2018年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『コールド・コールド・グラウンド』(エイドリアン・マッキンティ)
(2)『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ)
(3)『わたしを探して』(J・S・モンロー)
(4)『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』(エイドリアン・マッキンティ)
(5)『白墨人形』(C・J・チューダー)
本年の特徴
今年は読み残しが多かった(反省!)。その一因は、ゲーム小説的な作品や著者が英国生まれというだけの作品(主にコージー・ミステリー)に食指が動かなかったからだが、さらにKindleや小・個人出版社からの出版物があったからだ。それらの出版物は一般の公立図書館にはほとんど納入されていないので、ミステリーの読書を主に図書館に依存している人間(ささやかな年金生活者!)には、手に取れなかったというわけである。とはいえ今年は英国ミステリーの豊作年といってよいだろう。エイドリアン・マッキンティの二作と『カササギ殺人事件』が邦訳されたからである。特に前者の警察小説シリーズの主人公ショーン・ダフィは、組織内人間でありながらも、自己の信念に基づいて行動する警察官で、彼の活躍は公務員の経験がない人でも大いに共感するだろう。期待の高まる楽しみなシリーズだ。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『嘘ばっかり』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 新潮社 ★★★
『葬儀屋の次の仕事』 マージェリー・アリンガム 井伊順彦・赤星美樹 論創社 ★★★★
『ホワイトコテージの殺人』 マージェリー・アリンガム 猪俣美江子 東京創元社 ★★★
『ヒルダ・ウェード : 目的のためには決してくじけない女性の物語』 グラント・アレン&アーサー・コナン・ドイル 平山雄一 書肆盛林堂  
『盗まれたフェルメール』 マイケル・イネス 福森典子 論創社 ★★★
『消えた子供』 クリス・ウィタカー 峯村利哉 集英社 ★★★
『月光殺人事件』 ヴァレンタイン・ウィリアムズ 福井久美子 論創社 ★★
『血染めの鍵』 エドガー・ウォーレス 友田葉子 論創社 ★★★
『アリバイ』 ハリー・カーマイケル 水野恵 論創社 ★★
『刑事シーハン/紺青の傷痕』 オリヴィア・キアナン 北野寿美枝 早川書房 ★★★
『空の幻像』 アン・クリーヴス 玉木亨 東京創元社 ★★★
『十人の小さなインディアン』 アガサ・クリスティ 渕上痩平 論創社 ★★★
『四つの福音書の物語』 F・W・クロフツ 熊木信太郎 論創社
『インド帝国警察カラザース』 エドムント・C・コックス 平山雄一 ヒラヤマ探偵文庫  
『ヴィクトリア朝怪異譚』 ウィルキー・コリンズ、ジョージ・エリオット、メアリ・エリザベス・ブラッドン、マーガレット・オリファント 三馬志伸 作品社 ★★
『パーソナル』 リー・チャイルド 小林宏明 講談社 ★★★★
『白墨人形』 C・J・チューダー 中谷友紀子 文藝春秋 ★★★★
『英国怪談珠玉集』 アーサー・マッケン他 南條竹則訳編 国書刊行会 ★★★
『ダイヤルMを廻せ!』 フレデリック・ノット 圭初幸恵 論創社 ★★★
『遭難信号』 キャサリン・ライアン・ハワード 法村里絵 東京創元社 ★★★★
『アガサ・レーズンは奥さま落第』 M・C・ビートン 羽田詩津子 原書房  
『アガサ・レーズンの不運な原稿』 M・C・ビートン 羽田詩津子 原書房  
『メイフェアの不埒な紳士:あるいは夢見ぬ令嬢の結婚騒動』 M・C・ビートン 桐谷知未 竹書房  
『汝、鉤十字を背負いて頂を奪え』上下 ハリー・ファージング 島本友恵 竹書房  
『いにしえの魔術』 アルジャーノン・ブラックウッド 夏木健次 アトリエサード  
『ノスフェラトゥの生贄』上下 ジェームズ・ベッカー 森野そら 竹書房  
『見えるもの見えざるもの』 E・F・ベンスン 山田蘭 書苑新社 ★★★
『貧乏お嬢さまと時計塔の幽霊』 リース・ボウエン 田辺千幸 原書房  
『貧乏お嬢さま、ハリウッドへ』 リース・ボウエン 田辺千幸 原書房  
『巡査さん、事件ですよ』 リース・ボウエン 田辺千幸 原書房 ★★
『アサシン クリード オリジンズ 砂上の誓い』上下 オリヴァー・ボーデン 阿部清美 竹書房  
『カササギ殺人事件』 アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 東京創元社 ★★★★
『謎解きのスケッチ』 ドロシー・ボワーズ 松本真一 風詠社  
『サイレント・スクリーム』 アンジェラ・マーソンズ 高山真由美 早川書房 ★★★
『憂鬱な10か月』 イアン・マキューアン 村松潔 新潮社 ★★★
『北氷洋』 イアン・マグワイア 高見浩 新潮社 ★★★★
『誤配書簡』 ウォルター・S・マスターマン 夏来健次 Kindle  
『コールド・コールド・グラウンド』 エイドリアン・マッキンティ 武藤陽生 早川書房 ★★★★
『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』 エイドリアン・マッキンティ 武藤陽生 早川書房 ★★★★
『ロードシップ・レーンの館』 A・E・W・メイスン 鬼頭玲子 論創社 ★★
『わたしを探して』 J・S・モンロー 棚橋志行 ハーパー・コリンズ ★★★★
『影の子』 デイ ヴィッド・ヤング 北野寿美枝 早川書房 ★★★
『影の歌姫』 ルシンダ・ライリー 高橋恭美子 東京創元社 ★★★
『善いミリー、悪いアニー』 アリ・ランド 国弘喜美代 早川書房 ★★★
『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』 ジェームズ・ロバートソン 田内志文 東京創元社  

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