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煙幕(Smokescreen)

主人公は映画俳優で、エヴァンというのは映画監督です。
【ラストシーン】エヴァンが、すべてを彼が企画し監督したかのように、満足げな、誇らしげな、緊張した態度で歩き回っていた。 しかし、私がまだつながれたままでいるのを見ると、初めて同情心らしきものを顔に表した。彼が行って、手錠の鍵をとってきた。 一瞬。ヴァン・ヒューレン(金鉱主)の横に立って、なにか新しいものを見るような目つきで、私を見下ろしていた。
初めて、友情のこもった笑みを浮かべた。「カット」彼が言った。「今日は、撮り直しはないよ」

見事に、冒頭の撮影シーンとリンクしています。心憎い演出です。
俳優と監督の関係(特に主人公が監督に対して抱いていた感情)は、是非本文を読んでください。
映画俳優という、シリーズの中でも珍しい職業を主人公に据えた、異色作です。

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