ですし、公証人は気さくで親切な人が多く、
このようなメモをもって相談にいけば公正証書を作成してくれます。上記のような誤解はすぐにでも解けるでしょう。

 しかし、自力で出来るようになっても、生兵法は怪我のもととなっては意味がありませんので、
事前に弁護士に相談しチェックしてもらう事はかかせないと思います。
しかし、今までのように弁護士に丸投げで依頼することはなくなってくると思うのです。

A、
1.では、どのようにアクセスできる環境が整っていくのでしょうか。
基本的には、国とくに裁判所が行うべき事柄のように思えます。
裁判所のHPを見ると、離婚訴訟の訴状の雛形をのせたり、真の意味で市民に利用されやすく
親しみやすい裁判所となるように努力しているように見えます。
このような試みが発展していく可能性はあると思います。
例えば、今は、離婚訴訟について訴状・答弁書の雛形しかないようですが、
架空の離婚事例をつくり、訴状をのせ、答弁書ものせ、準備書面をのせ、最後に判決ものせる。
さらには、期日に当事者がどのような対応をしたのか小説形式で説明していく。
もし、このようなものが出来れば、本人訴訟を行なうかはともかくとして、裁判を具体的にイメージでき、
ぐんっと司法を身近に感じることができるはずです。


2.また、国など公共機関ではなく弁護士自身が作成する可能性もあると思います。
実際、かなり充実したQ&Aを作成している法律事務所もあります(弁護士河原崎弘先生のHPは書式が充実しています)。
法律情報を無料で公開してしまうことは弁護士の利益に反するようにも思えます。
しかし、弁護士のHPは星の数ほどあり、餌を撒かなければ誰もHPを見てくれず宣伝効果はありません。
また、小さい魚は餌をタダで食べてそのまま逃げてもらってよいが、
大きくお金になる魚だけ捕まえたいと思う弁護士もいると思われます。
ここに、小さい魚とは、例えば、相続放棄の事案、
大きい魚とは、例えば、遺留分減殺請求や相続回復などを指します。
実際、遺留分減殺の事案となると専門度が高く、減殺の調停はともかくとして、訴訟は本人では難しいと思いますし。
以上の理由から弁護士がインターネットで充実したQ&Aを無料で提供する可能性はあると思うのです。

3.以上のような可能性がありますが、素人が法律情報にアクセスできる環境に一番貢献しうる可能性が高いのは、
おそらく書籍であると推測します。
しかし、単なる本ではなく、CD付のもの。もっとも、書籍では無料にすることは不可能ですが。
実際、弁護士向け?あるいは事務員向け?に書かれている新日本法規出版などの書籍には、
各種の訴状・契約書の記載例がCDに収められており便利です。
また、パラリーガルクラブの書籍に添付されたCDは執行手続に必要な申立書等が収められており、
強制執行の手続に不慣れな人でも本及びCDの書式を参照すれば自分で手続を行うことが可能と思われます。
 上記のような手続について述べた書籍プラスCDと、実定法のQ&Aないしフローチャートを組み合わせれば、
素人でもかなりの所まで自力で調査し手続を行うことが可能になると思うのです。
「専門書並みの法律情報」・「各種の書式例」・「判例集」が有機的に結びついているCD付きの書籍が1500円程度で出版されたら、
もしかしたら司法業界に大きな変化が起こりえるのではないでしょうか。

 なお、多重債務・離婚問題については、実定法は複雑ではありませんのでQ&A形式で作成した方が、
相続については多数の制度がありますのでフローチャート形式で作成した方が分かりやすいかもしれません。







この借金問題のHPは革命を目指し、平成14年9月頃、開設しましたが、全然ダメでした。(´・ω・`)ショボーン
なにしろ、アクセス数が1日30未満で、見てくれる人が、とにかくいません(笑)。
このHPを見て、本人申立をした人がいたとしても、ごく少数ではないでしょうか(2〜3人?)。
ところで、最近、多重債務の案件が減少したように思います。その原因は推測ですが、景気回復により、破産申立の総数が一割ほど減ったこと(司法統計)、及び、司法書士さんが頑張っているからでしょう。
また、一般向けに書かれた書籍の普及により、本人申立も増えたようです。(´・д・`)