はじめに

 日本で翻訳された英国ミステリーのリスト作りを思いついたのは、光文社発行のミステリー専門誌「EQ」が休刊(1999年7月)になってからでした。
 私(数藤康雄)は、「EQ」誌の創刊(1978年1月)以来、同誌の翻訳ミステリーの新刊紹介欄であるチェックリストの一部を担当してきました。一介のエンジニアが係われる仕事(遊び?)ではないのですが、不思議な縁で参加させてもらいました。そこでは平均すると二ヶ月で8冊ほどの新刊紹介を担当し、英国ミステリーも数多く扱いました。
 以前からクリスティの作品は大好きだったのですが、紹介しているうちにクリスティ作品を含む英国ミステリーがますます好きになってきました。また2002年4月以降は時間的な余裕ができたうえに、灰色の脳細胞の衰えを防ぐにもいいのではないかと思い、このようなサイトを立ち上げてみました。英国ミステリーのささやかなPRの場です。
 このホームページのリストとコメントは、基本的には発表時の文章を基にして作られています。つまり、雑誌での紹介は一冊につき440字前後という制限がありましたが、このホームページの作品紹介も、それに準じてコメントは400字前後となっています。
 「EQ」誌は1978年1月から1999年7月まで刊行されました。このため1978年以降のリストはそれほど苦労せずに作成できましたが(しかも漏れは少ないと思いますが)、それ以前に出版された英国ミステリーについてはまとまった資料がなかったため、学生時代から作っていた読書ノートを中心にして、多くの参考書・データベースを参照しました。特に『ハヤカワ・ミステリ総解説目録』(早川書房刊)、国立国会図書館のデータベース翻訳作品集成、『世界ミステリ作家事典』(国書刊行会刊)、SRマンスリーのバックナンバーには、大いに助けられました。謝意を表します.。
 評価(面白度)は五段階としています。表の中には評価の★印がないものがありますが、それらの作品は現時点で私が読み残しているものです。リストを作成するまでは9割近くは読んでいるはずと思ったのですが、実際に作り終えてみると、7割にも満たないことがわかりました。トホホ。したがって見方を変えれば、このリストは私の未読本リストという極めて個人的なものでもあります。
 そう、本音をいえば、このリストは読み残しを少しずつ消化しようという私の老後の楽しみのために作ったものです。勝手なことを書いていますが、このリストから、読んでみたい作品が一つでも見つけられましたら幸いです(S)。


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