2024年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
  (1)『ボタニストの殺人』( M・W・クレイヴン)
  (2)『悪魔が唾棄する街』(アラン・パークス)
  (3)『極夜の灰』(サイモン・モックラー)
  (4)『ターングラス: 鏡映しの殺人』(ガレス・ルービン)
  (5)『五本指のけだもの』(ウィリアム・フライアー・ハーヴィー)
本年の特徴
今年の英国ミステリの翻訳点数は50点弱で、新型コロナ流行年の2020年以来50点を割ったが、面白い作品は多かった。私のお気に入り作家の作品が1、2位に並んだ上に、『ボタニストの殺人』には久しぶりに★5を付けてしまったからからだ。また3、4位の作品の著者は本邦初紹介の作家だが、飽きることなく最後まで読ませる独創性に富んだプロットが光る。5位の候補作には、SFジャンルの『タイタン・ノワール』や異色の犯罪小説『ナッシング・マン』、お馴染みホロヴィッツの『死がすぐそばに』も検討したが、私には珍しく怪奇物の短編集を選んでみた。この点からも今年は秀作が多かったと言えるだろう。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『狙われた英国の薔薇 ロンドン警視庁王室警護本部』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 ハーパーBOOKS  
『終りなき夜に少女は』 クリス・ウィタカー 鈴木恵 早川書房 ★★★
『海老足男との対決』 ヴァレンタイン・ウイリアム 平山雄一 ヒラヤマ探偵文庫 ★★★
『貧乏カレッジの困った遺産』 ジル・ペイトン・ウォルシュ 猪俣美江子 東京創元社 ★★★
『モルグ館の客人』 マーティン・エドワーズ 加賀山卓朗 早川書房 ★★★
『ブレグジットの日に少女は死んだ』 イライザ・クラーク 満園真木 小学館 ★★★
『エイリアス・エマ』 エイヴァ・グラス 池田真紀子 集英社 ★★★
『列をなす棺』 エドマンド・クリスピン 宮澤洋司 論創社 ★★★
『ボタニストの殺人』 M・W・クレイヴン 東野さやか 早川書房 ★★★★★
『殺人は夕礼拝の前に』 リチャード・コールズ 西谷かおり 早川書房 ★★★
『善人は二度、牙をむく』 ベルトン・コッブ 菱山美穂 論創社 ★★
『ロンドン幽霊譚傑作集』 W・コリンズ他 夏来健次編訳 東京創元社 ★★★
『コールド・バック』 ヒュー・コンウェイ 高木直二 ・門脇智子 論創社
『受験生は謎解きに向かない』 ホリー・ジャクソン 服部京子 東京創元社 ★★★
『鼠の島』 ジョン・スティール 青木創 早川書房 ★★★★
『副大統領暗殺』 リー・チャイルド 青木創 講談社 ★★★
『終着点』 エヴァ・ドーラン 玉木 亨 東京創元社 ★★★★
『風に散る煙』 ピーター・トレメイン 田村美佐子 東京創元社 ★★★
『五本指のけだもの』 ウィリアム・フライアー・ハーヴィー 横山茂雄 国書刊行会 ★★★★
『タイタン・ノワール』 ニック・ハーカウェイ 酒井昭伸 早川書房 ★★★★
『悪魔が唾棄する街』 アラン・パークス 吉野弘人 早川書房 ★★★★
『象られた闇』 ローラ・パーセル 国弘喜美代 早川書房 ★★★
『アルパートンの天使たち』 ジャニス・ハレット 山田蘭 集英社 ★★★★
『ナッシング・マン』 キャサリン・ライアン・ハワード 高山祥子 新潮社 ★★★★
『アガサ・レーズンとけむたい花嫁』 M・C・ビートン 羽田詩津子 原書房  
『すべては〈十七〉に始まった』 J・J・ファージョン 小倉 さなえ 論創社 ★★
『グッド・バッド・ガール』 アリス・フィーニー 越智睦 東京創元社 ★★
『悪夢』 セシル・スコット・フォレスター 一瀬さおり HM出版  
『光の鎧』 ケン・フォレット 戸田裕之 扶桑社  
『スリー・カード・マーダー』 J・L・ブラックハースト 三角和代 東京創元社 ★★★
『ヘレン・ヴァードンの告白』 リチャード・オースティン・フリーマン 松本真一 風詠社  
『狂ったシナリオ』 レオ・ブルース 小林晋 ROM叢書 ★★★
『男を殺して逃げ切る方法』 ケイティ・ブレント 坂本あおい 海と月社 ★★★
『ゴア大佐の推理』 リン・ブロック 白石肇 仙仁堂  
『ゴア大佐第二の事件』 リン・ブロック 白石肇 仙仁堂  
『フォーチュン氏説明する』 H・C・ベイリー 小林晋 ROM叢書 ★★★
『白薔薇殺人事件』 クリスティン・ペリン 上條ひろみ 東京創元社 ★★★
『幻想三重奏』 ノーマン・ベロウ 松尾恭子 論創社 ★★★
『恋のスケッチはヴェネツィアで』 リース・ボウエン 矢島真理 早川書房 ★★★
『奇妙な捕虜』 マイケル・ホーム 福森典子 論創社 ★★★
『マクマスターズ殺人者養成学校』 ルパート・ホームズ 奥村章子 早川書房 ★★
『身代りの女』 シャロン・ボルトン 川副智子 新潮社 ★★★
『死はすぐそばに』 アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 東京創元社 ★★★
『楽員に弔花を』 ナイオ・マーシュ 渕上痩平 論創社 ★★★
『ザ・メイデンズーギリシャ悲劇の殺人』 アレックス・マイクリーディーズ 坂本あおい 早川書房 ★★★★
『ロング・プレイス、ロング・タイム』 ジリアン・マカリスター 梅津かおり 小学館 ★★
『極夜の灰』 サイモン・モックラー 冨田ひろみ 東京創元社 ★★★★
『ターングラス: 鏡映しの殺人』 ガレス・ルービン 越前敏弥 早川書房 ★★★★

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