リストには【344ページ?】とメモしてありました。特に印象深かった部分を書き留めておいたはずなのですが、
あまりにも昔のことなので、よく覚えていません。ほとんどラストです。少し前に戻って読んでみると、
決してプロではない主人公が、かなりやばい状態で飛行機を着陸させる場面でした。ふーん、ちょっとピンときませんが、
一つ思ったのは、操縦の経験がなければ書けないだろうなということです。
「虫明亜呂無」という変わった名前の人の解説によると、ディック・フランシスは第二次対戦では空軍パイロットだった。
そのため、航空機についての知識も専門のそれを持っている。事実この作品の圧巻は、最後の飛行場面である。
『飛越』の原題フライング・フィニッシュは障碍レースの飛越ではなくて、むしろ、航空機の飛行にかけた題であろうと思われる。
僕はこの小説を読んでいて、競走馬輸送を題材にした航空機小説だという印象を強く抱いた。
フランシスは競馬以上に、航空機操縦を描くのに卓越した才能を持っているようである。
航空機操縦をこれだけ書ける作家は、そう他には例はないのではないだろうか、とあります。なるほど。
徐々に思い出してきた(ような気がする)のは、多分、極限状態の主人公が、「これを無事やりおおせたら、おれはプロになる。
長い間潜在していた考えが、とつぜん決断となって姿を現した。今度の決断は手遅れではない」と、自分の将来について
確固たる意志を持つ辺りでしょうか。「而立」を迎え、未だ暗中模索の我が身や、如何に……。