邦題 『消えた王冠は誰の手に−ロンドン警視庁王室』
原作者 ジェフリー・アーチャー
原題 Traitors Gate()
訳者 戸田裕之
出版社 ハーパー・コリンズ・ジャパン
出版年  
面白度  
主人公

事件 


背景 



邦題 『アプルビイ犯罪夜話』
原作者 マイケル・イネス
原題 Appleby Talking(1954)
訳者 宮澤洋司
出版社 Honyaku Douraku
出版年 2025/5
面白度  
主人公

事件 


背景 



邦題 『天界の戦い』
原作者 チャールズ・ウィリアムズ
原題 War in Heaven(1954)
訳者 風間賢二
出版社 扶桑社
出版年 2025/4/25
面白度  
主人公

事件 


背景  



邦題 『国会採決を告げる電鈴』
原作者 エレン・ウィルキンソン
原題 The Divison Bell Mystery(1932)
訳者 井伊順彦
出版社 論創社
出版年 2025/9/30
面白度 ★★
主人公 大活躍する人物はいない。登場シーンが一番多いのは与党議員で内閣大臣付き議会担当秘書官ロバート・ウェスト(29歳)。事件を解決するのはロンドン警視庁警部ブラキット。
事件 経済界の大物でバスク系米国人富豪が英国下院内の食堂で死亡した。遺体のそばに拳銃が落ちており、部屋に出入りした人物も給仕だけだった。新聞は当初自殺と報道していたが、故人の孫娘は不審を抱き、ウェストに捜査を頼んだのだ。ブラキットも他殺を確信し……。
背景 労働党の女性下院議員が1931年に書いた唯一のミステリ。ミステリ専門の作家ではないだけに、密室状態の殺人の扱い方は杜撰な上に、警察捜査の描写も極度に少ない。謎解きミステリとは言い難く、議会を背景にして殺人を扱った風俗ミステリとして楽しむべきだろう。

邦題 『螺旋墜落』
原作者 キャメロン・ウォード
原題 Spiral(2024)
訳者 吉野弘人
出版社 文藝春秋
出版年 2025/7/10
面白度 ★★★
主人公 シングル・マザーの高校数学教師チャーリー・リードと彼女の息子で旅客機の副操縦士セオ・リード。
事件 午前0時、チャーリーを乗せたロスアンジェルス行き旅客機(セオは副操縦士として搭乗)は墜落した。だが次の瞬間、チャーリーは午後11時1分の機内にいた。そして再び墜落。彼女は墜落のループが一周ごとに短くなっていくのを知った。息子にも事故の阻止を頼むが……。
背景 物語は墜落ループの謎と本事故前のセオの実父探しの二本立てであるが、前者はフィボナッチ数列を利用したSF的設定で興味深いものの、後者は平凡。この物語が最終的に一つにまとまる展開はそこそこ読ませるが、主人公二人には人間性の魅力が不足している

邦題 『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』
原作者 マーティン・エドワーズ編
原題 Murder by the Book(2021)
訳者 深町眞理子他訳
出版社 東京創元社
出版年 2025/8/22
面白度 ★★★
主人公本や作家を主題にした英国作家の傑作短編を16本集めた短編集。
事件 『作家に授ける殺人講義』(G・D・H&M・コール)『救いの天使』(E・C・ベントリー)『暗殺者クラブ』(ニコラス・ブレイク)『メガテリウム・クラブの奇妙な盗難事件』(S・C・ロバーツ)『殺意の家』(フィリップ・マクドナルド)『荒っぽいゲーム』(A・A・ミルン)『本の中の手がかり』(ジュリアン・シモンズ)『ある原稿』(グラディス・ミッチェル)『ある男とその姑』(ロイ・ヴィ-カズ)『灰色の幽霊』(マイケル・イネス)『拝啓、編集者様』(クリスチアナ・ブランド)『あらかじめの殺人』(マージョリー・ブレムナー)『性格の問題』(ヴィクター・カニング)『名誉の書』(ジョン・クリーシー)『君が執筆で忙しいのはわかってるけど、ちょっとお邪魔してもかまわないだろって思ったんだ』(エドマンド・クリスピン)『章と節』(ナイオ・マーシュ)

邦題 『蜘蛛の巣〔小説版〕』
原作者 チャールズ・オズボーン
原題 Spider's Web by Agatha Christie(2000)
訳者 山本やよい
出版社 早川書房
出版年 2025/2/25
面白度 ★★★
主人公 コップルストーン邸の女主人クラリッサ・ヘイルシャム=ブラウン
事件 クラリッサは自宅の客間に男の死体を見つけ、事件を隠すことを決意した。数時間後には外務省高官の夫が要人を連れて帰ってくるし、男は、夫の前妻が再婚した相手だったからだ。だが誰かが警察に通報したらしい。クラリッサは死体を隠し部屋に移動させた直後に警察が到着し、捜査を始めた。やがて警察は隠し部屋を見つけたが、なんと死体は消えてしまった!
背景 クリスティのオリジナル戯曲をオズボーンが小説化した作品第3弾。劇のセリフをそのまま生かし、ト書きを地の文に変えればいいのだから、そう難しい作業ではないだろう。結果としてはユーモア度は少し減った気もするが、それでも十分楽しめるユーモア・ミステリになっている。

邦題 『溺れる少女』
原作者 ケイトリン・R・キアナン
原題 The Drowning Girl
訳者 鯨井久志
出版社 河出書房新社
出版年  
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『沈黙』
原作者 アン・クリーヴス
原題 The Heron's Cry(2021)
訳者 高山真由美
出版社 早川書房
出版年 2025/4/25
面白度 ★★★★
主人公 一人には絞りにくく、事件捜査を担当するバンスタブル署の警部マシュー・ヴェンと同部長刑事ジェン・ラファティ、ロス・メイの三人の警察官か。
事件 患者救済組織の所長ナイジェルの遺体が自宅で見つかった事件の担当マシューは、ナイジェルがある青年の自殺事件を調査していたことを知る。青年は精神科病棟から退院させられた後、自殺教唆のサイトに接続していたのだ。マシューはナイジェルの死に責任を感じていて……
背景 <ジミー・ペレス警部>シリーズなどの功績でCWA巨匠賞を受賞しているベテラン著者の新シリーズ第二弾。登場人物たちを始めとして、舞台のノース・デヴォンや背景となる社会福祉の不具合を実に丁寧に描いていて読み応えがある。少し長いのが欠点か。

邦題 『小路の奥の死』
原作者 エリー・グリフィス
原題  
訳者 上條ひろみ
出版社 東京創元社
出版年  
面白度  
主人公

事件 


背景 



邦題 『『高慢と偏見』殺人事件』
原作者 クローディア・グレイ
原題 The Murder of Mr. Wickham(2022)
訳者 不二淑子
出版社 早川書房
出版年 2025/2/15
面白度 ★★★
主人公 殺人事件の謎解きを担当するジョナサン・ダーシー(ダーシー家の息子。20歳。オックスフォードの学生)とジュリエット・ティルニー(ティルニー家の娘。17歳)。
事件 『エマ』のナイトリー夫妻が主催するハウスパーティに、『高慢と偏見』のダーシー夫妻を始めとして他作品の5家族の夫婦が参加することに。だが嵐に閉ざされた2日目の晩、詐欺まがいの投資話の恨みを買う男が殺された。犯人は6家族の夫婦の誰かと考えられたのだ!
背景 ジェイン・オースティンの6作品に登場する主人公らを使ったパスティーシュ・ミステリ。時代設定は1820年6月で、警察組織など存在しない村で起きた事件。つまり19世紀前半を舞台にしたコージー・ミステリと言ってよく、長い作品にも拘わらずいたって読みやすい。

邦題 『デスチェアの殺人(上下)』
原作者 M・W・クレイヴン
原題 The Mercy Chair(2024)
訳者 東野さやか
出版社 早川書房
出版年 2025/9/15
面白度 ★★★★
主人公 国家犯罪対策庁の重大犯罪分析課の部長刑事ワシントン・ポーとその一派。具体的には警部ステファニー・フリンと分析官ティリー・ブラッドショー、病理学者エステル・ドイルの三人。
事件 カルト教団の指導者が木に縛られ石打ちで殺された。聖書の刑罰を模した殺害であったが、さらに遺体には奇妙な暗号が刻まれていた。一方重大犯罪分析課には上層部から嫌疑がかかりスパイが送り込まれた。チーム解体の危機が迫る中、ポーたちは捜査を進めるが……。
背景 ポー・シリーズの第6作目。前作『ボタニストの殺人』が謎解き小説的な内容であったが、今回は著者自身が「現時点で間違いなく暗い内容」という通り、カルト集団の殺人を扱った(子供の虐待なども含む)サスペンス物。終盤の二転、三転の逆転劇はさすがだ。

邦題 『冒険家クラブの冒険談』
原作者 五人の男と一人の女
原題 The Adventures of the Adventurers Club, A Shocker in Six Stories (Five men & a woman )(1890)
訳者 平山雄一
出版社 ヒラヤマ探偵文庫
出版年 2025/1
面白度 ★★
主人公 冒険家クラブの5人の男と飛び込みで名誉会員となった一人の女。
事件 語られるのは6つの話。@「ジュリアン・ストラハンの話」(麻薬経験の話)A「外国人街にて」(マッド・サイエンティストから生体実験されそうになる話)B「会長の話」(会長の銀行家が美人の女性を助けたが…、最もミステリ的な話)C「陪審員長」(同じく女性を助けたが…、復讐物語)D「家畜処理場」(ロンドンのイーストエンドでスラム街に迷い込み…、切り裂きジャック事件を彷彿させる)E「女性会員の話」(幽霊物語)。
背景 ヴィクトリア朝時代に一シリングで売られていた「シリング・ショッカー」の1冊。著者名は記載されていない。今でいえば@AEがホラー、BCDがミステリ。

邦題 『マルコム・セージ探偵』
原作者 ハーバート・ジェンキンズ
原題 Malcom Sage, Detective(1921)
訳者 平山雄一
出版社 ヒラヤマ探偵文庫
出版年 2025/11
面白度 ★★★
主人公 第一次世界大戦中、諜報部で活躍したマルコム・セージ。退職後に私立探偵となる。
事件 本書は二章からなる短編7本より構成した連作短編集。「チャロナー死の奇妙な事件」(密室殺人)、「サリー州家畜切り裂き事件」(満月の夜に起きる異常事件)、「海軍省覚え書き盗難事件」(一種のスパイ事件)、「レディ・グレデールのホールド・アップ」(宝石盗難)、「マクマレー事件」(準密室での殺人)、「ガイルストンの中傷事件」(題名そのもの)、「ヘビー級選手の失踪」(試合前日に失踪)。
背景 「アガサ・クリスティ愛誦探偵小説集3」。著者はP・G・ウッドハウスの本を出していた出版社の経営者でもあった。その影響か、ユーモアが感じられる点が興味深い。

邦題 『夜明けまでに誰かが』
原作者 ホリー・ジャクソン
原題 Five Survive(2022)
訳者 服部京子
出版社 東京創元社
出版年 2025/7/31
面白度 ★★★★
主人公 キャンピングカーに乗っている6人(高校生4人と大学生2人)だが、一人だけに絞ると高校生のレッドフォード・ケニー。警部であった彼女の母親は数年前マフィアに射殺された。
事件 6人は春休みの旅行を大型キャンピングカーで出かけたが、人里離れた場所で車はパンク。携帯の電波は届かない。困っているうちに何者かに狙撃され、残りのタイヤと燃料タンクも破壊された。相手の要求は、6人の中の一人が抱えている秘密を明かせというものであったが。
背景 『自由研究には向かない殺人』で評判になった著者の第4作。これまで同様のヤング・アダルト物だが、舞台はほぼ車の中だけで、午後10時から翌朝午前6時までの短時間内の事件を扱っている。圧巻はサスペンスフルな語り口と意外性のあるプロットだが、少しダークな印象が残念。

邦題 『罪の水際』
原作者 ウィリアム・ショー
原題 The Trawlerman(2021)
訳者 玉木亨
出版社 新潮社
出版年 2025/5/1
面白度 ★★★★
主人公 PDSTを発症し精神不調で休職中のケント警察の刑事アレックス・キューピディ。シングル・マザーで、17歳の娘ゾーイがいる。
事件 ケント州の浜辺の町ダンジェネスが主舞台。駅前のカフェで寛いでいたアレックスは、同性婚パーティーで花嫁に襲いかかろうとした中年女性を阻止した。一方裕福な夫婦の凄惨な死体が見つかり、血文字のメッセージが残されていた。さらにその事件に投資詐欺が関係し……。
背景 アレックス刑事シリーズの第5弾。シリーズ途中の作品が最初に翻訳されたので、シリーズ第一作では主役であったという彼女の元同僚ビル・サウスとの関係は少しわかりにくいが、警察小説としても謎解き小説としても巧みな語り口には感心。風景描写も上手い。

邦題 『誰も知らない昨日の嘘』
原作者 メアリー・スチュアート(1961)
原題 The Ivy Tree
訳者 木村浩美
出版社 論創社
出版年 2025/1/30
面白度 ★★★
主人公 <ホワイトスカー牧場>管理人コンの又従妹で、8年前に失踪した牧場の相続人アナベル・ヴィンズロウ。カナダからイングランドを訪れた若い女性メアリー・グレイを名乗っている。
事件 ローマ帝国の遺跡ハドリアヌスの城壁で有名なノーサンバランドで、メアリーは美貌な青年コンと出合い、奇妙な申し出を受けた。「君はアナベルにそっくりだ。彼女に成り済まして大叔父の牧場を相続し、それを俺に譲ってくれたら報酬を弾む」と。メアリーは迷うが……。
背景 巻末の訳者あとがきによれば、著者の6冊目のミステリ作品。ジョセフィン・ティーの傑作『魔性の馬』を思い出す設定だが、その後は犯罪より恋愛に多くの筆を費やしている。著者の最も充実した時期に書かれた作品なので、ミステリの雰囲気は少なくても安心して楽しめる。

邦題 『世界の終りの最後の殺人』
原作者 スチュアート・タートン
原題 The Last Murder at the End of the World(2024)
訳者 三角和代
出版社 文藝春秋
出版年 2025/3/1
面白度 ★★★
主人公 探偵役は殺人犯を探す主婦のエモリーだが、協力者は彼女の父セトと娘クララ。
事件 舞台は、触れれば命はない黒い霧に覆われ、文明は滅びた地球の中で唯一霧から守られたギリシャの島。生存者はこの島で暮らす122人のみ。村人は平和主義者ばかりだが、そのような村人を導く「長老」三人の科学者の一人ニエマが殺されたのだ。平和の島での殺人事件の結果、霧から守るバリアーが解かれ、46時間以内に事件を解決しないと人類は絶滅してしまう!
背景 『イヴリン嬢は七回殺される』と『名探偵と海の海賊』に続く三作目。今回は遠い未来世界のクローズドサークル物。いずれも独創的な設定で、その設定に馴染むまで読書に苦労するも、結末の二転、三転する謎解きは、やはりミステリ・ファンとしては大いに堪能できる。

邦題 『ホワイトハートの殺人』
原作者 クリス・チブナル
原題 Death at the White Hart(2025)
訳者 林啓恵
出版社 ハーパー・コリンズ・ジャパン
出版年 2025/8/25
面白度 ★★★★
主人公 ウェセックス警察刑事課巡査部長のニコラ・ブリッジ。夫と一人息子がいるが、わけがあってリバプールから引っ越してきた。部下は新人の巡査ハリー・ウッド。
事件 英国南西部ののどかな海辺の村で、村の名物パブ<ホワイトハート>の店主が殺された。驚いたことに、その死体は裸で椅子に縛られ、頭には牝鹿の枝角が括りつけられていたのだ。二人は聞き込み捜査を始めると、百年前にも同じような殺人事件が発生しており……。
背景 典型的な英国の田舎を舞台にした、警察小説と謎解き小説をミックスした作品。容疑者全員がパブの主人の関係者という狭い世間の犯罪で、謎解き小説としては平凡ながら、ニコラと新人巡査ハリーの会話は愉快だし、風景描写なども巧みだ。

邦題 『英国幽霊屋敷譚傑作集』(日本独自の短編集)
原作者 コナン・ドイル他
原題 The Open Doors and Other Eleven Victorian Haunted Houses()
訳者 夏来健次
出版社 東京創元社
出版年 2025/6/27
面白度 ★★
主人公 英国ヴィクトリア朝時代の幽霊屋敷を主題にした13の短編を集めている。
事件 「幽霊屋敷」エマ・ホワイトヘッド、「幽霊屋敷」マーガレット・ヴァーン(唯一の米国女性作家)、「開いた扉」シャーロット・リデル、「開いた扉」マーガレット・オリファント、「ブレイクスリー屋敷の幽霊談義」ウィリアム・マッドフォード、「奇談の屋敷」アンドルー・ラング、「バロカン屋敷の幽霊」J・E・プレストン・マッドク、「ライスリップ僧院屋敷の幽霊」J・E・プレストン・マッドク、「パディントン領主屋敷の幽霊」チャールズ・オリア、「ヨークシャーの幽霊屋敷」ダドリー・コステロ、「農場屋敷の秘密」フランシス・ブラウン、「岩礁の幽霊灯台」チャールズ・F・F・ウッズ、「ゴアズソープ屋敷の幽霊選び」アーサー・コナン・ドイル。

邦題 『修道女フィデルマの慧眼』
原作者 ピーター・トレメイン
原題 Corpse on a Holy Day and Other Stories(2004)
訳者 田村美佐子
出版社 東京創元社
出版年 2025/8/22
面白度 ★★★
主人公 7世紀アイルランドのドーリィー(法廷弁護士)である修道女フィデルマ。
事件 短編集"Whispers of the Dead"より選んだ5編の短編からなる日本独自の短編集。「祝祭日の死体」(200年間眠る聖人の亡骸の上に若い女性の遺体が見つかった!)「狗のかへり来りて……」(フィデルマは若い娘の彫像に興味を引かれたが…)「夜の黄金」(酒の飲み比べ競走中に突然死した男の捜査)「撒かれた棘」(小村で起きた殺人・窃盗の犯人は16歳の少年か?)「尊者の死」(90歳間近の尊者が小修道院で殺された!)の5本。
背景 フィデルマ・シリーズ短編集の第6弾。例によってトリックや犯人の意外性は平凡ではあるものの、登場人物はもちろん、背景となる風俗描写も丁寧で、読後感は爽やか。

邦題 『揺れる輪郭』
原作者 グレアム・マクレー・バーネット
原題 Case Study
訳者 宇佐川晶子
出版社 東京創元社
出版年 2025/5/25
面白度 ★★★
主人公 1925年生れの精神科医(ただし正式の医師免許証は不所持)アーサー・コリンズ・ブライスウェイトと「ノート」の書き手である20代の女性「わたし」。別人格名はレベッカ・スミス。
事件 ブライスウェストの伝記執筆のため資料を集めていた著者の元に、ある若い女性のノートが届いた。自分の姉の自殺は、通っていた精神科医ブライスウェストが関係していると疑い、偽名レベッカで診察を受け始める。ノートはその女性の受診記録だが本当のことが書かれているのか?
背景 精神科医の伝記とその医者に受診した患者のノートの二種の文章から構成された作品。一般的な分類ではミステリには入らないが、姉の自殺の原因を探ろうという導入部や結末の意外性を考慮した。1960年代が主な時代設定になっている点も個人的には興味深い

邦題 『罠』
原作者 キャサリン・ライアン・ハワード
原題 The Trap
訳者 高山祥子
出版社 新潮社
出版年 2025/6/1
面白度 ★★★
主人公 多視点で語られる犯罪小説なので、主人公はいない。ただ登場場面の多い人物は、失踪中の女性の姉ルーシー、捜査担当の女性刑事デニスと職員アンジェラ、犯人の”わたし”。
事件 近年アイルランドでは若い女性ばかりが失踪する事件が続いていた。ルーシーの妹は深夜パブを出たまま消息を絶ったし、拉致犯から逃げ出した女性が瀕死の状態で発見されたりしていた。警察の捜査も進展がなく、ルーシーは単独で妹を探し始めるが……。
背景 メイン・プロットは連続女性失踪事件を扱った犯罪小説だが、事件関係者の多数の視点から事件が語られる点に面白さがある。つまり事件そのものは単純で、意外性もあまりないが、捜査陣や被害者、あげくに犯人の視点からの語りで物語を構成する作者の手腕には脱帽してしまう。

邦題 『 GB84』
原作者 デイヴィッド・ピース
原題 GB84(2004)
訳者 黒原敏行
出版社 文藝春秋
出版年 2025/8/10
面白度 ★★★
主人公 1984年の英国炭鉱ストを主題にした物語なので主人公はいない。強いて挙げればスト側はヨークシャー地域執行委員長テリー・ウィンターズで、反ストライキ勢力はスト破りを画策する実業家<ユダヤ人>の腹心ニール・フォンテインの二人か。
事件 1984年サッチャー首相率いる英国政府は赤字の炭鉱閉鎖を決定した。これによる失職労働者は2万人。炭鉱労働者の組合は反発し、3月にはストライキを決行。だが月日が経つにつれ、スト破りも多発し、労働者は困窮していくが……。
背景 1984年に実際にあったストライキを基にしたフィクション作品。著者の第4長編。著者独特の文体に前半は戸惑うが、後半は小説らしい面白さが加わってくる。

邦題 『イーストレップス連続殺人』
原作者 フランシス・ビーディング
原題 Death Walks in Eastrepps(1931)
訳者 小林晋
出版社 扶桑社
出版年 2025/6/10
面白度 ★★★
主人公 事件を捜査するスコットランド・ヤードの主任警部ウィルキンズと地元警察のラドック巡査部長か。後者は事件解決後にスコットランド・ヤードの警視に昇進。
事件 風光明媚なノーフォーク海岸沿いの町イーストレップスでまず老婦人の刺殺死体が見つかった。続けて第二、第三の殺人が同様の手口で繰り返され、町は殺人鬼「イーストレップスの悪魔」に怯えた。そして警察の努力で有力容疑者が逮捕されたものの、更に第四,第五の殺人が!
背景 本邦では『白い恐怖』だけが訳出されているが、本書は評論家スタリットが大絶賛し、クイーンの「名作表」にも含まれている作品で、やっと翻訳された。前半の連続殺人はサスペンス小説的で、後半のそれは謎解き小説風の展開だが、前半に比べると後半は緊迫感が落ちる。

邦題 『アガサ・レーズンと狙われた豚』
原作者 M・C・ビートン
原題 As The Pig Turns()
訳者 羽田詩津子
出版社 原書房
出版年  
面白度  
主人公

事件 


背景 



邦題 『アガサ・レーズンと月夜に消えた男』
原作者 M・C・ビートン
原題 Hiss and Hers()
訳者 羽田詩津子
出版社 原書房
出版年
面白度
主人公

事件 


背景 



邦題 『向かいを見つめる空き家の目』
原作者 J・J・ファージョン
原題 The House Opposite(1931)
訳者 小倉さなえ
出版社 論創社
出版年 2025/8/20
面白度 ★★
主人公 海運<マーチャント・サービス>に所属していたベン。現在は無職。
事件 ロンドン、ジャウル・ストリートの<29番地>の空き家に無断宿泊中のベンは、ある日不思議な出来事を経験した。若い女性に続いて謎のインド人が登場し、あげくの果てにタクシーで連れ去られてしまったのだ。一方向かいの空き家では、老人クリザロー率いる悪党一味が強請を計画していたが、そこに空き家の所有者が豪州から来たり、ベンが舞い戻ったりして……。
背景 ベン・シリーズの第二作。第一作はベンの初登場作品ながら、実質的な主人公は別人だった。本書でのベンは相変わらず空き家住まいの変人であるが、前半と終盤には活躍するので、まあ主人公といってよいだろう。内容は軽いユーモア犯罪小説だが、プロットが雑過ぎる。

邦題 『戦車兵の栄光』
原作者 コリン・フォーブス
原題 Tramp in Armour(1969)
訳者 村上和久
出版社 新潮社
出版年 2025/1/1
面白度 ★★
主人公 戦車<バート号>の戦車長バーンズ軍曹。ハードウェアの主役は、2ポンド砲の同軸に<イサ>機関銃を装備したマチルダ戦車。
事件 独軍が怒涛の西方電撃戦を展開した1940年5月。英国海外派遣軍のバーンズ軍曹らを乗せた戦車は、ベルギーで取り残され、孤立無援の単独行を始めた。敵軍との遭遇などに対峙しつつ、英仏海峡を目指すが、仲間が一人、二人と減っていき……。
背景 著者の作家デビューは1966年。その頃はさまざまな筆名で冒険小説を書いていたそうだが、本書はコリン・フォーブス名義で書いた第一作。本人は本作をデビュー作と考えているようだ。典型的な戦争冒険小説で、プロットはそこそこ楽しめるが、主人公に魅力が不足している。

邦題 『覚悟』
原作者 フェリックス・フランシス
原題 Refusal(2014)
訳者 加賀山卓朗
出版社 文藝春秋
出版年 2025/5/10
面白度 ★★★
主人公 お馴染みのシリーズ・キャラクターの一人、元騎手で調査員のシッド・ハレー。47歳になり、すでに結婚して6歳の娘サシイがいる。
事件 調査員を引退して6年のハレーに、レースの不正調査を依頼してきた英国競馬統括機構会長のスチュアート卿が変死した。依頼を断った直後の死であったため、考えを変えて卿の遺志を継ぐことに。卿の持っていた不正リストをチェックすると、賭け屋ビリイ・マカスカーが浮かんだ。
背景 ディック・フランシスの息子フェリックスが書き継いだ新競馬シリーズの三作目(ハレー物としては父の四冊後に継ぐ初作品)。競馬場の雰囲気描写や悪役との対決シーンなどはそれなりに巧みだが、父と比べるとプロットは平板で、先が読めてしまうのが残念。

邦題 『虎口』
原作者 フェリックス・フランシス
原題 Crisis(2018)
訳者 加賀山卓朗
出版社 文藝春秋
出版年 2025/10/10
面白度 ★★★
主人公語り手のハリイ・フォシター。高級法務コンサルタント会社において危機管理を専門とする三十代の弁護士。独身。
事件 ダービーでの有力馬を含む七頭の馬が犠牲になったニューマーケットでの厩舎火災。馬主の依頼で調査に赴いたハリイは、調教師一族の父親と子供四人(男三人と女一人)の間に骨肉の争いがあることを知る。さらに火災跡からは問題児だった娘の死体が見つかり……。
背景 2011年より始まった”新競馬シリーズ”の邦訳第三弾(文春文庫では第二弾)。上記の『覚悟』同様、背景となる競馬界の情報や主人公の行動が簡潔な文章で語られているので読みやすいものの、肝心の謎とプロットの面白さは父親にはまだまだ及ばないようだ。

邦題 『死へのダイヴ』
原作者 レオ・ブルース
原題 Nothing Like Blood(1962)
訳者 小林晋
出版社 ROM叢書
出版年 2025/12/28
面白度 ★★★
主人公 ニューミンスター・クイーンズ・スクールの歴史教師キャロラス・ディーン。
事件 今回の依頼人はキャロラスの母の友人である旅行記作家ミセス・コード。彼女は仕事のため海辺の<綾取り荘>で過ごすことにしたが、そこでは2か月前に余命いくばくもない滞在客が死亡していた。彼女の死亡には怪しげな噂がたっていたが、今度は彼女と親しかった女性が塔の部屋のベランダから落下して謎の死を遂げたのだ。部屋には鍵が残っており部屋は密室状態だった!
背景 ディーン・シリーズの第11作(本シリーズは全部で23冊)。ディーン登場は物語の1/3を過ぎた頃なので、いつもよりディーンの捜査は短縮されている。謎は平凡、解決は無理なのだが、語り口はサスペンス豊かで(またユーモラスもあり)楽しめる。

邦題 『眠れるアンナ・O』
原作者 マシュー・ブレイク
原題 Anna O(2024)
訳者 池田真紀子
出版社 新潮社
出版年 2025/8/1
面白度 ★★★★
主人公 複数の登場人物の視点で物語が語られる。一番多い視点者は犯罪心理学者のベネディクト(ベン)・プリンス。次が眠り姫状態の事件の容疑者アンナ・オグルヴィか。
事件 友人二人が刺殺された現場近くで、アンナはナイフを手にしたまま昏睡状態に陥った。以来4年間容疑者とされたまま眠り続けていた。眠りに関する犯罪の専門家であるベンはアンナを覚醒させる任務を受ける。だがアンナが目覚めたとき、事件は思わぬ方向へ!
背景 生存放棄症候群で睡眠時遊行症という聞き慣れない病名の患者を扱った心理ミステリ。前半はこのアンナをベンが覚醒できるかというサスペンスで読ませるが、後半は事件の犯人捜しとなって少し混乱する。クリスティ・ファンならば納得するか。

邦題 『エージェント17』
原作者 ジョン・ブロウンロウ
原題 Agent Seventeen(2022)
訳者 武藤陽生
出版社 早川書房
出版年 2025/1/15
面白度 ★★★★
主人公 世界で最も恐れられている殺しのスペシャリスト”17”。偽名はジョーンズ。もう一人はジョーンズに殺されそうになる”16”で、作家のサム・コンドラツキー。
事件 番号で呼ばれる世界最強の暗殺者は、誰もが次の番号の暗殺者によって殺されてきたが、”16”だけは殺されることなく姿を消していた。”17”の与えられた任務はある作家の暗殺。だがその作家の正体は”16”らしいのだ。隠遁先を見つけるまでは順調であったが……。
背景 物語の背景には世界を揺るがす陰謀が隠されているのでスパイ小説と言ってもよいが、物語の面白さは、やはり”17”と”16”のちょっと変った戦いにある。つまり冒険小説そのものの面白さだが、男世界の戦いだけでなく、女性陣も活躍するのが少し目新しいか?

邦題 『貧乏お嬢さまと消えた女王』
原作者 リース・ボウエン
原題 We Three Queens()
訳者 田辺千幸
出版社 原書房
出版年  
面白度  
主人公

事件 


背景 



邦題 『マーブル館殺人事件(上下)』
原作者 アンソニー・ホロヴィッツ
原題 Marble Hall Murders(2025)
訳者 山田蘭
出版社 東京創元社
出版年 2025/9/12
面白度 ★★★★
主人公 フリーランスの編集者スーザン・ライランド。作中作『ピュント最後の事件』の主人公は探偵のアティスカ・ピュント。
事件 ギリシャでの生活に区切りをつけロンドンに帰ってきたスーザンはフルーランスの編集者として再出発することになり、若手作家が書き継ぐ名探偵<アティカス・ピュント>シリーズの編集を依頼された。途中までの原稿を読んだスーザンは現実世界との相似に不安を感じるが……。
背景 『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』に続くシリーズ第三作。本作も、作中作が現在の事件と関連のある設定は変わらない。その意味では新鮮さ・意外性は前二作より少ないものの、スーザンに危機一髪が発生するなどサスペンスフルな展開で、読ませるテクニックは健在だ。

邦題 『弔いの鐘は暁に響く』
原作者 ドロシー・ボワーズ
原題 The Bell at the Old Bailey(1947)
訳者 友田葉子
出版社 論創社
出版年 2025/3/10
面白度 ★★
主人公 あまり活躍しているとは思えないが、事件を解決するのはロンドン警視庁警部のレイクス。助けるのは地元レイヴンチャーチ警察の警視レッキー。
事件 ロングリーディング村で5人目の自殺者が出た時点で、ミス・タイディーは警察に行く決心をした。自分を脅迫した手紙が届いたし、これまでの死者は他殺ではないかと感じていたからだ。だが警察が真剣に取り組む前に、自身が経営している美容室で絞殺されてしまい……。
背景 5冊の作品を完成させた後に夭折した女性作家の最後の5冊目の作品。第二次世界大戦直後の英国の田舎を舞台にした謎解き小説。様々な村人の行動・心理の描写はそれなりに巧みだが、似たような時代・舞台のクリスティの『予告殺人』と比較してしまうと、大きな差を感じる。

邦題 『恐怖が村に忍び寄る』
原作者 エセル・リナ・ホワイト
原題 Fear Stalks the Village()
訳者 林清俊
出版社 Kindle版
出版年 2025/12/26
面白度  
主人公

事件 


背景 



邦題 『ロンドン、ドッグパーク探偵団』
原作者 ブレイク・マーラ
原題 The Dog Park Detectives(2024)
訳者 高橋恭美子
出版社 東京創元社
出版年 2025/7/31
面白度 ★★
主人公 ロンドンのドッグラン有志だが、強いて一人を挙げるとすれば、コンサルティング会社経営のルイーズ(ルー)・マロリー。クラウスという名のミニチュア・ダックスフンドのママ。
事件 ルイーズはクラウスを連れて、友人といつもの公園を散歩中、かつての犬仲間のフィルの死体を見つけた。すぐに警察に通報して事態は彼女の手を離れたものの、彼とはここ数年は疎遠になっていという良心のとがめもあり、仲間と一緒に彼の死の真相を探り始めたのだ。
背景 登場人物の多くがロンドン在住の現役バリバリの中年女性だが、その彼女らのユーモラスな会話が楽しいコージー・ミステリ。謎解きには意外性がない点もコージー・ミステリらしいが、犬好きなら★をひとつプラスか。

邦題 『空に浮かぶ密室』
原作者 トム・ミード
原題 The Murder Wheel(2023)
訳者 中山宥
出版社 早川書房
出版年 2025/11/15
面白度 ★★★
主人公 元奇術師の私立探偵ジョセフ・スペクター。本作中で最も出番の多いのは若手弁護士のエドムンド・イブズ。ロンドン警視庁の事件担当者は警部補のジョージ・フリント。
事件 1938年のロンドン。銀行支配人が動いている観覧車のゴンドラ内で射殺された。現場は密室なので、同席していた妻が逮捕された。イブズは彼女の無罪を証明すべく、当時遊園地で目撃された謎の男を探し始めるが、予想外に第二、第三の密室殺人が発生し……。
背景 『死と奇術師』に続くスペクター・シリーズの第二弾。J・D・カーのような古典的探偵小説を彷彿させる。不可能興味が横溢する密室殺人を作り出すテクニックには感心するものの、やはり第二、第三の殺人は複雑すぎて理解しにくいのが残念なところ。

邦題 『真冬の訪問者』
原作者 W・C・ライアン
原題 The Winter Guest(2022)
訳者 土屋晃
出版社 新潮社
出版年 2025/2/1
面白度 ★★★
主人公 保険会社損害査定人のトム・ハーキン。かつて王立ダブリン・フュージリア連隊所属の大尉として第一次世界大戦に従軍していた。今の裏の顔はIRAの情報部員。
事件 1921年1月、内乱さなかのアイルランド。トムのもとに、かつての恋人モードの訃報が届いた。彼女が同乗した王立アイルランド警察の車がIRAに襲撃されたからだ。だがIRAの遊撃隊が殺したのは男二人のみ。モード殺害の真犯人は誰なのか?
背景 アイルランド作家の本邦初紹介作品。舞台設定は典型的なスパイ小説だが、どちらかというと犯人捜しの謎解き小説や当時の没落貴族の生活をじっくり描いた歴史小説として読む方が楽しめるだろう。だがいずれにしても前半がサスペンス不足なのが小説として残念なことだ。

邦題 『スパイたちの遺灰』
原作者 マシュー・リチャードソン
原題 The Scarlet Papers(2023)
訳者 能田優
出版社 ハーパー・コリンズ・ジャパン
出版年 2025/7/25
面白度 ★★★
主人公 小説の主人公は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの准教授マックス・アーチャー。諜報史が専門。ただし陰の主役は手記を残しているスカーレット・キング。
事件 ある日マックスのもとに1枚の名刺が届いた。MI6の伝説エージェント、スカーレットが半世紀にわたる諜報活動を記した手記を出版したいと言うのだ。英国政府が隠蔽した内容なので、出版されれば世界が注目するし、彼が教授になる道も開かれる。マックスは大喜びし手記の真実性を調べ始めると、なんとスカーレットは殺害され、彼もMI5に追われ羽目に!
背景 ル・カレのように”もぐら”を扱ったスパイ小説。ノンフィクション的な展開ながら意外性もある。楽しめるスパイ小説だが、主人公マックスの魅力がイマイチなのが不満だ。

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