交流分析とは
交流分析(Transactional Analysis【TA】)は,精神科医エリック・バーン(1910-1970)が創始した一つのパーソナリティ理論であり, 個人が成長し変化するためのシステマティックな心理療法の一つである。
基本的に
- 1)構造分析:個人の中で起きていることを理解する方法
- 2)やりとり(交流)分析:2人の間に起きていることを理解する方法
- 3)ゲーム分析:不快感をもたらす特定な交流の型を理解する方法
- 4)脚本分析:個人が推し進めている人生プランを理解する方法
以上の4本柱からなる。
日本では,1972年頃,九州大学心療内科の池見酉次郎(いけみゆうじろう,1915-1999)により導入され, 彼は,交流分析に「心身一如」など東洋的な考え方を加えた。
〜日本TA協会 HP改編〜
交流分析は,エリック・バーンらによって,心理療法の理論,技法として開発された。 しかし,70年代〜80年代にかけて盛んになったヒューマニスティックな心理学の理論・技法や, スピリチュアルな哲学が広がるのと共に,医療・福祉・教育・組織経営等,社会のさまざまな分野で応用,発展していった。
現在の様々な心理療法,メンタルヘルス・トレーニング,コーチングなどの企業における人材育成,自己実現プログラム等には,交流分析の理論・技法の影響が強く出ている
交流分析は,人の変化成長を促進し,その人が自律的に「人生の勝者」となることを目指しています。
TAの哲学
TAの哲学的な前提は次の3つに要約されている。
- 『人は誰でも OK である』 I'm OK You're OK
TAの最も基本的な前提は“人はだれでもOKである”ということ。
それが意味するものは,あなたも私も共に人間として価値があり,重要であり,尊厳があるということである。
私は自分を自分として,あなたをあなたとして受け入れる。
これは,行動というより“存在そのものについて”の声明である。
あなたのすることを,私が好きではなかったり,受け入れないことが時々あるかもしれない。
しかし,私は常に,(あなたが)あなたであることを受け入れる。あなたの行動がOKでないとしても,あなたの人間としての存在は,私にとってOKなのである。
(深沢道子監訳 「TA TODAY」 実務教育出版 1991 p.9より引用)
- 『だれもが考える能力を持つ』 過去と他人は変えられない
重症の脳障害者以外は,誰もが考える能力を持つ。
したがって,人生に何を望むかを決める責任は,私たち自身にある。誰もが最終的には自分で決めたようにいきるのである。
(「TA TODAY」p.9より引用)
- 『決断モデル』 人は自分の運命を決め,そしてその決定は変えることができる
人は自分自身の行動と思考,感情そして最終的には自己の運命を決定している。
身体的に迫害を受けた場合を除いて,誰も他人や環境によって特定の行動をさせられたり,
考えさせられたり,感じさせられたりすることは無い(杉村省吾訳 「交流分析のカウンセリング」 川島書店 1995 p.3より引用)。
たとえ幼い子どもの頃でも,両親は私たちを,ある特定な一つの方向に発達させることはできなかった。
確かに,私たちにものすごいプレッシャーをかけることはできた。
しかし,それらのプレッシャーに従うのか,反発するのか,無視するのかの“決断”をしたのは,私たち自身である(「TA TODAY」p.9より引用)。
私たちは大人になってからも,敵意に満ちたように見えた世界からほしいものを得て生きのびるために決断した幼児期の戦略を,時々繰り返す。
しかし,その戦略が不満足な結果をもたらすものである時,私たちはその古いパターンを新しい行動・思考・感情のパターンに変えることを決断できる。
人間は新たな決断により変わることができ,この変化は本物で永続的なものである。
〜日本TA協会 HP改編〜