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度胸(Nerve)

【288ページ】「近親相姦じゃないんだよ(ってここだけ読んだら怪しまれるかも…)。親父たちは兄弟かもしれないけど、 母親同士はまったくの他人だからね。いとこ同士の結婚は禁じられていないんだよ。法律も認めているし、教会も認めている。 多少でも不道徳な要素があれば許すはずはない。おれたちのような場合は、医学界だって反対していないのだ。 おれたちが結婚すべきでないという遺伝学的な、はっきりした理由があればべつだ。しかし、そうでないことはきみだってよくわかっているはずだ。 (中略)おれたちがいとこ同士でなかったら結婚するかい」
「ええ」あっさり答えた。はっきりとためらいのない返事であった。 彼女の方を向いて頬を両手ではさみ、顔を起こした。今度は恐慌するようすはぜんぜんなかった。私はやさしく愛情をこめて接吻した。 彼女の唇が震えたが、一週間前のように体をこわばらせたり、本能的にしりごみする気配はまったく感じられなかった。 七日間のうちにこのような変化を生じるのであれば、七週間のうちにはどうなるであろう?(中略)
「あなたの言葉を信じるわ。一生のうちで、あなたくらい決意の固い人を見たことがないから。 あなたは、昔からそうだった。自分の求めるものを手に入れるためには、どんな苦労をもいとわないのね(後略)」

まあ、このシリーズの主人公に共通する性格なんですけどね。
男が女に好意を抱き、その想いを伝え、女が受け入れてくれる場面ってのは、イイですね(私も未熟い……)。

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