2022年に翻訳された英国ミステリ

本年のベスト5
(1)『キュレーターの殺人』(M・W・クレイヴン)
(2)『ポリス・アット・ザ・ステーション』(エイドリアン・マッキンティ)
(3)『阿片窟の死』(アビール・ムカジー)
(4)『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』(リチャード・オスマン)
(5)『光を灯す男たち』(エマ・ストーネクス)

本年の特徴
 今年の英国ミステリの翻訳出版点数も、昨年に続き50冊を越えた。ただリストをよく見ると、怪奇物から純文学系の作品、古典作品までと実に幅広い。また近年の作品に限定しても謎解き小説から冒険・警察小説、コージー・ミステリーまでと変化に富んでいる。出版点数が増えているのは、単にミステリの定義が拡がっている結果に過ぎないと言えるかもしれない。そのような傾向のなかで、今年の私のベスト3にはすべて警察小説を選んでしまった。もっとも警察小説といっても共通項は、主人公らが警察官で魅力的な謎があるというだけで、その作風は冒険スパイ小説的、ハードボイルド調、歴史物と異なっている。残りの二作品、(4)はもっとも英国ミステリらしい作品、(5)は純文学系の作家が書いたミステリアスな作品ということで選んでいる。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『悪しき正義をつかまえろ』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 ハーパーコリンズ・ジャパン ★★
『われら闇より天を見る』 クリス・ウィタカー 鈴木恵 早川書房 ★★★★
『ヨーク公階段の謎』 ヘンリー・ウェイド 中川美帆子 論創社 ★★★
『ある刑事の回想録』 ウォーターズ 平山雄一 ヒラヤマ探偵文庫
『ウィンダム図書館の奇妙な事件』 ジル・ペイトン・ウォルシュ 猪俣美江子 東京創元社 ★★★
『ブランディングズ城のスカラベ騒動』 P・G・ウッドハウス 佐藤絵里 論創社 ★★★
『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』 リチャード・オスマン 羽田詩津子 早川書房 ★★★★
『手招く美女』 オリヴァー・オニオンズ 南條竹則・高沢治・館野浩美 国書刊行会 ★★★
『壜のなかの永遠』 ジェス ・キッド 木下淳子 小学館
『セクストン・ブレイク・コレクション3 ボンド街の歯科医師事件』 H・H・クリフォード・ギボンズ 平山雄一 ヒラヤマ探偵文庫 ★★
『炎の爪痕』 アン・クリーヴス 玉木亨 東京創元社 ★★★★
『窓辺の愛書家』 エリー・グリフィス 上條ひろみ 東京創元社 ★★★
『キュレーターの殺人』 M・W・クレイヴン 東野さやか 早川書房 ★★★★
『セクストン・ブレイク・コレクション1 「柬埔寨(カンボジア)の月」』 ウィリアム・マレー・グレイドン 加藤朝鳥 ヒラヤマ探偵文庫
『クロームハウスの殺人』 G・D・H & M・コール 菱山美穂 論創社 ★★★
『優等生は探偵に向かない』 ホリー・ジャクソン 服部京子 東京創元社 ★★★
『グッゲンハイムの謎』 オビン・スティーヴンス 越前敏弥 東京創元社 ★★★
『カトリアナ』 ロバート・ルイス・スティーブンソン 佐復秀樹 平凡社 ★★
『光を灯す男たち』 エマ・ストーネクス 小川高義 新潮社 ★★★★
『セクストン・ブレイク・コレクション2 「謎の無線電信」』 ウィリアム・ウォルター・セイヤー 森下雨村 ヒラヤマ探偵文庫
『名探偵と海の悪魔』 スチュアート・タートン 三角和代 文藝春秋 ★★★
『嘘は校舎のいたるところに』 ハリエット・タイス 服部京子 早川書房 ★★
『ロンドン・アイの謎』 シヴォーン・ダウド 越前敏弥 東京創元社 ★★★★
『星は昏い』 ピーター・チェイニー 田中実千晶 綺想社  
『奪還』 リー・チャイルド 青木創 講談社 ★★★
『アーモンドの木』 ウォルター・デ・ラ・メア 和爾桃子 白水社 ★★★
『レックスが囚われた過去に』 アビゲイル・ディーン 国弘喜美代 早川書房 ★★★
『幻想と怪奇12 イギリス女性作家怪談集』 チャールズ・ディケンズほか
『英国クリスマス幽霊譚傑作集』 チャールズ・ディケンズほか 夏来健次 東京創元社 ★★★
『シャーロック・ホームズ 10の事件簿』 ティム・デドプロス 高橋知子 二見書房
『修道女フィデルマの采配』 ピーター・トレメイン 田村 美佐子 東京創元社 ★★★
『完璧な秘書はささやく』 ルネ・ナイト 古賀弥生 東京創元社 ★★
『吸血鬼ラスヴァン −英米古典吸血鬼小説傑作集−』 G・G・バイロン/ほか著 夏来健次/編訳  平戸懐古 東京創元社
『ポピーのためにできること』 ジャニス・ハレット 山田蘭 集英社 ★★★★
『56日間』 キャサリン・ライアン・ハワード 山本祥子 新潮社 ★★★
『彼は彼女の顔が見えない』 アリス・フィーニー 越智睦 東京創元社 ★★
『大聖堂 夜と朝と』上中下 ケン・フォレット 戸田裕之 扶桑社
『災厄の馬』 グレッグ・ブキャナン 不二淑子 早川書房 ★★★
『ようこそウェストエンドの悲喜劇へ』 パメラ・ブランチ 大下英津子 論創社 ★★★
『レオ・ブルース短編全集』 レオ・ブルース 小林晋 扶桑社 ★★★
『捜索者』 タナ・フレンチ 北野寿美枝 早川書房 ★★★★
『ブラックランド、ホワイトランド』 H・C・ベイリー 水野恵 論創社 ★★
『エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人』 S・J・ベネット 芹澤恵 KADOKAWA ★★★
『殺しへのライン』 アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 東京創元社 ★★★★
『ホロヴィッツホラー』 アンソニー・ホロヴィッツ 田中奈津子 講談社 ★★★
『アバドンの水晶』 ドロシー・ボワーズ 友田葉子 論創社 ★★★
『ポリス・アット・ザ・ステーション』 エイドリアン・マッキンティ 武藤陽生 早川書房 ★★★★
『ジグソー・キラー』 ナディーン・マティソン 堤 朝子 ハーパーコリンズ・ジャパン ★★
『阿片窟の死』 アビール・ムカジー 田村義進 早川書房 ★★★★
『疑惑の入会者 ロンドン謎解き結婚相談所』 アリスン・モントクレア 山田久美子 東京創元社 ★★★
『ロスト・アイデンティティ』 クラム・ラーマン 能田優 ハーパーコリンズ・ジャパン ★★★
『テロリストとは呼ばせない』 クラム・ラーマン 能田優 ハーパーコリンズ・ジャパン  
『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』 ジェイムズ・ラヴグローヴ 日暮雅通 早川書房 ★★★
『祖父の祈り』 マイクル・Z・リューイン 田口俊樹 早川書房 ★★★
『父親たちにまつわる疑問』 マイクル・Z・リューイン 武藤陽生 早川書房 ★★★
『デイヴィッドスン事件』 ジョン・ロード 渕上痩平 論創社 ★★★

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