【169ページ】私たちは、いっしょに、柵をくぐって走路を越え、パドックの方へ歩いて行った。
ナンシイは,興奮した口調で喋り続けいていた。コリンが、私を見てニヤッと笑った。私も笑み返した。
初めてかなり困難な飛行をやり遂げた時は、酔うような歓喜を味わうものである。
私たちは、検量室の前で彼と別れ、コーヒーを飲みに行った。
「あなた、知ってる、わたしたちがヘイドックで初めて会ってから、まだ四週間しかたっていないことを?」 彼女が言った。
「あの爆弾以来。四週間しか。わたし、自分の人生の半ば以上も、あなたと知り合っているような気がするわ」
「あとの半分も知っていてもらいたいものだね」 私が言った。
「飛越」に続いて、またまた飛行機。前にも増して、バリバリ操縦してます。今回は飛行機のことは置いておいて、
ナンシイという若くて快活な女性に心を奪われる主人公に注目しました。
フランシスが描くこの女性はとても魅力的で、『そりゃ好きになるよなー』と感情移入しながら読みました。
会う度に独白(モノローグ)の部分では彼女を絶賛しているのに、ある理由から積極的になれない主人公が、
初めて告白めいたことを口にする場面です。