■ サイバーホームについての独断的解説　■

[ネットワーク構成]

• MDUまでは専用線にて接続されている。上位プロバイダはWAKWAKネット(NTT-ME)である。当MDUは4Mbpsの専用線で上位に接続されている。
• MDU内はTUT System社製のHomePNA1.0準拠のHomeRun(帯域1.0Mbps)となっている。これはMDU内の電話配線を利用したネットワークでHomeRunのコンセントレータから各戸各部屋の電話ローゼットまでメタルケーブルが配線されている。
• HomePNAが優れているのは、電話配線を活用できること、コンセントレータ(リピータ)からアダプタまでの距離がUTPによるイーサーネットの100mに比べ1.5倍の150mまで利用可能である点である。
• 電話ローゼット(RJ11)からはCat3のケーブルでHomeRunアダプタ(HR2000TLJ)のLINE端子に接続する。ここでプロトコル変換を行い10Base-TでPCに接続する。なおアダプタの先　に電話機を接続することもできる。
• ・別の部屋からインターネットにアクセスするには別途アダプタが必要になる。一戸あたり25台までのアダプタの設置が可能。

[IPアドレス]

• PCにはグローバルアドレスが割り振られる。アドレスのネットマスクは25ビットなので、１つのMDUを128個以内のIPアドレスで賄わなければならない。当MDUでは266戸に対しユーザに割り振ることのできるグローバルアドレスは111個であり総戸数に対し約42%である。この割合については意見が分かれると思うが、決して高い値とは思えない。ちなみにIPアドレスの割り振り状況は下表の通りであり、他のMDUでもほぼ同じ構成である。
• 2002年4月にＩＰアドレス不足に起因すると思われるトラブルが多発し、同年4月30日にサブネットマスクが24ビットに変更となった。これにより当MDUではユーザに割り振る事の出来るグローバルアドレスは100個増加して211個となり、総戸数266に対し約79％となった。ちなみにIPアドレスの割り当て状況の推移は下表の通りである。

当初設定 用　　途 　個数　 ルータ 1 ＵＳＧ 3 SW-HUB 1 HomeRunコンセントレータ 10 DHCP 111 ネットワーク １ ブロードキャスト １ 合　　計 128

2002年4月30日

見直し後 用　　途 　個数　 ルータ 1 ＵＳＧ 3 SW-HUB 3 HomeRunコンセントレータ 36 DHCP 211 ネットワーク 1 ブロードキャスト 1 合　　計 256

※各機器はＩＰアドレスの個数分実装されているわけではなく、予約されているだけである。

[USG]

• USG(Universal Subscriber Gateway)はNomadix社製のゲートウエイで詳細はここを参照して下さい。どうやら接続されているPCの設定如何によらずインターネットに繋げてしまう、という優れものらしい。例えば会社や学校で使っているノートPCのネットワーク設定そのままでも、また誤ったIPアドレスやネットマスク、DNSなどが設定してあっても、ＯＫとのこと。これでサポート経費が節約できるとの由。しかし実は曲者機器である。
• なぜなら、当MDUでは“あるMACアドレスから30分間以上icmp/udp/tcpパケットが流れないと、そのMACアドレスからのパケット通信を禁止してIPアドレスを取り上げる”という　「設定」にしてあるからである。これにより少ないグローバルIPアドレスを有効に活用するのと、常時接続におけるセキュリティを確保するとの由。ホットスポット等では有用な機能かもしれないが、MDUで使うのは如何なものか。

[認証]

• 認証はUSGを使って行われる。何とウエッブブラウザを前提とした認証で、認証されるまではDNS以外は何も使えない。例えば閲覧したいURLをブラウザに入力すると認証画面が表示される。このときに閲覧先のIPアドレスと自PCに割り振られたIPアドレス、及びMACアドレスが引数でUSGに渡される。認証完了後は無条件に特定のURLにジャンプしてしまう。これをホームページ(またはポータルサイト)リダイレクション機能と呼ぶ。これにより広告収入が期待できるとの由。さすがに大京の関連会社の行う事業ですね。とにかく無条件にジャンプするので子供に不評である。「だって邪魔クサイぢゃん」とのこと。
• 一度認証されても一定時間同じMACアドレスからパケットが流れないとタイムアウトとなりIPアドレスのリリースは基より、DNSを除く全てのサービスが受けられなくなる。利用す　るには再度認証が必要となる。当MDUではタイムアウトが30分に設定してあるので、例えば１時間毎にメールのチェックを行う設定にしてあるとすぐアウトになる。なぜか利用　者は「こんなもんだ」とあきらめているのか今のところ文句は少ない様である。
• 我が家はFreeBSDを使ってuucp over tcpを行っているので、１度でもこの厄介な「認証」をくらってしまうと、別のPCを使って手動で認証しなければならなくなるのでUSGは邪魔者以外の何者でもない。
• 我が家のuucpノードは常時稼働しているがウエッブブラウザの類はインストールしていない。「認証」の件でユーザサポートに問い合わせたら、サポートの方は世の中すべてのPCにウエッブブラウザが必須であると思っていらっしゃる様で。ウエッブブラウザをインストールして手動で「認証」してくれとの回答であった。でもってUnixのブラウザはサポート対象外なのだそうです。

[信頼性]

• ネットワークの信頼性は今イチである。まずUSGの「認証」に対応すべく一定間隔でicmpを外に向かって送出しているが、頻繁に(１日に２回ほど)アクセス不能に陥る。１時間　程度で回復することもあるが、場合によってはUSGの厄介な「認証」が必要になってしまうこともある。
• この点は2002/2/14にUSGのファームウエアを更新したとのことで、その後回数は減少しているが皆無ではない。

[速度]

• 仕様上ではMDU内のHomeRunは1.0Mbpsでその先が4Mbpsである。条件が異なるので言いきるのは気がひけるが、体感的には今まで使っていた1.5MbpsのADSLよりも遅く感じる。１例としてftpでCD-ROMのisoファイルをダウンロードするとHomeRunでは80kbps程度でADSLでの120kbpsと比べると約2/3の速さです。また途中で引っかかる感じもする。

[HomeRun]

• 部屋の数だけアダプタ(HR2000TLJ)を用意しそこにPCを接続すればLANが構築できるとのことで、実際に試してみると同一戸内であればアクセスはできる事を確認しました。でもセキュリティに問題ありですね。
• なおアイオーデータ製ET/PNA-PCIというHomePNA1.0仕様のNICは使う事ができます。

[その他]

• 「インターネット24時間365日使いたい放題」というふれこみに余り多くの期待はしていなかったが、使用してみた結果ものすごく使いにくい。
• ということで引っ越して早々FNJのサポートにクレームをつけたところ「仕様です」とか「常時接続時におけるセキュリティ強化」とか曰っている。なんのことはない単なるIPアドレスの節約とサポート工数の軽減の言い訳ではないか、と穿っているのですが。
• 確かにセキュリティについて不用心な一般ユーザに対しては必要な機能かもしれないが、真に「24時間365日」使いたい者にとってはこれは使えない「腐った仕様」である。余り悪口を言っても仕方が無いので、これから導入を検討されている方は１つの意見として参考にしてください。私は他のプロバイダを検討せねば。