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ハードカバーの善し悪し(2004年2月8日)

 「新宿鮫・風化水脈」(大沢在昌・毎日新聞社)を読みました。 実はこれ、かなり前に買った本です。出版日を見てみたら「2000年9月」でした。 (ところで、本の発行日って未来の日付になってる時があるけど、誰かこれについてウンチクよろしく)  3年も寝かせてしまっていました。私の悪い癖です。 買うことで所有欲を満たしてしまい、おいしい食べ物(中身を読むこと)を後に回す癖があるのです。

 主人公の鮫島はキャリア警察官という特別な階級に属しながら、上層部とのイザコザで出世の道を閉ざされた (と言うよりは自ら蹴った)警部。本庁ではなく所轄の、新宿署の生活安全課(防犯?)に勤務しています。 捜査はいつも単独でおこない、理解者は課長と鑑識官の二人だけです。 まあ、あまり詳しくは書きたくないので、ぜひ読んでみてください。 全巻所有してるので、いつでもお貸しします。

 シリーズ中4作がNHKでドラマ化されましたが、私は舘ひろしは「あぶないデカ」だと思ってるので、 全然イメージじゃありません。映画の真田広之の方が合っています。 ただ、恋人・晶役は映画の田中美奈子は論外。こっちはドラマの久松史奈とかの方が合ってるかも知れません。

 1作目が当たったシリーズものだと、どうせ2匹目のドジョウを狙ってるんだろうと思われがちですが、 これは違うと思います。間隔が数年空くのはざらで、その間に練りに練ってる感じがします。 正直なところ、歴代の作品を詳しくは覚えていませんが、今回のは特に良かったように思います。 恋人の晶とは実は前作「氷舞」でちょっとやばい状況になって、今回の登場は少なめです。 その代わり、刑務所帰りのヤクザ・真壁とその恋人・雪絵、雪絵の母と元警察官の駐車場管理人、 今は仕事上のパートナーだが以前対立していた時真壁に撃たれた中国人(それで真壁は服役した)などがきっちりと描かれ、 むしろ鮫島は脇役かってなぐらい。いや間違いなく主人公なんですけどね。

 さてこのハードカバー本、本文以外は、あらすじも後書きも何も書いてありません(参考文献だけ)。 で、先日ひょいと本屋へ寄ったらカッパ・ノベルスからも出ていて、後ろを読んだら 「新聞社刊の作品に加筆修正したものです」と書いてありました。  おいおいちょっと待ってよ、こっちの方が値段も安いし、どこが直されたのかも気になるし、 ハードカバー買ったメリットをあまり感じない……。いち早く読めただろうって?  私の場合読むのは買ってから数年後ってのがざらなので、あまり意味がありません。 やはり、絶版のおそれがない小説であれば、後から買うに限ります。

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